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年末調整で発生することも!知っておくべき過不足税額とは?

「過不足税額」という言葉をご存じでしょうか。言葉自体は見聞きしたことがあっても、意味はピンとこないという人もいるかもしれません。実は、普段源泉徴収で所得税を支払っている人の場合、過不足税額が発生するのはそれほど珍しいことではないのです。いきなり「過不足税額がある」などといわれて慌てることのないように、あらかじめ基礎知識を身につけておきましょう。この記事では、過不足税額について詳しく解説します。

過不足税額って何?

過不足税額とは何なのかを簡単に説明すると、「実際に納めるべき所得税額と既に源泉徴収した金額の差額」と言い換えることができます。源泉徴収とは、所得税の納付方法のひとつです。給与所得者などが給料を受け取る際に、会社が前もって所得税分を差し引いて国に納める方式のことをいいます。

特定の所得については、会社などの第三者が納税義務者から所得税を徴収し、国へ納付しなければなりません。第三者の手による税金の納付を徴収納付といい、源泉徴収は所得税の場合だけを指す特別な呼び方です。源泉徴収は給与所得だけでなく、報酬や利子・配当、年金、退職金などに対しても行われます。

源泉徴収は、支払金額が100万円以下の場合は支払額の10.21%、100万円を超える場合は20.42%です。100万円を超えたら全額に20.42%がかかるのではなく、100万円以下の部分には10.21%、100万円を超える部分には20.42%の税率がかかります。それぞれ端数の0.21%、0.42%は復興特別所得税の税率で、合算するかたちでの納付です。

毎年、年末になると給与を支払う都度源泉徴収した税額と納付すべき税額(年税額)の調整をするために年末調整が行われます。過不足税額は、1年間に徴収した税額と1年間に納めるべき年税額を比較した際に発生した超過金、あるいは不足金のことです。源泉徴収税を余分に払っていれば過不足税額はマイナスになり、払った金額が足りなければプラスの数字になります。

過不足金はどうやって清算される?

過不足税額がある場合は、年末調整の結果として知らされたうえで清算されます。徴収税額が多い場合には還付、少ない場合には追加徴収というかたちでの精算です。一般的には、年末の給与が支払われるときには年末調整が終わっているので、12月に給与で精算されます。

なお、給与所得ではなく、報酬等が源泉徴収されている場合は源泉徴収票ではなく、支払調書というかたちで源泉徴収の内容を記載します。年末調整の対象ではないので、清算は確定申告で行わなければなりません。しかし、支払調書の交付は一定の条件の場合以外は義務づけられていないので注意が必要です。源泉徴収額の過不足がわからなければ清算できないので、源泉徴収されているのであれば、支払調書の交付を申請するようにしましょう。

過不足税額が発生するのはなぜ?

毎月の給与の源泉徴収税額は、月々の支払額に応じ、所定の方法により計算した所得税及び復興特別所得税です。その年最後に給与の支払をする際、実際納付すべき税額を計算して、誤差を調整するのが年末調整で、そのときに生じる差額が過不足税額になります。過不足税額が発生する理由はいくつか考えられますが、税額計算に使用される税額表が簡略化されていることなどがあげられます。

途中で扶養親族の人数が変わった場合も過不足が起こります。控除される金額が変わるからです。控除という点では、生命保険料や地震保険料控除を受ける場合も年末調整で過不足が生じます。月々の源泉徴収税額を計算する時点では、生命保険料や地震保険料の控除は考慮されていないからです。

ふるさと納税の寄付金はどのように扱われる?

ふるさと納税の寄付金は、一般的に「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の対象になっています。ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税の寄付金に関しては、確定申告を行わなくても寄付金控除を受けられるという仕組みのことです。

この場合、所得税の所得控除はされませんが、住民税についてはその所得控除相当額を含め、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に減額という形で控除されます。寄付を行った自治体に対して、必要事項を記入した寄付金税額控除にかかる申告特例申請書を送ることで、特例を受けられます。

ワンストップ特例制度の申請を出していれば自治体で納付されるため、別途確定申告する必要はないということです。

ただし、ワンストップ特例制度は誰でも利用できるというわけではありません。条件があります。まず、もともと確定申告の必要がない給与所得者などであることが必要です。

ふるさと納税はなぜ年末調整ができないの?

ふるさと納税の寄付金控除は年末調整できません。それは、年末調整で控除を受けるためには、何らかの証明書を会社に提出しなければならないからです。ふるさと納税を含む寄付金と医療費に関しては、12月31日を過ぎないと1年間の総額を確定できません。ふるさと納税は基本的に年末ぎりぎりまで行うことができるからです。

それに対して、年末調整の計算は11月末から12月中頃にかけて行われます。一般的に年末の給与支払いのタイミングで過不足税額が清算されるので、それまでに過不足税額の計算が終わっていることが必要です。しかし、金額が自由な寄付金の場合、毎月の支払いが決まっている保険料などと同じように概算で年間の寄付金額の証明書を出すこともできません。まだ年間の寄付金額が確定されていないタイミングでは証明書等の発行もできないため、ふるさと納税の寄付金控除は年末調整には適用されないというわけです。

ふるさと納税の還付・控除を受けるには申請・申告が必要

この記事で紹介してきたように、年末調整を受けられる給与所得者等でも、年末調整とふるさと納税の寄付金控除の手続きは別々に行う必要があります。年末調整の対象になっている生命保険料や地震保険料などの控除は会社に任せて問題ありませんが、ふるさと納税に関する手続きは会社任せにできないことを覚えておくことが大切です。

ふるさと納税をするたびに、対象の自治体へワンストップ特例制度の申請書を郵送すると、自治体側で納付をしてくれます。ただし、ワンストップ特例制度を受けるためには条件を満たしている必要があるので注意が必要です。ワンストップ特例制度を受けられない場合には確定申告が必要になるので、そのこともきちんと覚えておきましょう。