2020/01/14
2020年からのふるさと納税制度の発展に、お礼品は必要か
「さとふる ふるさと納税現状報告会2019」レポート(後編)
『さとふる』は2019年12月9日に、「さとふる ふるさと納税現状報告会2019」を開催しました。この報告会では『さとふる』の2019年の取り組みを発表すると共に、ふるさと納税を取り巻く現状を自治体と振り返るというもの。
前編では『さとふる』が行ったアンケート調査の結果を基に2019年6月に行われた「ふるさと納税の見直し」に対する自治体の意見や、寄付額への影響という部分について、登壇自治体の声を紹介してきました。後編では法改正を受けたそれぞれの取り組みや、今後のふるさと納税の発展の為に「お礼品は必要か」などのテーマで行ったトークセッションの様子などをお伝えします。
「さとふる ふるさと納税現状報告会2019」レポート(前編)はコチラ>>
当日は各自治体の取り組みに関するパネルやお礼品の展示も行われた
テーマ③「ふるさと納税制度見直し」を受けた新しい取り組み、施策は?
法改正を受けた課題や、具体的な取り組みについて議論。約6割の自治体が「ふるさと納税制度の見直し」を受けて、新しい取り組みを「実施・予定している」または「検討している」ことがわかりました。
具体的な取り組みとして、北海道八雲町から "さとふるおまとめ便"について、その他の自治体からは特産品や観光資源を生かしたお礼品について意見が挙がりました。
北海道八雲町 冨樫氏
「かねてより、『さとふる』と配送費について話をしていた中、今回の"さとふるおまとめ便"のお話をいただきました。当町はふるさと納税の募集経費に占める配送費のウエイトが非常に大きく、返礼割合が3割を下回る状況です。少しでも他の自治体と同じように返礼割合を3割に近づけること、そして地域の事業者に少しでも寄与できるように、『さとふる』と一緒に実証実験を行っています」
北海道八雲町 冨樫佑允氏
株式会社さとふる 青木
「今回の"さとふるおまとめ便"は、お礼品の配送費負担が大きい自治体に向けて配送費の削減を実現し、自治体間の格差を解消することを目的に、個別にお礼品を配送するのではなく、まとめて首都圏地域に配送した上で個配をすることで、自治体の配送費の負担を下げられないかという取り組みです。実証実験では、約2,200個のお礼品をまとめて配送することで、15%程度の経費削減ができました。また、ふるさと納税のお礼品配送が多い12月~1月では、20%程度削減できるのではないかと考えており、今後は全国の自治体に提供していけるように現在検討しています」
「さとふるおまとめ便」の仕組み
和歌山県有田市 成田理事
「法改正でお礼品は『地場産品に限る』となったことを受けて、有田みかんの品質管理の徹底など、ブランディングを強化しています」
佐賀県みやき町 末安町長
「来年度の再指定に向けて、栽培に力を入れている『神バナナ』を使用した、基準に沿った産品の開発などを事業者と一緒に行っている。ふるさと納税を活用して新しい特産品として全国へ届けたいと考えています」
広島県廿日市市 松尾室長
「ふるさと納税をきっかけに市へ訪れてほしいという思いがあり、『さとふる』と共同で新幹線のチケットや宿の宿泊券がついた宮島観光をできる体験型お礼品の開発を行いました」
株式会社さとふるが支援し実現した廿日市市の体験型お礼品一例
テーマ④ふるさと納税にお礼品は必要?健全な発展の為に必要なこととは?
「ふるさと納税にお礼品は必要か」という問いに対し、7割の自治体、8割以上の事業者が「必要」と回答したという調査結果をもとに、意見が交わされました。
広島県廿日市市 松尾室長
「ふるさと納税により、事業者の販路が拡大できている。それにより、事業者が潤い、地域経済・産業が潤うので、お礼品は必要だと考えています」
佐賀県みやき町 末安町長
「ふるさと納税が多くの国民に利用・活用されているのは、魅力あるお礼品があったからであると思う。それが地域の活性化になり、自治体のPRにもなっているため、新しい基準に合った、地場産品を用いることで、より地域が活性化していくのではないかと考えています」
お礼品をきっかけに地域経済・地域産業の活性化につながっていることのほか、広島県廿日市市の松尾室長からはふるさと納税が関係人口の増加に寄与していることにも触れられました。また、ふるさと納税の発展が地域の発展につながることを受け、ふるさと納税の健全な運用や発展のために必要なことはなにか、という問いに対して、以下のコメントが寄せられました。
和歌山県有田市 成田理事
「地域が持っている"ここにしかないもの"、"ここでしかできないこと"という魅力を掘り起こして、価値を磨き上げていくことが重要です。その上で、ふるさと納税のルールを順守して、みんなで競争し合うことが、日本全国の地方創生に繋がっていくのではないでしょうか」
今後もふるさと納税制度が発展し続けていくために
トークセッションの終わりには、株式会社さとふる 青木より以下の総括がありました。
「今年は法改正を受けて、制度活用の具体案が検討・実施され各自治体が努力している。5年後、10年後の将来を考えたときに、ふるさと納税の発展のために必要な改正であったと思います。ルールが明確化されたことによって、新たな取り組みがたくさん生まれてきており、ふるさと納税の発展のためのターニングポイントになった1年だったのではないか。『さとふる』も、地域の方々と共に、これまでできなかったことや新しい取り組みを行い、地域の発展のために皆様から応援されるような制度にしていきたいと考えています」
『さとふる』では、今後も地域活性化を目指し、自治体や事業者様の支援を行っていきます。「ふるさとこづち」でも引き続き、ふるさと納税を活用した地域活性化の取り組みや、地域の生産者、まちづくりにかかわる自治体の方々などの想いを発信していきたいと考えています。