「旧三菱合資会社 唐津支店本館」は、三菱の唐津における石炭販売の拠点として明治41年(1908年)に建てられた大型木造洋館です。
明治期の大型木造洋館は、佐賀県内でも希少であることに加えて、近現代に石炭の積出港として賑わっていた唐津港の歴史を今に伝える貴重な文化財として佐賀県重要文化財に指定されています。
長年、唐津市歴史民俗資料館として公開・活用されてきましたが、老朽化により平成15年以来、休館状態が続いています。
近年は、台風や大雨などで屋根やベランダ、玄関の車寄せなどの傷みも激しくなっています。
この貴重な文化財建造物の保存修復・整備を行い、後世に伝えていくのみならず、再び多くの皆様に訪れていただけるような状態にすることを目指します。

同館は、佐賀県重要文化財に指定された貴重な文化財建造物であるため、その修復・整備については「文化財としての価値を損ねない」ことが求められます。
一方、文化財建造物といえども、見学される皆様の安全を守るために耐震補強などを行う必要がありますが、その対策についても文化財的価値に配慮して行わなければなりません。
そのため、修復工事にあたっては、建物本体の状態や史資料などを調査し、保存修理の方針や活用に必要な整備内容などを十分に検討する必要があります。
また、実際の修復工事に際しても、できるだけ現在残っている建築当初の部材を残しながら修復し、傷んだ部材も傷んだ部分だけを取り換えるなど、文化財としての価値を損なわずに後世に伝えていけるよう慎重に、丁寧に工事を行っていきます。

唐津湾を望む同館の特色は、屋根、床、基礎、内装、ベランダなど明治時代の洋風建造物として創建当初の貴重な姿を見せています。
近年は、アニメの聖地としても人気の同館を楽しんでいただくためにも、保存修理を進めながら、通年で公開し皆様に見学していただけるようにすることを目指します。
公開に際しては、
・日本の近代化を支えた唐津炭田や、そこから産出した石炭の積出港として繁栄した唐津港の歴史を体感できる展示を行っていきます。
・建物自体の文化財としての見どころを紹介することはもちろん、建物や室内の雰囲気を活かした多目的な利用も検討していきます。
・唐津に残されたほかの近代化遺産の紹介も行い、唐津市の近代化遺産を見学する際の拠点としての活用も目指していきます。

受け付けました寄付は、下記の用途に使わせていただきます。
・旧三菱合資会社唐津支店本館の修理、構造補強のための調査・設計
・旧三菱合資会社唐津支店本館の修理工事
・旧三菱合資会社唐津支店本館公開のための整備事業

この度は、旧三菱合資会社唐津支店本館の保存整備事業にご興味をお持ちいただき、ありがとうございます。
令和4年度から6年度まで、皆様の大きなご支援により、着々と事業を進めさせていただいております。改めて御礼申し上げます。
令和7年度は、敷地測量などの実施設計に必要な準備を行うとともに、保存整備委員会で文化財の価値が活かされるような活用方法について検討します。
今後、保存整備事業を数年かけて行いますが、その期間には保存整備の進捗状況の報告として、一時的な特別公開、修理工事見学会を行う予定です。通年公開までもうしばらくお待ちいただきますが、保存整備後は、より多くの方に訪れていただけるよう取り組んでまいります。今年度につきましても、どうぞ温かいご支援をよろしくお願いいたします。