水炊きとの相性バツグン!バリうまか「はかた地どり」
商標:
はかた地どり 商標登録 第5504323号

1. 権利者の紹介
- 権利者名:全国農業協同組合連合会
- 住所:東京都千代田区大手町一丁目3番1号
2. 地域団体商標及び使用する商品・役務の内容
- 地域団体商標名:はかた地どり(はかたじどり)
- 商標登録番号:第5504323号
- 指定商品又は役務:福岡県産の地鶏の鶏肉
3. 地域団体商標出願に向けての取り組み
(1)従来におけるブランド保護の取り組み
国内の在来種(昔からいる地鶏)の中で、最も美味だと言われている軍鶏(シャモ)と、旨味成分であるイノシン酸を多分に含むサザナミを祖父母に持ち、これに肉づきのよい白色プリマスロックをかけあわせたものが「はかた地どり」です。
「はかた地どり」は、昭和62年に現在の福岡県農林業総合試験場で開発された鶏で、種鶏の由来が確かで、指定配合飼料を全戸で使用し、さらに食肉処理も1箇所で行うなど品質が安定しています。これまで、昭和62年より20数年に渡り福岡県内を中心に着実に地元に根付いた販売を行ってきました。

(2)地域団体商標出願の動機
近年、県内の様々な場所で、「福岡県はかた地どり推進協議会」(以下、「協議会」)の管轄していない「はかた地どり」と銘打った商品販売が見受けられるようになりました。そこで、平成22年9月に交配方式を検討し、種鶏の組み合わせを改良した新「はかた地どり」を発表しました。
これをきっかけに、例えばお祭りなどの催し物のときに、博多で売っている親鶏すべてが「はかた地どり」と誤認されないよう、また、これら他人の使用を排除するために、地域団体商標の取得に取り組むことになりました。
(3)地域団体商標出願の準備
「はかた地どり」は、農事組合法人福栄組合(以下、「福栄組合」)、はかた地どり生産者協議会、ジェイエイ北九州くみあい飼料㈱、㈱山形種鶏場、福岡県農林水産部畜産課、福岡県両筑家畜保健衛生所、福岡県農林業総合試験場、全国農業協同組合連合会福岡県本部(以下、「JA全農ふくれん」)により構成されている協議会で運営管理されています。当初は、協議会が出願人となり地域団体商標出願を行うことを検討したのですが、主体要件をクリアできなかったため、断念しました。
次に、地域団体商標出願前に福栄組合が図形商標で登録に至っている経緯もあり、福栄組合で地域団体商標出願を検討しましたが、加入の自由が設けられていないという理由で、断念しました。
最終的には、JA全農ふくれんの前身でもある福岡県購買販売農業協同組合連合会が昭和62年より「はかた地どり」を立ち上げ、当初から事業を始めた経緯があるため、全国農業協同組合連合会(JA全農ふくれん)での取得を目指し、管理等はJA全農ふくれんが行い、商標の使用を協議会で行うこととしました。

4. 地域団体商標の権利取得後のブランド管理及びブランド展開
(1)ブランド管理及び商品・役務の品質管理(管理手法・体制等)
「商標第5504323号使用許諾契約書」、「はかた地どり地域団体商標使用許諾要領」及び「はかた地どり地域団体商標管理・運用規程」を設け、商標管理や使用権者の義務などを徹底しています。
品質管理面においては「はかた地どり生産規約」で条件を設定しており、「はかた地どり」の血統、特定JAS規程に基づく飼育条件、福岡県の指導が及ぶ範囲に限定する、などを規定しています。これらの条件をクリアしたもののみ「はかた地どり」としています。また、「生産工程管理規定」を設け、規程に基づいた生産条件が守られているか協議会が自主的に点検を行い、品質を担保しています。
(2)ブランド展開
JA全農ふくれんと、大手企業及びテレビ番組で共同企画を行い、「はかた地どり」を使用した「鶏そぼろぱん」を商品化しました。平成24年11月1日からの2ヶ月間、22万個程度をスーパー・コンビニ等で期間限定販売しました。「鶏そぼろぱん」は、“福岡県産の食材を用いて新しいパンを開発しよう”をコンセプトに、パン生地には県産米粉を使用し、県産米キャラクターである「めし丸くん」とコラボした商品です。

5. 地域団体商標権利取得後の効果
現在、福岡県内には11箇所の「はかた地どり」農場(養鶏場)があります。
年間出荷羽数は、平成24年は40万羽、平成25年は41万羽と、順調に出荷数を伸ばしてきています。福岡県では「はかた地どり倍増計画」として、平成29年に60万羽まで拡大することを目指しており、それに伴い、新規参入農家の整備支援などを行っています。
博多といえば“美味しいものが豊富にある”“海外交易とともにあった歴史”“お祭りが大好き”など良いイメージがあります。加えて、福岡県自体が“鶏肉をたくさん食べる”食文化であるため、協議会では、その強みを活かした販売を行っていく方針です。
また、地域団体商標を取得した後、どのように商標を使用し、どのようなブランド展開を行えば良いか模索していたところ、「平成23年度地域活性化型ビジネスにおけるブランド創出支援事業」の支援受入事業者として、経済産業省九州経済産業局より選定されたことをきっかけに、活用支援指導の機会を得ることができました。
商標の使用の仕方やブランドの確立方法など、専門家の指導・支援が3ヶ月間(計5回)あり、具体的に「地域性の重視」「地域の特徴特質を上手に活用」「プランニング方法」を協議会のメンバーで勉強しました。

6. 今後地域団体商標を出願する者に対してのアドバイス
地域団体商標として商標登録されたことにより、安心して「はかた地どり」を流通できるようになりました。また、最終消費者もこれが本物の「はかた地どり」ということが一目で確認でき、安心して食していただけるようになりました。
また、大手企業とのタイアップ等においては、商標の権利取得が義務づけられているため、商標を取得することにより相手側の信頼も得られ、さらに「はかた地どり」の価値を高めることができ、ブランド価値の向上に繋がりました。