
ふるさと納税には「納税」という言葉がついていますが、実際は都道府県、市区町村への「寄付」のことをいいます。自治体への寄付では、確定申告によって一部を所得税や住民税から控除することができます。ただし、ふるさと納税では、通常の寄付に比べ、控除される額が大幅に増えて、自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となりました。とはいえ、お得な制度なのはわかってるけど、いまいち何をやったらいいかわからない・・・そんな人も多いのではないでしょうか?そんなあなたのために、ふるさと納税の税金控除のしくみを詳しく見ていきましょう。
ふるさと納税の税額控除を受けるには

方法は2つ。
確定申告とワンストップ特例制度。
ふるさと納税制度は、地方自治体へ寄付をすることで所得税や住民税が減額され、さらに寄付先の自治体から返礼品がもらえるというお得な制度です。また、2015年から控除上限額が約2倍に引き上げられ、さらにお得になりました。ふるさと納税はこうした「お得な」部分が注目されがちですが、実は、地域格差の是正、地元産業の活性化と自治体の積極的な支援、さらには納税意識の向上と、多くの可能性を秘めた素晴らしい制度でもあります。
ふるさと納税を利用して控除を受けるには、「確定申告制度」「ワンストップ特例制度」の2つの方法があります。ご自身にあった制度を選択して、ふるさと納税を上手に活用していただきたいと思います。
確定申告制度 | ワンストップ特例制度 | |
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手続きは何回必要? |
年一回
![]() |
寄付のつど
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概要・条件 |
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以下の2つの条件をすべて満たす方 ①ふるさと納税をする先が5自治体以内である方 ②ふるさと納税をしていないと仮定した場合、 確定申告をする必要のない方 |
こんな方にオススメ |
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税金はいつ控除されるの?
税額が控除されるタイミングは確定申告をした場合とワンストップ特例制度を利用した場合とで異なります。
確定申告制度 | ワンストップ特例制度 | ||
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ふるさと納税をする![]() ![]() |
ふるさと納税をする![]() ![]() |
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翌年 | 1月10日 | 申請期限(寄付をした自治体へ必着) | |
2月~3月 | 確定申告![]() |
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5月頃 | 所得税還付 | 所得税還付![]() |
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6月 | 住民税軽減 | 所得税の控除額も含め 住民税軽減 |
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翌々年 | 5月 |
ふるさと納税はいくらまでできるの?
ご自身の年収や家族構成、お住いの地域などによって異なります。
寄付金控除(税額控除)されるのは、ふるさと納税をした全額ではありません。所得税と住民税それぞれに控除上限額が定められていて、上限額を超えて寄付した額は自己負担となります。
ふるさと納税で「寄付金控除」が最大限に適用される寄付金の控除上限額は、年収や家族構成、お住いの地域などによって異なります。ご自身の上限額をきちんと把握しておけば、自己負担2,000円のみで効率良くふるさと納税を行えます。

【コラム-控除上限額はどうやって計算するの?】
上限額がどのように計算されているのかについて説明します。ただし、ふるさと納税の上限額計算は非常に複雑なため、興味のある方だけお読みいただければと思います。
ふるさと納税をすると、所得税と住民税が税額控除されます。住民税についてはさらに基本分と特例分の2つに分かれ、それぞれ控除されます。控除額は以下の算式で求められます。
①所得税から控除される金額
(寄付金額-2,000円)×所得税率
②住民税から控除される金額(基本分)
(寄付金額-2,000円)×10%
③住民税から控除される金額(特例分)
(寄付金額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)
これだけですと、寄付をすればしただけ税額控除が受けられそうですが、実はそれぞれに上限額が設けられており、これが控除上限額となります。それぞれの上限額は以下のとおりです。
①の上限額 総所得金額等の40%
②の上限額 総所得金額等の30%
③の上限額 住民税所得割額の20%
この上限額の条件を満たす場合にのみ、①~③の控除が受けられるというわけです。
図で示すと下のようになります。
ただし、上限額を超えたからといって、すべてが税額控除されないというわけではありません。上限額を超えた分は自己負担額に追加されます。


大野 修平(おおの・しゅうへい)公認会計士・税理士
大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。
また、メディアの立ち上げ・運営やスタートアップ企業とのコラボイベントの開催など、公認会計士、税理士の枠にとらわれず活動中。