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3年連続の豪雨被害に負けず復興に歩みを進める

福岡県朝倉市 事業者を支援し、ふるさと納税を有効活用

水と緑に囲まれ、豊かな自然に恵まれた、福岡県のほぼ中央に位置する朝倉市。田園を潤す三連水車、城下町の風情を残す秋月など豊かな自然、歴史、文化に彩られた魅力的な観光資源が随所に点在しています。
そんな魅力あふれる朝倉市は、2017年~2019年の3年にわたり、毎年7月に豪雨被害に見舞われました。そんな中、毎年の豪雨に負けずに市内事業者と共に復興に向けて歩みを進める朝倉市総務部ふるさと課の森田和枝課長に話を伺いました。

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大きな被害をもたらした豪雨

3年連続で豪雨が発生している朝倉市。特に被害の大きかった「平成29年7月九州北部豪雨」では市内各地で約450か所の山腹崩壊が発生するとともに、土砂と流木が大量に流下したことで市内のいたるところに被害を及ぼしました。また、河川の氾濫も起こり、これにより市内の広範囲で数多くの浸水被害が発生しました。

「まちの基幹産業である農業も大きな打撃を受けました。ここ3年の豪雨による被害総額は530億円といわれています。(2019年11月時点)
毎年続けて被災している為被害も大きく、災害時に農地へ流れ込んだ土砂を未だに回収しきれていないところもあり、復旧したエリアも就農者の高齢化などにより収益が減ってきています」

三連水車の里あさくら①(農振)_r.png白木谷川_2 (7)_r.png

「平成29年7月九州北部豪雨」被災時の様子

生産活動をあきらめない

災害により経営農地を失った事業者もいましたが、「ここの農地はだめでも他の農地がある!」と皆あきらめずに頑張っています。

robin_富有柿(元)_r.png朝倉市の特産品「富有柿」

農業が盛んな朝倉市では、特産品の富有柿をはじめ、梨やぶどう、いちごなどのフルーツのほか、野菜が多く収穫され、ふるさと納税でも人気があります。
これらを提供する市内事業者は全国からの支援を糧に、災害から約1か月後にふるさと納税へのお礼品提供を再開。これには、「被災しても朝倉市は元気なんだ」とPRしたいという想い、「良いものを届けたい」という想いが込められていました。

とある事業者は、「全国の人たちに助けられました。命のある限りやっていこうと思っているし、頑張らにゃいけないと思うし、柿を作っていきたいと思います」といっていました。

「農業の復興には、こうした事業者の努力はもちろん、全国から駆け付けた農業ボランティアの方々の力添えがあったことも大きく影響しています。被災後、JA筑前あさくらと朝倉市が共同で農業ボランティアセンターを立ち上げ、現在も農業ボランティアの方々が応援に来てくれています」

農業ボランティア1_r.png農業ボランティアの様子

ふるさと納税の寄付金を有効活用

さとふるでは、お礼品提供を伴うふるさと納税の寄付受け付けのほか、お礼品を伴わない「災害支援」も行っており、今現在も支援サイトを通じた寄付を受け付けています。

令和元年九州北部大雨 災害緊急支援募金

朝倉市へのふるさと納税の寄付金は農地災害復旧事業、農業用施設災害復旧事業、地域コミュニティ活動支援事業などに活用されています。
具体的な一例としては、農業関係の施設修理費や、農家にとって欠かせない水路を引く費用などに充てられました。
このようにたくさんの寄付が有効に活用されているものの、すべての復旧・復興が完了しているとはいえません。市内には未だ避難解除ができない地域もあり、復旧・復興には時間と費用を要します。引き続き、多くの支援を必要としています。

市の代表である事業者を応援

森田課長は、「とにかく事業者を応援したい」と話します。

「彼らは朝倉市の代表です。事業者が元気でないと、彼らに収益がないと、行政もうまくいかないと思っています。そのための応援として、私たちもできる限りサポートしています。例えば、ふるさと納税に参加する際、高齢のためパソコンが使えないという事業者も多く、そのサポートをしたり。
事業者にとってふるさと納税が新たなスキルを身に着ける機会になっていて、梱包の仕方や、PR文言を自分達で研究しています。そうこうしているうちに、いつの間にかHPを立ち上げ、ネット販売を始めた事業者もいます。

事業者には無理のない範囲で、ふるさと納税をうまく活用してほしいです。販路がないなら、少ない数でもいいからふるさと納税に出してもらって、収益を上げてほしいと思っています。朝倉市には大きな事業者がいるわけではないし、大都会でもありません。でも小さな町にこれだけの応援が来て、地域産業の収益につながったことで、『また来年の収穫に向けて頑張ろう、皆応援してくれたから頑張らないと』という事業者の声も届いています。

事業者は皆元気です。沈んでいても仕方ないしやるしかない。朝倉の方言でいえば『えーらい、がんばるばい』(とても頑張るの意)です!」

石井さんと柿1_r.png柿農家「石井農園」石井洋子さん

朝倉市の若い世代からシニア世代まで、前を向いて頑張っています。
2019年から2020年にかけて、ふるさと納税の事業者数は、農家を中心に1.5倍に増えました。

「農家さんを訪ねて、一緒にふるさと納税を活用していこうというお話をすると、『ただでさえ復旧にお金を使っていて、売り上げもがた落ち、今後生計をたてられるか不安という中で、少しでも収益や今後の発展につながれば』といって参加してくれます」

朝倉市のふるさと納税は、地域産業の活性化だけでなく、PRやファン獲得につながっていて、制度がうまく活用されていると感じました。

全国からの支援に感謝

最後に、ふるさと納税の寄付者へのメッセージを伺いました。

DSCF2119_r.png朝倉市総務部ふるさと課 課長 森田和枝さん

「『ありがとう』の気持ちを一番伝えたいです。皆さんの支援があるからこそ今があるのは事実です。
小さな朝倉市の特産品や旬のものを、自信を持って届けています。毎年の豪雨被害にへこんでいて、お金がなくて苦しいと気持ちはざわついていますが、皆さんからの勇気・応援があるからこそ元気に活動しています。だからありがとうと伝えたいです。

市内の中心部はもとから被害が少ないため、『本当に災害が起こったの?』という声もありました。市内約450か所の山腹崩壊がある中、農地を失っている人もいて、そんな中で違う農地で頑張ってくれている人たちがいます。それを間近に見ている我々は、彼らを支援し、応援しています。こうやって今も頑張っている人たちがいることを知ってほしいですし、忘れないでほしいです」

災害発生後1、2年で復旧・復興を成し遂げることは難しく、その間に多くの人の中でその災害が風化してしまうのも事実です。
ふるさと納税を活用した支援は、自宅にいながら被災地を応援することができ、誰でもできる支援の形です。朝倉市が以前の生活を取り戻し、さらに被災前よりも輝く朝倉市を目指すため、温かいご支援を宜しくお願い致します。