原料に黒糖を使用した本格焼酎「奄美黒糖焼酎」
商標:
奄美黒糖焼酎 商標登録 第5202680号

1. 権利者の紹介
- 権利者名:奄美大島酒造協同組合
- 住所:鹿児島県奄美市名瀬港町10番1号
2. 地域団体商標及び使用する商品・役務の内容
- 地域団体商標名:奄美黒糖焼酎(あまみこくとうしょうちゅう)
- 商標登録番号:第5202680号
- 指定商品又は役務:鹿児島県奄美群島で製造された黒糖焼酎
3. 地域団体商標出願に向けての取り組み
(1)従来におけるブランド保護の取り組み
奄美では酒と言えば黒糖焼酎であり、官民一体となって地場産品愛用の推進及び地域ブランドの確立並びに需要拡大を図るため、あらゆる宴席に於いて「黒糖焼酎で乾杯」をスローガンとして実施するよう提案してきました。

(2)地域団体商標出願の動機
奄美だけに認められた地域ブランドの確立、台頭する類似品との差別化、知名度アップ及び需要拡大を図ることが必要であるため。
(3)地域団体商標出願の準備
・地域団体商標の必要性についての組合員の意思確認
・必須要件である近隣県への周知を得るため、組合の広告宣伝及び組合員による製品等への「奄美黒糖焼酎」の表示の徹底
・その他周知を得るための資料作成
(4)地域団体商標出願に際し、苦労した事項及び注意した事項
当地区は離島でもあり、また弁理士がいないため県本土へ数回の出張を行いました。地域団体商標制度創設前に行った「奄美黒糖焼酎」の通常出願では、単に産地等や品質等のみを表示する商標であること、また、全国的な知名度を獲得したことにより、特定の事業者の商品であることを識別できるものではないことから登録とはなりませんでした。
そこで今回は、電話やFAXで連絡調整を重ね、出願及び証明資料の収集にかなりの費用と時間を費やしました。
4. 地域団体商標の権利取得後のブランド管理及びブランド展開
(1)ブランド管理及び商品・役務の品質管理(管理手法・体制等)
現在、地域ブランド戦略検討委員会が若手経営者や後継者を中心に「奄美黒糖焼酎」の定義等について研修を行っています。
またロゴマークも決定し、商標登録出願中であり、登録後には管理運用規程を作成して組合員及び関係団体等に商標の適正使用の周知を図りたいと考えています。
(2)ブランド展開
組合では「奄美黒糖焼酎」の知名度アップ及び需要拡大を図るため、5月9日と10日を「奄美黒糖焼酎の日」に制定し、首都圏や東北地区で試飲会の開催、チラシの作成、更に新聞への掲載やホームページでの発信等を実施し、組合員は全国各地の物産展や見本市等へも出展しています。

5. 地域団体商標権利取得後の効果
近年、類似品の台頭により組合員も危機感を持ちながら、登録商標の「奄美黒糖焼酎」を前面に掲げ、類似品との差別化を図るために品質管理の徹底を行い、一般消費者への宣伝活動を行っています。
焼酎ブームの沈静化後の権利取得であり、まだ1年余りで売上に目立った変化はありませんが、今後は関係団体とタイアップしたイベントを開催して需要拡大を図りたいと考えています。

6. 今後地域団体商標を出願する者に対してのアドバイス
近隣県への一定期間の周知を証明するための資料収集は大変であり、また取得後の管理も重要であるため、ただ出願するのではなく業界の将来のビジョンをしっかりと関係者内で検討することが必要だと思います。
7. その他
「奄美黒糖焼酎」を見たことも飲んだこともない消費者の中には、原料に黒糖を使用するので「甘いので、健康に良くないのでは」、「黒い色をしているのではないか」といった間違った認識を持っている人が多く見られます。そういった中で、本格焼酎を実際に見て試飲して、初めて糖分がゼロの美味しい焼酎であると認識していただけたことは、業界にとって大変意義のあることだと思っています。