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地域団体商標事例紹介 大鰐温泉もやし

伝承350年・一子相伝で代々受け継がれる幻の冬野菜「大鰐温泉もやし」

商標:
大鰐温泉もやし 商標登録 第5499485号

大鰐温泉もやし

1. 権利者の紹介

  • 権利者名:プロジェクトおおわに事業協同組合
  • 住所:青森県南津軽郡大鰐町大字長峰字下川原9番地92

2. 地域団体商標及び使用する商品・役務の内容

  • 地域団体商標名:大鰐温泉もやし(おおわにおんせんもやし)
  • 商標登録番号:第5499485号
  • 指定商品又は役務:青森県南津軽郡大鰐町の大鰐温泉の温泉水を利用し、同町に由来する製法により、同町で生産されたもやし

3. 地域団体商標出願に向けての取り組み

(1)従来におけるブランド保護の取り組み

南津軽郡大鰐町は、津軽の奥座敷とも呼ばれる青森県津軽地方の南部に位置します。約800年の歴史を持つ「大鰐温泉」は湯治の湯としても親しまれ、津軽藩主も眼病を治すために訪れて、快癒したとも伝えられます。

「大鰐温泉もやし」は350年以上も前から大鰐温泉の“温泉熱と温泉水”だけを利用して、大切に栽培され続けています。「大鰐温泉もやし」は“豆”にこだわり、種子は代々選び受け継がれた地域在来の小粒種「小八豆(こはちまめ)」を使用しています。

栽培には洗浄・仕上げまで水道水を使用せず、温泉水のみを利用しています。無化学肥料・無農薬・独自ブレンドの“土栽培”で育てることにより、温泉に含まれるカルシウム・リン・鉄分等のミネラルがもやしの成長を更に促すため、栄養がとても豊富です。大きさは根も入れて約40センチと長身に育つため旨みが濃く、歯触り・歯ごたえが良く、とても魅力のある食材です。

大鰐町在来の豆を使用し、温泉熱・温泉水と土栽培で育てられる「大鰐温泉もやし」は、大鰐町でしか作ることができない特産品です。

従来におけるブランド保護の取り組み

(2)地域団体商標出願の動機

「大鰐温泉もやし」の種子や栽培方法などは、代々後継者に受け継がれるため、生産者によって異なり、現在でも門外不出です。

そのため“一子相伝”で伝承されにくく、後継者減少傾向の課題がありました。

近年、もやし栽培を絶やさぬよう大鰐町が中心となり「大鰐温泉もやし生産者育成事業」を平成17年から立ち上げ、人材育成、後継者確保に成功することができました。

また、首都圏の高級飲食店への出荷や物産展を行いながら、地道に販売しブランド化を推進する中で、メディアにも取り上げられたことがきっかけで知名度も上がり、全国の料理人からの問合せが多くなりました。

しかし、「東京都内で大鰐温泉もやしの偽物が出回っている」との情報が何件か寄せられるようになり、模倣品を阻止する動きも同時に高まりました。

地域団体商標出願の動機

(3)地域団体商標出願の準備

「大鰐温泉もやし」を大鰐町の宝としてブランドを確立するために、登録主体を満たすプロジェクトおおわに事業協同組合が出願人となり、平成23年6月に出願を行いました。

出願に至るまでには、大鰐町や生産者の理解を得る必要がありました。そのため、関係者に対して丁寧に、根気強く、何度も説明を行っていくことで、徐々に理解を得て意識を共有するまでに至りました。

弁理士からの指導のもと、周知資料を何度も追加提出し、翌年の平成24年6月に地域団体商標として商標登録されました。

4. 地域団体商標の権利取得後のブランド管理及びブランド展開

(1)ブランド管理及び商品・役務の品質管理(管理手法・体制等)

現在は、プロジェクトおおわに事業協同組合を含め、大鰐町内の生産者や飲食・観光関係等でつくる「大鰐温泉もやし商標活用推進協議会」が中心となり「大鰐温泉もやし」の商標を管理・運営し、大鰐町民全員が「大鰐温泉もやし」の商標を共有できるようにしています。

生産体制は、大鰐町の栽培施設を含め7軒で生産され、栽培方法は各農家秘伝のため独自の方法で、商品管理の徹底を行っています。

(2)ブランド展開

プロジェクトおおわに事業協同組合では、大鰐温泉もやしブランド化推進委員会関係機関と連携して、350年の伝統ある「大鰐温泉もやし」の価値向上、後継者育成、生産体制確立、販路拡大により、雇用創出を通じて大鰐町を活性化し、「自立して稼げる地域」を目的に、特産品の核として「大鰐温泉もやし」のブランド化を目指し、成功しました。

ここで大切なのが、ブランド価値です。「大鰐温泉もやし」は大量生産、販売ができません。一度栽培に使用した土は、成長に必要な栄養分をもやしが全て吸い取ってしまうため、連作障害を避けるために1年間は休ませます。

そのため生産量は少ないですが、その分希少価値があり「期間限定・数量限定・地域限定」を特に意識して、ブランド価値を高めています。

現在では、首都圏などへの出荷先を開拓し、高級食材として取引されるようになりました。また、6次産業化にも積極的に取り組み、「大鰐温泉もやし金キムチ」や「大鰐温泉もやし吟ナムル」などを商品化し、レストランでは「大鰐温泉もやし鍋」や「大鰐温泉もやし御膳」などを提供しています。

大鰐町の活性化、大鰐町の知名度アップ、大鰐ブランドの浸透に向けて、今後も生産者や地域の住民と共に、「大鰐温泉もやし」のプレミアム化を目指していきます。

地域団体商標の権利取得後のブランド管理及びブランド展開

5. 地域団体商標権利取得後の効果

「大鰐温泉もやし」は「豆もやし」と「そばもやし」の2種類があり、生産量は年間約21トンです。基本の「豆もやし」は全体の約9割生産され、約1割が「そばもやし」を生産しており、収穫量が少ないのでとても貴重品です。

また、収穫された「大鰐温泉もやし」の約7割は地元で消費され、プロジェクトおおわに事業協同組合が指定管理を行っている「鰐come」や、地元の食料品店やスーパーなどで販売しています。

約3割は、青森県外の飲食店や東京都内のレストランなどに提供するなど、出荷比率を徹底し管理しています。

現在では大鰐の味を提供するために、東京の青森県産品アンテナショップでも販売を行っています。不定期ですが、東京のJR上野駅とJR秋葉原駅の地産品ショップでも物産販売を行っています。

本来、大鰐町内や大手料理店でしか食することができない「大鰐温泉もやし」ですので、お客様にはとても好評で、販売と同時に売り切れてしまう状況です。

地域団体商標権利取得後の効果

6. 今後地域団体商標を出願する者に対してのアドバイス

いろいろな意見の中で目指すべき方向性を見失ったとき、先頭役がいて、当初の方針を曲げることなく、さらに最後まであきらめずにやり続けたことが、成功した秘訣だと考えています。

出願団体だけではなく、市町村役場、生産者が共に同じ意識と理解力を持って、また方向性は決してぶれることなく、正しい発信、信念を持って、取り組みを行うことが一番大切です。

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