今さらきけない控除の意味って?目的や種類は?

「控除」という言葉を耳にしたことがあっても、具体的な意味についてはよく分からないという人も多いのではないでしょうか。控除は、税金について考える際にとても重要となる概念です。控除にはさまざまな種類があります。そして特定の控除を受けるためには、基本的に申告を行う必要があるので注意しましょう。今回は、控除の意味や種類などについて詳しく説明します。

控除の意味とは

「控除」という言葉には、金額などを差し引くという意味があります。とくに「所得控除」は、税金の計算を行う際によく使われる言葉です。課税の対象となる所得額から一定の金額を差し引くことを示しています。

税金は所得額をもとにして計算するため、所得額から控除を行うと払うべき税金が少なくなります。所得控除の利点は、結果として所得税や住民税が少なくなることです。

どんな所得控除がある?

所得控除の種類について具体的にみてみましょう。まず、納税を行う全員に適用となる「基礎控除」があります。基礎控除の金額は38万円です。ほかの控除は全て定められた条件に合致する場合に適用されるものですが、基礎控除は条件に関係なく適用されます。

条件に合う場合に適用される控除としては、たとえば「雑損控除」があります。雑損所得控除は、生活に必要な資産について一定の損害を受けた場合に受けられる控除です。自然災害だけでなく、火災など人為による災害が原因であっても認められます。

なお、盗難や横領によって損害が出た場合でも控除が受けられますが、詐欺や恐喝が原因の場合は認められません。
また、「医療費控除」は、その年に支払った医療費が一定額を超えている場合に適用されます。配偶者など生計を一つにしている親族の医療費も対象とすることが可能です。

次に、「社会保険料控除」があります。自己又は生計を一にする配偶者等の健康保険・国民年金・厚生年金などを支払った場合に適用されるものです。
さらに、「小規模企業共済等掛金控除」があります。これは、小規模企業救済法に定められている一定の掛金等を支払った際に認められています。
さらに、「生命保険料控除」もあります。生命保険料等を支払った場合に、一定の金額について控除を受けることができます。ただし、保険の契約をした時期や対象期間によって扱いが異なる場合があるため注意が必要です。

保険料の支払いによる控除としては、ほかにも「地震保険料控除」があります。地震保険料控除は、長期損害保険料控除が廃止されたことにより導入された経過措置です。そのため、控除として認められるための条件としては、締結時期や契約内容について細かい制約があります。

「障害者控除」は、本人や同一生計配偶者、扶養親族が税法上の障害者に当てはまる場合に受けられるものです。知的障害と身体障害のどちらも対象となります。ただし、障害の程度について定めがあります。

また、「寡婦(寡夫)控除」というものもあります。これは、その年の12月31日の現況で元配偶者と死別または離婚し、再婚をしていない場合等について認められる控除です。
控除金額は、寡婦と寡夫の違いによって異なる場合もあります。さらに、「勤労学生控除」は、定められた学校に通いつつ勤労による所得がある場合に適用されます。学校教育法で規定されている小学校、中学校、高等学校、大学をはじめとし、さまざまな学校が対象です。

また、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」といったものもあります。配偶者控除は、納税者に配偶者がいる場合に受けられる控除です。納税者本人の所得が900万以下の場合、配偶者は年間の所得が38万以下である必要があります。納税者本人の所得が900万超1,000万円以下の場合は配偶者の所得金額は段階的に減額します。ただし、配偶者の所得が38万円を超える場合であっても控除が受けられる場合があり、それは配偶者特別控除と呼ばれています。

さらに、配偶者以外の16歳以上の扶養親族がいる場合には、「扶養控除」を受けることが可能です。扶養控除についても年間の合計所得金額が38万円以下であることなど、複数の条件があります。

ほかには、「寄付金控除」というものがあります。国や地方公共団体に寄付を行った場合に受けられる控除のことです。ふるさと納税もこれに含まれるため、所得控除の対象となっています。

所得控除を受けるには?

所得控除を受けるためには、会社での年末調整の際に申告するという方法があります。給与所得者は、年末調整前に書類を提出することで会社に計算してもらうのが一般的です。それぞれの会社によって手続きの流れは異なります。時期を逃すと年末調整に間に合わなくなる可能性もあるため、事前にきちんと確認しておきましょう。

確定申告をしなければならない控除もある

控除の種類によっては、確定申告でなければ申請できないものもあります。これに該当するのは、雑損控除、医療費控除、寄付金控除などです。

ただし、ふるさと納税には「ふるさと納税ワンストップ特例制度」というものがあり、これを利用すれば確定申告の必要がなくなります。

なお、ワンストップ特例制度を利用する場合は所得税の還付はなく、翌年の住民税が所得控除相当額含め減額されるというかたちで控除が実施されます。このように、確定申告とワンストップ特例制度では控除の方法も異なるため注意が必要です。

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税額控除等を受けるなら申請は必須!

税額控除等を受けるためには、年末調整か確定申告が必要です。申請を忘れると控除を受けることができなくなってしまいます。こういった手続きは毎年きちんと行わなければなりません。
手続きができる期間は限られているため、ご注意ください。

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