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事例に見る、ふるさと納税 地域資源に限定した 返礼品とまちおこし 安平町

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第2章-4 事例に見る、ふるさと納税 地域資源に限定した 返礼品とまちおこし 安平町

北海道の南西部に位置する安平町は、平成18年3月に早来町と追分町との合併によって誕生したまちだ。北海道の「空の玄関」新千歳空港まで14キロメートル、「海の玄関」苫小牧港まで25キロメートルという好立地であるとともに、広大な敷地一面に春は菜の花畑、夏はとうもろこし畑という牧歌的でどこか懐かしい景観も広がる。

早来地区は全国有数の馬産地として知られ、2005年に三冠を達成したディープインパクトや、ディープインパクトを父に持つ2012年の牝馬三冠ジェンティルドンナなど、多くの名馬が第二の人生を送っており、その姿をひと目見ようと今なお全国からファンが訪れている。また、早来地区は昭和8年に日本で初めて本格的なチーズづくりが行われた「チーズ専門工場発祥の地」でもあり、酪農を主要産業として栄えてきたという歴史がある。安平町ではこのような歴史を礎にカマンベールチーズなどの質の高いチーズを生産し続けている。

一方、追分地区は明治時代にレールが敷設されて以来、長らく鉄道の要衝として発展してきた。鉄道ファン必見の蒸気機関車「D51」など、鉄道に関する貴重な資料を展示した鉄道資料館は、「鉄道のまち」として発展した追分地区の重要な観光スポットとなっている。また、190万都市・札幌をはじめ千歳市や苫小牧市といった大消費地に近いことから、メロンやスイートコーン、かぼちゃ、ホワイトアスパラガス、水稲などの豊富な農作物を提供しており、また酪農・養豚などの畜産も盛んな食料供給基地としての役割も担ってきた。

農業で発展したまちであるがゆえの悩み

酪農、畜産、馬産と、さまざまな農業を営んできた安平町には、新千歳空港から車で、なだらかな丘陵地帯を30分ほど走ると辿り着く。最寄り駅である早来駅の駅前には、雪だるまの形をした大きなまちの案内板が設置され、「雪だるま通り」には駐車場や屋根などあちこちに雪だるまのオブジェが並んでいる。その通りを進むと、口の部分が差早来地区は全国有数の馬産地 し出し口になった雪だるま型のポストが目印の「早来雪だるま郵便局」が見えてきた。

郵便局の屋根の上には雪だるまのモニュメントが鎮座する。この雪だるまは平成17年に住民票が与えられた、れっきとした安平町民である。お腹には「まってました」の文字が書かれ、その温かい心遣いにホッとなごむと同時に、まさに「雪だるまのまち」と呼ぶに相応しい唯一無二のまちであることを実感させられる。

安平町の人口は8,344人、世帯数は4,267戸(平成28年8月末時点)であるが、平成17年の国勢調査時の9,131人から、この10年間で1,000人近くが減少している。「平成28年度町政執行方針」にある通り、この現状に歯止めをかけることがまちの最重要課題となっている。

近年は恵まれた立地条件を活かし、都市のベッドタウンとしての魅力を打ち出した移住促進事業に力を入れている。平成19年度から「おためし暮らし体験」を実施する他、首都圏で移住希望者が直接相談できる移住フェアを行うなど、地道に安平町の魅力発信に努めており、近年は人口減少に一定の歯止めが掛かるとともに、道内からの移住が増えつつある状況だ。

しかし近年は、人口減少とそれにともなう地方交付税の減少、農畜産事業者のTPPへの不安、少子高齢化による後継者問題など、農業で発展してきたまちであるがゆえの悩みも尽きない。

酪農、畜産、馬産……多様な農業の強みを活かす

このような課題を抱える安平町では、住民サービスの向上と地域活性化、そして安平町の知名度向上、という以上の3点をふるさと納税の目的として、制度開始の平成20年頃からふるさと納税に取り組んできた。

安平町役場早来庁舎、まちづくり推進課 まちづくり推進グループ主査の横谷健氏は「ふるさと納税を始めてみたものの、自治体サイトの募集だけでは思うように寄附が集まらず、寄附件数は一桁台という状況が続いていました。そこで、地場産品を返礼品として送付することを検討するようになりました」と当時を振り返る。

安平町は酪農、畜産、水田畑作と、さまざまな農業を営んできたことから、返礼品には牛肉や米といったいわゆる人気の返礼品も含まれるが、町内の地域資源や技術を活用した地場産品のみとし、返礼品で他の自治体と競うことは考えていない。
他の自治体と競う方針ではないが、本格的にふるさと納税の取り組みをスタートさせるやいなや、平成26年度は導入から2ヶ月で寄附件数1,788件、寄附金額2,441万6千円、平成27年度は、寄附金額2億8,900万円と驚異的な伸びを見せた。成功の要因の一つには、ふるさと納税サイトを通じて地域の魅力をアピールし、人気の返礼品が誕生したことが挙げられる。

ハム、ウインナー詰め合わせが年間ランキング3位を獲得

なかでも、大きく貢献したのは2015年の総合申込み件数ランキング(※さとふるによる集計)で3位を獲得した「『春雪ブランド』ハム、ウインナーなど11種類の詰め合わせ」である。7日間以上の熟成を行う独自製法で作られたロースハムやベーコンを詰め合わせたもので、登録からわずか2 ヶ月で堂々のランク入りを果たした。ランキング内の他の返礼品は年間の総数であるのに対し、春雪ブランドの登録は平成27年10月31日のため、わずか2ヶ月でランク入りしたことになる。その要因には、畜産を強みとする安平町自慢の品をセットにした見栄えの良さと、申込みのピークが12月であることからお歳暮・正月を想起したハム類の需要増にあることなどが考えられる。

製造するのは高級冷凍食品とハム・デリカのメーカー、「春雪さぶーる」。北海道発の業者向けブランド「さぶーる」と市販向けブランド「春雪」、そして同じく市販向けブランドとして大手加工食品メーカーのブランドだった「相模ハム」を展開する。平成24年に相模ハムを吸収合併したことで強固な3つのブランドが揃った。

本社は札幌市にあるが、安平町内の「春雪さぶーる早来工場」にて安平町独自ブランドの「はやきたクラシック」が製造されている。原料肉は北海道産の豚肉を厳選して使用。これにより肉本来の旨みを引き出し、ジューシーでコクのある商品に仕上げている。ふるさと納税の返礼品をきっかけに、「春雪」ブランドの一つ、「はやきたクラシック」の知名度アップにも期待がかかる。

注文殺到への対応 在庫マネジメント

メロンなどの春から夏にかけて旬を迎える果物は返礼品として人気が高い傾向にあるが、11 月から予約注文が多く入ることで、収穫時期を迎える翌年の夏場に品切れを起こす状態が続いていた。

これに対し、横谷氏は「今後もふるさと納税での申込みが殺到するかどうかは分からないので、面積を増やして生産量を増やしてほしい、とお願いするわけにもいきません。とはいえ、一年で一番美味しい時期にこそ多くの寄附者に食べていただきたいので、冬場は限定100個などにして在庫マネジメントで工夫をしているところです。年間で一番件数が増える冬場の申込み数を限定にすることで、メロンの最盛期である夏場の申し込みにも対応が可能になります。メロンの時期である夏場に申し込みをした方が、メロンを口にできないのは寄附者に申し訳ないですし、メロンは安平町が誇る特産品ですから、多くの方にPRしていきたいです。」と対応策を語る。

ふるさと納税は、返礼品でメロンを食べてその味に感激した寄附者を、ECサイトでの直接購入へつなげることも可能だ。返礼品がきっかけとなり、リピーターとなる可能性があるのだ。安平町のメロンが隣町の名産品である夕張メロンに負けない地域ブランドに成長する日が今から楽しみである。

「早来雪だるま」で再びまちおこしをふるさと納税の本来の意義に従い、返礼品を地元の産品に限定する安平町では、ユニークな返礼品として「早来雪だるま」を扱っている。
雪国の中には、嫌というほど降り積もる雪を地域資源として活用しようと、さまざまな知恵を絞る地域がいくつかあるが、「早来雪だるま」は、地域の雪を雪だるま型の発泡スチロールに詰めてクール便で送るというもので、発案者は昭和61年当時の郵便局長。平成9年には局名が「早来郵便局」から「早来雪だるま郵便局」に改称され、30年前から続く「雪だるまのまち」としての伝統を大切にしている。

「早来雪だるま」誕生の背景には、元郵便局の実体験が影響している。

追分町出身の郵便局長は大学進学と就職のため東京で暮らしていた際に、雪が降ると大はしゃぎする子どもたちの姿を目にしたことがヒントになった。その後地元に戻り、早来郵便局の局長に就任すると、東京の子どもたちに本物の雪を見せようと、昭和61年から東京23区内限定で雪だるまの速達小包を実現させ、その翌年から全国配送をスタートさせた。これをメディアが大きく取り上げたことで、一時は郵便局の電話が鳴り止まないほどの大ヒットになった。この前例のない取り組みは、生まれ育った故郷を出たことで地域を客観的に見つめ直したことが奏功したのだろう。以降も人気が続いたことで、「雪だるまでまちおこしをしてはどうか」とまちの方向性が固まっていき、郵便局と連携して「雪だるまのまち」としての地域振興が展開されていった。

ところが、平成20年10月に思わぬ事態が発生する。郵政民営化を機に、食品以外の商品をふるさと小包として発送することができなくなったのだ。その結果、ふるさと小包として紹介されなくなったために、知られる機会が減少し、民営化後の販売個数は年間1,000個台と、かつての半数以下にまで減少した。その後紆余曲折を経て、現在はまちおこしグループ

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