DV対策センターのシェルター及びステップハウスには、多様な困難を抱えた方々が多く滞在している。身体障害や精神障害を抱え日常生活や就労・就学にハードルを感じている方、激しいDV・虐待を受け避難してきた母子や若者、家庭の不調和から罪を犯した者など、様々な人を受け入れている。中でも昨今、若年女性からのSOSが増えている。未婚のまま母となった女性、結婚後すぐにDVを受けて避難してきた女性など、幼子を抱えて苦労している女性は少なくない。DVの被害に遭う人の多くは、幼いころ実の両親から虐待を受けた経験を持つ人も多く、安心・安全な子育てのモデルケースを目にしてこなかった人がほとんどである。子どもを育てるとはどういうことなのか、子どもに道徳を教えて、愛情をもって接していくことの大切さや、困った時にどこにSOSを伝えたら良いのかなど、子どもを安全に育てていくための様々な知識がない人が多い。そのため、ストレスをため込みやすく、虐待のリスクも高くなってしまう現実がある。困難を抱えた方からの相談は年々増加傾向にある。その背景にはDV・虐待の世代間の連鎖が大きく関わっているといえる。

【DV対策センターの取組】
●倫理観向上のためのエンパワメント講座
「18歳成人になるまでに身に着けたいこと」「自由と責任」「義務と権利」など毎回異なるテーマをラボ形式で実施。困難を抱える若者や母子が自分で考えて行動し、その結果に責任を持てる人を育てるプログラムを毎月実施する。
●食支援
エンパワメント講座等の参加者への食品・日用品の配布。
●その他活動
困難を抱える方向けのシェルター・ステップハウスの提供、住居を契約する際の支援、子どもの学習支援、メタバース英語教室、定期開催のセミナー等
【新たな取組】
○保育スタッフの配置
私たちの支援を受けるお母さんの中には役所での手続きや就活の一番大変な時期に子育ての負担も合わさるケースが多い。子どもを一時的に当団体の保育スタッフに預けることでストレス過多な時や求職活動中のお母さんの負担を軽減させる。

○楽しい子育てカフェの開催
安心・安全な子育てを指南していく時間やストレス緩和の時間を提供していく。それにより、若年女性でひとりで子育てしている母親が、安心して安全な子育てをしていくことができるようになり、虐待リスクを減らすことができる。
○メタバース英語教室の拡充
今回はこれまで月1回の開催だったメタバース英語教室を月2回開催へと拡充していく。「世界遺産を英語で学ぼう」や「英単語の覚えるコツ」など様々なテーマをメタバース上で学習する。オンライン上のキャラクターを通して交流していくことで、その人なりに社会で関わり続けていける居場所となることはとても重要である。
これらの支援を提供することで、DV・虐待の世代間連鎖を防ぎ、豊かな生活に向かって進んでいける人を育てていくことを目的とする。その他、仕事が見つからず生活保護を受けている人や就労に躓きを感じている人に対しては、就労移行支援施設と提携し、その人にあった就労支援を行う。心身疾患を患っている方には、心理士のカウンセリングを受けていくサポートを行うなど、様々なサポートにより、自立の道を支えている。

困難を抱える方々の多くは居場所を求めている。今日明日の住む場所のない方にはシェルターを提供し、まずは身の安全を確保してもらう。心の居場所も大切である。ネット空間で顔出しなしでチャットやスタンプで交流しながら楽しく英語を学べるメタバース空間は心に傷を負った方々が自分を表現することのできる貴重な場となっている。対面では今回新たに実施する楽しい子育てカフェ、これまで行ってきた心理士によるカウンセリング、新たな価値観・倫理観の獲得を目的としたエンパワメント講座の実施により多様な困難を抱える方々の心の傷を癒やし、社会に再び出ていくための態勢を整える。
私たちの行っている活動の結果は定量的でなく目に見えにくい。しかしながらこれまでの歩みの中で「利用してよかった」という声も数多く頂く。1人でも多くの方々が困難を脱却し社会へ再び羽ばたいていくこと、そして課題背景にあるDV・虐待・貧困の連鎖を断ち切ることが本事業の目的である。

頂いた寄付金は以下の項目に使用してまいります。
○保育スタッフの人件費
○楽しい子育てカフェの会場費
○メタバース英語教室に係るメタバース空間、Wifiの利用料
○エンパワメント講座受講者のお弁当代
なお、目標金額を上回った場合や、プロジェクトの実施後に残額が生じた場合は、上記以外の関連する活動経費に活用させていただきます。
また、寄付金額の一部については、神奈川県の「かながわボランタリー活動推進基金21」に積み立ての上、県内のボランタリー活動への支援にも広く活用させていただきます。

このたびは、当プロジェクトに関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
近年、地域課題が多様化・複雑化する中、先駆性・専門性・行動力を持って地域課題の解決にあたるNPOは大変重要な存在となっております。
そこで、神奈川県では、ふるさと納税制度を活用し、皆さまが支援したい神奈川県内のNPOのプロジェクトを指定して寄附することができる制度を開始しました。
多くの皆さまにプロジェクトの趣旨にご賛同いただき、温かいご支援・ご協力いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。