寄付者とのコミュニケーションから地域への共感を生み出す
事業構想大学院大学では、9月26日に第4回ふるさと納税・地方創生研究会が開催され、弊社取締役である髙松俊和が有識者として参加致しました。第4回研究会では、長野県東御市をゲストに迎え、同市の事例を参考にふるさと納税制度のあるべき姿を議論しました。
以下は研究会のレポートです。
曽根川歌織氏
長野県東御市 地域づくり・移住定住支援室
地域内事業者に寄付者の声を届けるふるさと納税を
平成16年に旧東部町と旧北牧村が合併して生まれた東御市では、「寄付者の方に東御市を知ってもらう」ことをふるさと納税の基本方針としている。特産品であるブドウを中心として、東御市の認知度向上を目指した結果、現状は3~4割程度の寄付者の方がリピーターとなって、毎年同市に寄付を行っている。
東御市では、寄付者の方とのコミュニケーションを深めるため、「かもめ~る」便を送付している。寄付者が「かもめ~る」便の提示をすることにより、市内の施設の優待が受けられ、実際に同市を訪れる機会を作るきっかけとなっている。さらに、地域内の事業者には、寄付者の方の声を届けることで、生産意欲の向上にもつながっていると語る。
寄付金の使徒に関しては、高地という立地を活かして、日本水泳連盟と共に高地トレーニング用のプールの整備を進めている。
東御市の担当者は、高地トレーニング用のプールの整備について、「シティプロモーションを通じた人口交流の増加、地域経済の活性化につながるとはいえ、市民の理解には温度差が生まれています」と意見を述べた。
東御市の課題から、ふるさと納税の寄付額の使徒について「何のための事業であるのか」論点が提示された。
田中里沙氏
事業構想大学院大学 学長
共感・賛同を生み出す
今後のふるさと納税
マーケティングの専門家である事業構想大学院大学の学長である田中里沙氏は「寄付者の方とのコミュニケーションは、どのくらい多くの人を巻き込めるか、という巻き込み力がポイントとなる」と話す。参加者全員が主体であり、共感・賛同を作っていく流れがふるさと納税制度にも必要であるのではないかと意見を述べた。
これらの意見をもとに、当研究会ではふるさと納税の今後の指針となるガイドラインを作成する。ガイドラインでは、ふるさと納税の本来の趣旨を確認し、ふるさと納税制度によって、集まった寄付金の使徒についての指針を示す。
ガイドライン案の議論では、「ふるさと納税の寄付金を充当する事業の決定権のプロセス」「何のための事業であるのか」といった論点が挙げられており、これらの指針を示す。
有識者委員として参加する関西学院大学大学院経済学研究科 人間福祉学部教授 小西砂千夫教授は、「寄付者の意向に沿った使い道を考えたいとする一方で、自治体としてその地域で本当に必要とされている事業とのバランスを考えて事業を決定する必要がある」と意見を述べた。
これらの議論を元に、次回以降のふるさと納税研究会では、ふるさと納税による寄付額の使徒についてのガイドラインを作成する。