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東京都だと住民税はいくら?計算方法を紹介

住民税は都道府県や市町村が徴収する税金です。課税対象となる世帯に一律に課税される「均等割」と納税者の所得に応じて課税される「所得割」から成り立っています。しかし、その住民税をどれぐらい支払っているかよく分からないという人もいるでしょう。住民税について知りたいなら、その計算方法を把握しておかなければいけません。そこで、この記事では住民税の計算方法について紹介します。

そもそも東京都の住民税とは?

そもそも、住民税という名称の税金は存在しません。住民税というのは、都道府県民税と市町村民税の2つで構成されており、その総称だからです。
また、正確にいうと東京以外の道府県では「道府県民税+市町村民税」ですが、東京都に限っては「都民税+特別区民税(市町村民税)」となっています。特別区民税と市町村民税の違いも基本的には名称だけだと思って構いません。23区内に住んでいる人は特別区民税が課税され、23区外に住んでいる人は市町村民税を納める必要があります。

なぜ、東京都だけ住民税の名称が違うかというと、地方税法に「道府県民税や市町村民税などの一部の税金を都税(市町村民税は特別区として準用)として課税する」と表現されているからです。つまり、道府県で課税されている道府県民税や市町村民税と、東京都で課税されている都民税や特別区民税は本質的に変わりありません。
東京都の住民税の均等割は、「都民税1,000円」「市町村民税(特別区民税)3,000円」です。ただし、東日本大震災の影響を受けて、地域の防災活動費に回す資金を確保することを目的として、平成26年度から平成35年度まで500円加算されています。

その結果、東京都の均等割は「都民税1,500円」「市町村民税(特別区民税)3,500円」の合計5,000円です。

【計算方法1】給与所得の額を調べる

住民税の所得割を計算するためには、まず給与所得の額を調べる必要があります。ただし、所得税と違って、住民税は前年度の所得が影響しますので注意しましょう。
給与所得とは、前年の1月1日から12月31日までに得た給与収入から、給与所得控除を差し引いた金額です。給与所得控除は、給与等の収入金額に応じて計算します。給与所得だけのサラリーマンは源泉徴収や年末調整を行うだけで所得税を納税できるため、確定申告を行いません。そのため、個人事業主のように文房具などを事務用品として経費に計上できず、所得が多くなって納める税金も増えてしまいます。そのような職業間による不公平差をなくすために作られたのが給与所得控除です。

給与所得控除は、給与収入の金額が増えれば増えるほど大きくなります(上限あり)。たとえば、1年間の給与収入が300万円のときは「300万円×30%+18万円=108万円」です。しかし、給与収入が500万円のときは「500万円×20%+54万円=154万円」となります。給与収入から給与所得控除を差し引いた金額を給与所得と呼ぶのです。つまり、給与収入が300万円の場合は「300万円-108万円=192万円」が給与所得となります。

平成29年分~平成30年分の場合

【計算方法2】課税金額と調整控除額を割り出す

給与所得を算出したら、次に課税所得を計算します。課税所得は、給与所得から人的控除や社会保険料控除、生命保険料控除などを差し引いた金額です。人的控除として挙げられるのは、納税者本人に無条件に適用される基礎控除、一定以下の収入しかない家族に適用される配偶者控除や扶養控除などがあります。注意しなければいけない点としては、所得税と住民税の計算においては名称が同じ控除でも金額が異なるケースがあるということです。

たとえば、基礎控除の所得税における控除額は38万円ですが、住民税では33万円になっています。同様に配偶者控除や扶養控除も金額が異なりますので、気を付けましょう。
仮に、独身で給与所得が192万円だった場合、「192万円-33万円(基礎控除)=159万円」が課税所得となります。

人的控除以外の控除額として挙げられるのは、厚生年金や健康保険などで支払っている社会保険料控除、生命・医療などに支払っている生命保険料控除などです。社会保険料控除は基本的に支払っている金額全額が控除されます。しかし、生命保険料控除や介護保険料控除といった控除には限度額が設定されています。

たとえば、平成24年度以降に契約した新生命保険料控除の限度額は最高2万8000円です。それに対して、平成23年度以前に契約した旧生命保険料控除は最高で3万5000円になっています。ただし、新契約では新生命・介護医療・個人年金の3つに控除額が設定されているのに対して、旧契約では生命・個人年金の2つだけ(介護・医療は生命に含まれる)です。
また、新・旧どちらの契約でも最大で適用限度が7万円となっているため、契約年数が古いと控除額が大きいからといって有利だとは一概に言えません。仮に、新生命保険に年間で支払っている保険料が6万円だった場合は2万8000円が控除され、課税所得は「159万円-2万8000円=156万2000円(1,000円未満切り捨て)」となります。

課税所得を算出したら、調整控除を計算しておくと後で楽になります。調整控除とは、所得税と住民税の間の控除額の差額を埋めるために作られた制度です。課税所得が200万円を超えるかどうかで計算方法も変わります。課税所得が200万円以下の場合は、「課税所得あるいは所得税との人的控除額の差の合計の少ないほうに5%を掛ける」です。200万円を超えた場合は「{所得税との人的控除額の差の合計-(課税される金額-200万円)}×5%」となります。ただし、2,500円未満となった場合は「都民税1,000円、特別区民税または市町村民税1,500円」の合計2,500円となります。課税所得が156万2000円で、人的控除が基礎控除だけの場合は、基礎控除の差額である5万円に5%を掛けた2,500円が調整控除として住民税額から直接差し引かれます。

【計算方法3】住民税額を計算

東京都における住民税の所得割額の計算式は「都民税+市町村民税(特別区民税)-(調整控除+税額控除)」です。住民税の所得割額の税率は「都民税4%」「市町村民税(特別区民税)6%」という標準税率が定められています。たとえば、板橋区において課税所得156万2000円の場合における算出所得割額は「156万2000円×10%(都民税4%+市町村民税(特別区民税)6%)=15万6200円(100円未満切り捨て)」です。算出所得税額から調整控除や税額控除を差し引きますので「15万6200円-2,500円=15万3700円」が所得割額となります。最終的には、所得割額に均等割の5,000円が加算されますので、納付する住民税は「15万8700円」です。

税額控除とは所得控除と違い、納付する金額から直接引き算ができる控除です。対象となるものには、住宅ローンを借りた一定の要件を満たした人が申請できる「住宅借入金等特別税額控除」やふるさと納税を行った人に適用される「寄付金控除」などがあります。

ふるさと納税を行った場合は、所得税と住民税の両方から引き算され、実質的な負担はおよそ2,000円になります。

納付時期と納付方法のルール

住民税の納付方法は、大きく分けて「普通徴収」と「特別徴収」の2つがあります。普通徴収は、5月~6月頃に郵送で送られてくる納付書を元に、納税者自らが納付する方法です。一括での支払いも可能ですが、負担が大きくなるケースもあるため、4回に分割して支払うこともできます。ATM・金融機関の窓口やコンビニのレジ・クレジットカードなどで支払いが可能です。

特別徴収は所得税の源泉徴収と同様に、毎月の給与から天引きされる方法です。サラリーマンは基本的に特別徴収で住民税を納付しています。

ただし、副業や株式の売却益で給与収入以外に20万円以上の利益を得ている人などで、確定申告を行なっている人は普通徴収と特別徴収を選択することも可能です。
確定申告書の第二表にある住民税の納付方法を選択する項目で、「自分で納付」を選択すればサラリーマンであっても給与以外の収入にかかる住民税を自分で納付できます。

一つひとつしっかり計算すれば難しくない!

住民税の計算は「均等割」と「所得割」に分かれており、それぞれに「都民税」と「市町村民税(特別区民税)」があります。それぞれが複雑に絡み合うと難しく感じてしまうかもしれませんが、一つひとつきちんと計算していけば、それほど難しいものではありません。給与所得控除や人的控除などの控除額をしっかりと算出したうえで、住民税を割り出すようにしましょう。

住民税を算出することで所得税の計算も比較的容易になり、さらには確定申告書の作成にも役立ちます。政府がすすめている働き方改革で、今後はサラリーマンにも副業が推奨される可能性がありますので、住民税の計算に慣れておいて損はないでしょう。