2026/09/18
共感が生んだ、目標100万円を超える約125万円の寄付
神奈川県 ふるさと納税で社会課題を支える新たなかたちに挑む
神奈川県は箱根や丹沢の山々から、相模湾を望む海辺の風景まで豊かな自然と都市のにぎわいが共存する地域です。2027年3月から9月には横浜市で国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の開催も予定され、国内外から多くの人が訪れることが期待されています。
神奈川県が「かながわキンタロウ寄附金(ふるさと納税)」を創設したのは2012年。県内外から寄せられる「神奈川県を応援したい」という思いを県政に活かすとともに、地域の魅力を広く発信することを目的に始まりました。
神奈川県のふるさと納税の取り組みについて、観光課 澤村さん、廣川さん、NPO協働推進課 平さん、財政課 大貫さんに話を伺いました。
左から観光課 澤村さん、廣川さん、財政課 大貫さん、NPO協働推進課 平さん
"神奈川らしさ"を楽しみながら知る、多彩なお礼品
広域自治体である神奈川県が大切にしているのが、県内各地の魅力を横断的に伝えることです。市町村の特産品同士を組み合わせるなど、一つの地域にとどまらないお礼品づくりを進めています
「人気のお礼品の一つが『横浜中華街 重慶茶樓 飲茶食べ放題&赤レンガ cafe クルーズパックチケット(2名様分)』です。海から横浜の街を眺め、港や船の歴史に触れるクルーズと、横浜中華街での食事を一度に楽しめる体験型のお礼品です」(観光課 澤村さん)
「ギフトセットでは『かながわ名産100選』や『神奈川県指定銘菓』を含む商品を組み合わせるほか、『GREEN×EXPO 2027』の入場券もお礼品に加えています。地域の特色を活かしたお礼品を入口に、寄付者が楽しみながら神奈川県を知り、実際に訪れるきっかけをつくっています」(観光課 廣川さん)
現在「さとふる」では、神奈川県のお礼品数は140点以上、そのうち体験型は70点以上あり半数を占めています※。※ 2026年9月17日時点

横浜中華街 重慶茶樓 飲茶食べ放題&赤レンガ cafe クルーズパックチケット(2名様分)
約125万円の応援を、支援の現場へ
ふるさと納税を活用した取り組みは、観光や特産品のPRだけではありません。
2025年度には、寄付者自身が応援したいNPO法人を選べる「ふるさと納税を活用したNPO指定寄附~NPO応援寄附~」を開始。同年12月には、NPO法人が提案する具体的なプロジェクトに寄付できるクラウドファンディング型の募集も試行的に始めました。さとふるクラウドファンディングでは「多様な困難を抱える若者・母子を対象とした世代間連鎖防止のための包括的な支援活動」と「放課後の小中高生の居場所事業(わかばダイバーシティスペースWakka)」の2つのプロジェクトへの寄付募集を開始しました。
さとふるクラウドファンディング事業ページ ※2026年3月2日をもって受付終了
背景にあるのは、地域や社会の課題解決を担うNPO法人が抱える活動資金の問題です。県が寄付の仕組みを整えることで、必要な資金を集めやすくし、活動を知ってもらう機会も広げようとしています。
「多様な困難を抱える若者・母子を対象とした世代間連鎖防止のための包括的な支援活動」プロジェクトへは、のべ100人以上の寄付者から、目標100万円に対して約125万円の寄付が寄せられました。
「目標を上回る寄付が集まったことは、多くの方に特定非営利活動法人DV対策センターの活動、社会や地域の課題に対する取り組みへの共感が広がった結果であり、大変意義があるものと認識しています」(NPO協働推進課 平さん)
集まった寄付金は、DV・虐待の世代間連鎖を防ぎ、より豊かな生活へ進んでいける人を育てるための活動に活用されています。
具体的には、子育て講座カフェやメタバース英語教室の開催、新たなスタッフの配置など、支援を必要とする人へのサポートの充実と、活動の継続・発展にかかる費用に充てられました。

新たな価値観を獲得することを目的とした「エンパワメント講座」
試行的に実施した本事業を通じて、団体認知向上や継続的な支援につながることへの期待が高まりました。このことから、「ふるさと納税を活用したNPO指定寄附~NPO応援寄附~」では2026年度より本格的にクラウドファンディングの寄付募集を開始するために準備を進めています。
神奈川県ではこうしたクラウドファンディングにもお礼品を設定しています。それは寄付への対価というだけではなく、寄付者が「団体や神奈川県の魅力を知るきっかけ」をつくるためです。
「本プロジェクトを通じて、県民の皆さまへDV・虐待の世代間連鎖の防止などへの取り組みを知ってもらい、さまざまな分野における社会や地域の課題解決に取り組むNPO法人を県全体で支えていくことを目指しています」(NPO協働推進課 平さん)
共感を寄付につなげ、「社会課題への応援」に
この取り組みで、さとふるはクラウドファンディング型の寄付を受け付けるとともに、県内外へ神奈川県の活動を発信する場を担っています。
「具体的な事業内容や寄付金の使途を示して寄付を募ることができるため、県が抱える課題や実施する取り組みに対する関心・共感を寄付という形につなげる上で、大きな役割を果たしていただいていると考えています」(財政課 大貫さん)
クラウドファンディング以外にも、神奈川県では集まった寄付を有効活用し、使途を寄付者へ公表しています。
まず寄付時には「神奈川県まなびや基金」、「かながわペットのいのち基金」、「ともに生きる社会かながわ憲章」をはじめとした、17の基金や施策から寄付者が選択できるよう、寄付を募集※しています。※2026年4月時点
寄付金活用においては、「神奈川県まなびや基金」へ寄せられた寄付は県立学校などのグラウンド照明設置、トレーニングルームの改修工事や、ピッチングマシーンの購入などに充てられました。また、「かながわペットのいのち基金」では、保護した犬や猫のケガや病気の治療、業者委託による譲渡会の開催などの事業に活用しています。
2024年度からは、「ともに生きる社会かながわ憲章」に関する事業として、障がいの程度にかかわらず遊べる遊具を活用した、インクルーシブ移動遊園地の実施や、車椅子や義足などの方も運転できる特別なオートバイを使った運転へのチャレンジといったものにも活用されました。
2025年度は「神奈川県まなびや基金」は約6,000万円、「かながわペットのいのち基金」は約2,500万円、「ともに生きる社会かながわ憲章」は約37万円の寄付が活用されました。

「ともに生きる社会かながわ憲章」で実現した「ともいきゆうえんち」
最後に、神奈川県から寄付者へのメッセージです。
「神奈川県では、皆さまからいただいた貴重なご寄付を、さまざまな施策や事業のために有効に活用させていただいています。今後も、魅力的なお礼品の更なる充実や、寄付金の使途や活用状況を分かりやすくお伝えし、皆さまから『応援したい』と思っていただける県政の実現に努めてまいりますので、引き続きご支援をお願いいたします」(財政課 大貫さん)
お礼品を楽しむことから、地域を訪れることへ。そして、地域が抱える課題を知り、活動を応援することへ。神奈川県の取り組みを通じて、ふるさと納税のあるべき姿を学ぶことができました。
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