概要
『企業版ふるさと納税』とは、企業が自治体に寄付をすると税負担が軽減される制度のことです。
正式な名称は『地方創生応援税制』といい、自治体の実施する「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」(以下「地域創生事業」といいます。)に企業が寄付をすると、法人関係税が控除される仕組みです。地方創生、人口減少克服といった国家的課題に対応するため、地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対して企業が寄付を行うことにより、地域創生を活性化する狙いがあり、平成28年度に開始されました。
これまでも、企業の自治体への寄付は、寄付額の約3割に相当する額の法人関係税の税負担が軽減されていましたが、企業版ふるさと納税では損金算入で約3割、法人住民税と法人税で4割、法人事業税で2割、 合計で最大9割の税負担の軽減効果があります。例えば、企業が1,000万円の寄付を行い、寄付額の3割の損金算入および最大6割の法人関係税の税額控除を受けられた場合は、実質負担額は100万円となります。
自社の本社が所在する自治体への寄付や、財政力の高い自治体(地方交付税の不交付自治体など)への寄付が本制度の対象外になるなど条件もありますが、寄付額の下限が10万円からとなっており、企業側からみて利用しやすい制度となっています。これにより、企業は積極的に社会貢献(CSR)活動に取り組むことができるようになりました。
Q&A
- 『企業版ふるさと納税』に「お礼品」はありますか?
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お礼品はありません。
企業版ふるさと納税では、内閣府令において、地方公共団体が寄付を行う法人に対し、その代償として経済的な利益を供与することが禁止されています。 - 『企業版ふるさと納税』に「上限」はありますか?
- 上限は以下のように定められています。
法人住民税については法人住民税法人税割額の20%、法人税については法人税額の5%(法人住民税の控除額が寄付額の20%に達しない場合)、法人事業税については法人事業税額の20%がそれぞれ上限として定められています。
下限額として、10万円以上の寄付が対象となります。 - 『企業版ふるさと納税』はどんな「方法」で実施しますか?
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あくまで一例となりますが、次のような方法で『企業版ふるさと納税』が実施されます。
- 1.地方公共団体が「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を企画立案して、企業に相談をし、寄付の見込みを立てます。
- 2.地方公共団体から相談を受けた企業は寄付を検討します。
- 3.地方公共団体は「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を地域再生計画として内閣府に申請します。
- 4.内閣府が、この事業を認定・公表します。地方公共団体もこれを公表します。企業はこれを見てから、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」への寄付を検討することもできます。
- 5.地方公共団体は認定を受けた「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を実施し、事業費を確定させます。
- 6.企業は、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」への寄付の払い込みを行います。
- 7.寄付を受けた地方公共団体は、寄付をした企業に領収書を交付します。
- 8.企業は、「7.」の領収書に基づいて地方公共団体や税務署に「地方創生応援税制」の適用があることを申告して、税制上の優遇措置を受けます。
他には、専門的知識・ノウハウを有する企業の人材の地方公共団体等への派遣を促進することを通じて、地方創生のより一層の充実・強化を図る企業版ふるさと納税(人材派遣型)の仕組みもあります。
詳しい仕組みや企業版ふるさと納税対象事業などは企業版ふるさと納税ポータルサイト(外部リンク、内閣府)をご確認ください。
(出典)「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)について」令和5年2月
監修:セブンセンス税理士法人 公認会計士・税理士 大野 修平
※2024年3月時点の情報です。