2020/01/10
令和元年の「ふるさと納税」を振り返る
「さとふる ふるさと納税現状報告会2019」レポート(前編)
『さとふる』は2019年12月9日に、「さとふる ふるさと納税現状報告会2019」を開催しました。この報告会は『さとふる』の2019年の取り組みを発表すると共に、ふるさと納税を取り巻く現状を自治体と振り返るというもの。
地方税法の改正があり、6月には「ふるさと納税の見直し」が行われた2019年は、自治体やふるさと納税サイトを運営する『さとふる』にとってどんな年だったのか?報告会の様子を、リポートします。(全2回)
(左から)広島県廿日市市 松尾室長、佐賀県みやき町 末安町長、
株式会社さとふる 青木、和歌山県有田市 成田理事、北海道八雲町 冨樫氏
様々な立場からお話を聞かせていただきたい。そんな思いから、株式会社さとふるの取締役 兼 COOの青木と共に、4自治体の方々にトークセッションに登壇いただきました。
<登壇者>
株式会社さとふる 取締役 兼 COO 青木大介
佐賀県みやき町 町長 末安伸之氏
和歌山県有田市 経済建設部 理事 成田裕幸氏
広島県廿日市市 経営企画部シティプロモーション室 室長 松尾和政氏
北海道八雲町 政策推進課企画係 主事 冨樫佑允氏
環境が変化した1年。それぞれの立場からの取り組みや意見を発信
はじめに、株式会社さとふる 青木から挨拶とともに、本イベントの開催目的について、説明がありました。
「今年は法改正もあり、自治体や我々のような民間企業にとって大きく環境が変化した年でありました。この環境が変わった年に、各自治体がそれぞれ何を考えて、何に取り組んでいたかということをぜひお知らせしたい。また、それぞれの立場から、地域の発展のための展望や意見を聞いていきたいという想いで、今回の報告会を開催しました。会を通じて、ぜひ今のふるさと納税を取り巻く状況を把握していただき、今後のふるさと納税制度の発展について考えていくことができればと思っています」
株式会社さとふる 青木より、2019年の業界動向やさとふるの実施事項について紹介
青木からの挨拶の後には、北海道八雲町・和歌山県有田市・広島県廿日市市・佐賀県みやき町の4自治体が登壇し、改正地方税法施行後の影響や取り組みの変化、そしてこれからのふるさと納税の在り方についてトークセッションを実施しました。
ここでは『さとふる』にて自治体・事業者を対象に実施した、アンケート調査結果をもとに、各自治体より様々な意見が挙がりました。
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テーマ①改正地方税法の施行について自治体の意見は?
調査結果によると、「ふるさと納税制度の見直し」の内容に5割以上の自治体が「満足」と回答しています。
各自治体からは、ルールの明確化を評価する声が挙がる一方、北海道の自治体ならではの意見や、再指定に向けたコメントなど、立場の異なる自治体それぞれの見解が示されました。
北海道八雲町 冨樫氏
「今回の法改正によって一定の線引きができたことで、お礼品の過熱競争が収まり、寄付金の使い道から応援する自治体を決めるという、本来の寄付文化の定着に繋がっていると考えています。しかし、お礼品の代金や配送費も含め、ふるさと納税の募集経費を寄付総額の5割以内に抑えるというルールについては、もう少し地理性を加味してもいいのではないかと感じています。北海道や九州などの自治体は、本州の自治体と比べて寄付者の多い三大都市圏への配送距離が長く、比例して配送費も高くなる傾向があるというのが現状です」
和歌山県有田市 成田理事
「我々も、法規制も含めてルールの明確化がなされたことは、評価しています。他方で、近隣自治体が共通のお礼品を取扱う"共通返礼品"などもそうですが、節度を持って活用してほしい。決められたルールの中でしっかりと自治体側も、ふるさと納税の主旨を踏まえ本当に地域の発展に繋がるものなのかを考えてお礼品を管理したり、作っていくべきではないかと考えています」
佐賀県みやき町 末安町長(2019年6月からふるさと納税の対象外自治体)
「指定を受けなかったことについては、過剰なお礼品競争に参加して、多額の寄付をいただいた結果であると認識しております。当初から、明確な基準を整備した上で総務省が指導しない限り、一律に総務省の通知に従う自治体ばかりではないということも申し上げていたが、今回の税法改正で整備されたため、今後は、定められたルールに基づき、今年度の他自治体の取り組みを参考にしながら、来年の指定に向けて努力をしたいと考えています」
それぞれの自治体の立場から率直な意見が交わされた
テーマ②法改正後、寄付額の変化はあったのか?
調査では約6割の自治体が、昨年の4月~9月に比べ、寄付額が増加したと回答したことを発表。増加は「ふるさと納税制度見直し前の駆け込み寄付」「一部の自治体に集中していた寄付の分散」によるもの、減少は「お礼品の見直し(内容量の変更、お礼品数の減少)」によるものといった回答が多くありました。
北海道八雲町 冨樫氏
「今回の法改正を受けて、昨年の4月~9月の寄付金額と比べ、約4割近く寄付金額が減少した。この要因としては、返礼割合が統一されたことで、お礼品のお得感よりも、寄付金の使い道への共感が重要な要素となっていると考えています」
和歌山県有田市 成田理事
「法改正を受けて、昨年度の4月~9月までの寄付額が約2億6,000万円だったところ、今年度は同時期で約11億円となりました。これは、これまで行ってきた地域の特産品の発掘や磨き上げといった取り組みを評価していただいた結果だと考えます」
有田市では有田みかんのブランディングなど、地域の魅力をさらに
磨き上げることで寄付額増加につながった
広島県廿日市市 松尾室長
「昨年と比べ、寄付額は約2倍程度の伸びとなっています。しかし、6月の法改正の影響については、我々はかねてより返礼割合3割以下を順守していたため、法改正の影響はないとみています。また、寄付金額増加の要因としては、『さとふる』の担当と一緒にお礼品事業者を回り、お礼品を拡充したことが増加に繋がったと考えています」
報告会の前半では、2019年6月の法改正への意見や、そこから発生した影響について、各自治体からの意見が交わされました。
後編では法改正を受けた、それぞれの取り組みや、今後のふるさと納税の発展の為に「お礼品は必要か」などのテーマで行ったトークセッションの様子などをお伝えします。
「さとふる ふるさと納税現状報告会2019」レポート(後編)はコチラ>>