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第3回レポート 「ふるさと納税・地方創生研究会」

※以下は「月刊 事業構想 2017年11月号」の内容を許可をいただいて掲載しています。

寄附集めと使途への共感の両立

豪華な返礼品頼みの寄附金集めには限界がある。
自治体への共感と寄附金の両方をいかにして集めるのか。
桑名市と坂井市の先進的な取組を中心に議論が交わされた。

ふるさと納税制度の2016年度の寄附受入実績額は約2,844億円であり、対前年度比で約1.7倍に上る。現状では、多くの寄附者が返礼品を判断基準として寄附する自治体を決めている。このような中、返礼品に頼るのではなく、使途に共感してもらうことで寄附を集める自治体が存在する。返礼品目当てを狙った一時的な地域産業振興だけではなく、ふるさと納税制度により地域の活性化を後押しするため、どのようにして地域への共感を生み出すか、意見が交わされた。

今回の研究会では、三重県桑名市市長公室ブランド推進課の三貫納(みぬきの)氏、福井県坂井市総合政策部企画情報課の小玉氏が、それぞれの地域でどのようにふるさと納税を活かしているのか講演を行った。その後、研究会有識者委員の鳥取県・高知県・長野県飯田市の首長の代理として参加するふるさと納税担当者、さとふる髙松取締役、事業構想大学院大学学長の田中が参加し、講演内容を元に返礼品に頼るのではなく、使途に共感してもらうためにはどのような取組が必要であるのか、ディスカッションが行われた。

三貫納 雄氏 三重県桑名市 市長公室ブランド推進課

三貫納 雄氏
三重県桑名市 市長公室ブランド推進課

桑名市7つのビジョン

使途を明示
桑名市のファンを作る

桑名市は三重県の北部に位置しており、人口約14万2千人、高速道路のインターチェンジを5つ持ち合わせる交通としても便のよい町である。

桑名市は、基本計画として7つのビジョンを掲げている。ふるさと納税の寄附金も7つのビジョンを応援する形で寄附を募っている。しかし、現実はビジョンだけで共感は得られず、使途を指定しないという回答が最も多いという状態であった。

そのような中、2016年4月に伊勢志摩サミットの関連行事として、世界の中高生が地球規模の課題について話し合うジュニア・サミットが桑名市で開催された。当サミットが日本で開催されるのは、2008年の北海道千歳市に次いで2回目であり、全国に桑名市をPRする絶好のチャンスととらえた。

桑名市は、ふるさと納税申込時の使途の選択肢に当サミットへの協賛を加え、平成27年12月~平成28年4月の5か月間で2,770万円もの寄附を集め、企業からの協賛等も合わせて、一般財源を使うことなく当サミットを実施することができた。

桑名市では、ふるさと納税制度を単なる寄附集めの制度と捉えていない。全国へ桑名市の魅力を発信するため、財政課にあったふるさと納税の担当課を平成29年度より「ブランド推進課」へ移動させた。三貫納氏は、「今後は新たな取組として、使途を明確化し、桑名市の魅力ある街づくりをPRするとともに、桑名市の取組への共感を集めたい。魅力あるまちづくりをPRするとともに、桑名市の取組に共感してくれる方を増やし、桑名市のファンになっていただけるような方を増やしていきたい」と語る。

さらに、「市内の事業者の連携によるコラボレーション商品、工芸品等の製作体験を通して、桑名市の魅力がより伝わる返礼品を提供したい。県内の地域課題を再認識して、ふるさと応援寄附金を充当するべき事業を決定し、地域の課題解決のためのツールとしてふるさと納税制度を活用していきたい」と話した。

小玉悠太郎氏 福井県坂井市総合政策部 企画情報課

小玉悠太郎氏
福井県坂井市総合政策部 企画情報課

「返礼品一切なし」から
市民参画制度で夢のある事業へ

坂井市は福井県の北部に位置しており、人口約9万1千人、観光名所やコシヒカリやブランド和牛など特産品も豊富である。

坂井市は観光資源や特産品に恵まれた環境にも関わらず、あえて平成28年まで返礼品は一切なしでふるさと納税制度を進めてきた。背景には、坂井市では、ふるさと納税を寄附文化の醸成のきっかけとして捉えていることがある。2008年4月に、ふるさと納税制度に先駆けて、市民の方に寄附を通じて誇りを持って市政に参加してもらうという「坂井市寄附による市民参画条例」を議員発議にて制定した(以下、「寄附市民参画制度」)。

当制度の内容は、寄附金の使い道は市民公募により集め、使途を決定し、市民をメンバーに含めた検討委員会にて事業を決定。それぞれの使い道について目標額を定めて、達した段階で事業化するという流れである。

坂井市寄附市民参画制度の流れ

2009年から毎年1事業以上を達成し、現在までに延べ15の事業を実施した。「全国では使い道の定まっていない寄附金が見受けられる。坂井市では逆に、寄附者の方から寄附を募って事業を実施できる枠組みがあるにも関わらず、寄附金が集まっていないが故に実施できない事業がある」と説明した。

寄附市民参画制度を採用し、寄附を集めることができれば、「より早く」、「より多く」、「より大きな」事業を展開できる。

坂井市はふるさと納税制度を「より夢のある事業を推進するための手段」として捉え、地域活性化に活用した全国での先進事例と言える。

有識者委員のさとふる取締役髙松氏からは「お礼品をメインにとらえるのではなく、あくまでも事業を遂行するための手段として活用するという考えがあれば、さらに制度自体の発展につながると感じた」という意見も寄せられた。

マーケティングの知見を活かし、
制度を地域活性化に活かす

研究会では今後、ふるさと納税の寄附金の使途による事業メニューの提示をどのように伝えるか、寄附者の方との縁をどのように作るかという観点で議論を行う。事業構想大学院大学田中は、「ふるさと納税の使途に関しても民間でのマーケティングの知見を取り入れ、地域活性化につなげた事例やアイデアを構造化し、創意工夫を凝らした先進的な事例を研究していきたい」と締めくくった。

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