2026/09/07
青森市の誇り「ねぶた祭」を未来へ。ふるさと納税を生かした新たな試み
青森県青森市 株式会社オマツリジャパン 祭りを通じて地域の魅力を全国へ
青森県のほぼ中央に位置し、八甲田連峰と陸奥湾に囲まれた青森市。りんごやホタテなどの豊かな食に加え、三内丸山遺跡や温泉、雪、樹氷など、自然・文化・食の地域資源に恵まれています。「豊かな宝物に恵まれている都市」と表現されるように、多彩な魅力が凝縮されたまちです。
なかでも青森市を象徴するのが「青森ねぶた祭」。「青森のねぶた」として国の重要無形民俗文化財に指定され、長い年月をかけて市民の情熱によって受け継がれてきた「誇り」ともいえる文化です。

青森市では、こうした地域の魅力を全国に知ってもらい、青森市とのつながりを広げる手段の一つとして、ふるさと納税を活用しています。りんごをはじめとする地域産品に加え、青森ねぶた祭を体験できるお礼品も登場。青森らしい食や文化をきっかけに、まちを知り、訪れ、応援してもらう取り組みが広がっています。
今回は、青森市 市民部 市民協働推進課の中村さん、竹内さん、高坂さん、澁谷さんと、全国のお祭りの継続支援に取り組む株式会社オマツリジャパン 取締役 菅原さんに話を伺いました。

青森市 市民部 市民協働推進課の中村さん、竹内さん、高坂さん、澁谷さん
地域の魅力と課題に向き合う、青森市のふるさと納税
青森市では、市民が寄付を通じて地域に関わる機会として、2012年度に「元気都市あおもり応援基金」を設けました。現在ではふるさと納税を通じて、全国から寄付を受け付けています。
「青森市では、ふるさと納税は寄付を通じてまちづくりに参画していただく仕組みだと考えています。地域の活性化につなげていくことも、大切な役割です」(竹内さん)
青森市のお礼品として特にりんごの人気が高く、寄付全体の約7割を占めています。ほかにも米や水産加工品などがそろい、近年では市内で育てられたフランス原産のバルバリー種を使った鴨鍋セットも人気です。
また青森市では、ふるさと納税で寄せられた寄付金を、さまざまな地域課題の解決にも役立てています。「令和8年豪雪被害 緊急支援寄付」やクマ被害対策への寄付もその一例です。豪雪被害の際には、学校のガラスが割れるなど公共施設にも被害が発生し、修繕には市の負担も必要だったそうです。災害支援で集まった寄付金は、こうした復旧を進めるうえでも大きな支えになるといいます。

豪雪被害を受けた学校の様子
お礼品でも、青森市ならではの新たな試みが始まっています。2025年には初めて、青森ねぶた祭の曳き手体験と宿泊を組み合わせたお礼品が登場しました。翌2026年にはオマツリジャパンとの連携へと広がり、プレミアム観覧席とねぶた運行への参加を組み合わせた、新たな体験型のお礼品が誕生しました。
祭りの継承を目指す、オマツリジャパン
青森市では、夏が近づくにつれてまちの空気も変わっていきます。6月下旬ごろから笛や太鼓の練習音が聞こえ始め、7月中旬には商業施設でもねぶた囃子が流れるなど、まち全体が祭りムードに包まれます。
「市民にとって、心のどこかには必ずねぶた祭があると思います。祭りが近づくにつれて、まちのボルテージもどんどん上がっていきます」(澁谷さん)

青森市文化観光交流施設「ねぶたの家 ワ・ラッセ」の様子
そんな祭り文化を未来へ残すため、全国各地で活動しているのが株式会社オマツリジャパンです。2015年の創業以来、祭りを通じて地域を元気にすることを目指し、祭りの魅力発信や観光体験づくり、企業との連携などに取り組んでいます。
オマツリジャパンの創業には、青森ねぶた祭との深い縁があります。東日本大震災の後、失意の中でねぶた祭から元気をもらった創業者の経験から、「祭りをもっと多くの人に知ってほしい、親しんでほしい」という思いが生まれ、現在の事業へとつながっています。
「私たちは、お祭りの主催者の方々と一緒に、地域を元気にできるような取り組みを目指しています。お祭りが抱える課題に向き合いながら、持続可能な形で支えていきたいと考えています」(菅原さん)

株式会社オマツリジャパン 取締役 菅原さん
全国の祭りでは、担い手不足に加え、人件費や原材料費など開催コストの上昇、資金不足も課題になっています。こうした課題を背景に、オマツリジャパンでは、伝統を大切にしながら、祭りの継承に向けた新たな仕組みづくりに取り組んでいます。
その中でも、青森市とはねぶた祭を通じて長く交流を重ねてきました。
「オマツリジャパンさんとは、東京でのイベントなどを通じて連携してきました。10年ほど前から交流があり、今回のお礼品化も、そうした積み重ねの中で実現したものです」(高坂さん)
特別なねぶた祭体験を、ふるさと納税で
オマツリジャパンが青森ねぶた祭で「プレミアム観覧席」の運営を始めたのは2022年。青森県の実証事業を経て、翌2023年から本格的な販売をスタートしました。
きっかけは、「祭りは無料で見るもの」という従来のイメージにとらわれず、新しい楽しみ方をつくれないかという発想でした。遠方や海外から訪れる人にも、より快適に祭りを楽しんでもらいたいという考えから始まり、現在ではリピーターも増えているといいます。
「せっかく青森まで来ていただくのであれば、多少お金を払ってでも、ゆったりと見られる環境を求める方もいるのではないかと考えました。実際に、特別な時間を大切な人と過ごしたいというニーズを感じています」(菅原さん)

プレミアム観覧席から青森ねぶた祭を楽しむ様子
プレミアム観覧席を展開する中で、オマツリジャパンが以前から可能性を感じていたのが、ふるさと納税でした。
「通常の販売でも地域経済への貢献につながりますが、ふるさと納税であれば、さらに青森市への寄付も生まれます。より地域に貢献できるという意味で、ふるさと納税は非常に理想的な仕組みだと考えていました」(菅原さん)
そして2026年、プレミアム観覧席を活用したお礼品が初めて登場し、さとふる限定で提供されました。通常販売している観覧席に、青森市ならではの企画を組み合わせたものです。大型ねぶたの運行に参加した後、プレミアム観覧席で祭りを鑑賞できる内容です。
「限定ならではの特別な体験にしたいと考えました。実現できたのは、青森市との連携があったからこそだと思います」(菅原さん)

2026年青森ねぶた祭の様子
祭りをきっかけに青森市を訪れてもらい、地域への関心や寄付につなげていく。今回のお礼品は、ふるさと納税を通じて祭りと地域を結ぶ、新たな可能性を探る取り組みです。オマツリジャパンでは、今後もふるさと納税を活用していきたいといいます。
地域の魅力を広く届ける、さとふるとの連携
青森市がさとふるとの連携で感じているメリットの一つが、ねぶた祭のお礼品をはじめ、地域の魅力をより多くの人に発信できることです。2025年に始まった青森ねぶた祭のお礼品、そして2026年のオマツリジャパンとの取り組みは、いずれもさとふるからメディアへ情報を発信し、記事などで取り上げられる機会につながりました。青森市でも、こうした発信を通じて、ねぶた祭や市の取り組みをより多くの人に知ってもらえたと感じています。
オマツリジャパンにも、今回のお礼品について「非常に良い取り組みですね」といった反響が届いており、地域からもふるさと納税を通じた取り組みを評価する声が寄せられたといいます。
また青森市では、日頃の迅速な対応や地域事業者へのサポートも、さとふると連携するメリットとして挙げています。
「さとふるの担当の方には何度も青森市に足を運んでいただき、『青森市のことが好きになりました』と言っていただいたこともあります。青森市のために一生懸命取り組んでいただいていると感じています」(竹内さん)

ねぶた祭をきっかけに、青森市とのつながりを未来へ
オマツリジャパンが目指しているのは、プレミアム観覧席を一度きりの体験で終わらせず、祭りを入り口に青森市との継続的な関係を生み出すことです。
「ねぶた祭に感動して青森市のファンになり、また訪れていただく。その先で、地域に関わっていただけたらと思っています。そのためにも、より多くの方にねぶた祭を知っていただき、感動し、満足していただくことを大切にしていきたいです」(菅原さん)
今回の取り組みをきっかけに、今後は他の地域の祭りでもふるさと納税の活用を視野に入れています。祭りを通じて地域を訪れる人を増やし、継続的な関わりへとつなげていく。その新たな選択肢として、ふるさと納税に可能性を感じているといいます。
一方、青森市ではふるさと納税で寄せられた寄付を、これからのまちづくりに生かしていきたいと考えています。「子育て先進都市 青森市」の実現や、誰もが安心して移動できる環境づくりなど、市民の暮らしをより良くする取り組みにも寄付金を活用していく考えです。
「ふるさと納税は、市の魅力を全国に発信し、青森市を応援してくださる方を増やすための重要なものだと考えています。観光や移住、リピーターとして青森市と継続的な関係を築くきっかけにもなることから、青森市の将来を支える投資として大きな価値があると考えています」(中村さん)

青森ねぶた祭を訪れること、青森の味を楽しむこと、寄付を通じて地域とつながること。入り口はさまざまでも、そこから青森市を知り、「また訪れたい」「これからも応援したい」という思いが生まれていく。そうした一つひとつのつながりが、青森市の文化や産業を支え、地域の未来をつくる力になっていきます。
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