2025/12/08
SDGs未来都市・豊田市が描く、持続可能なまちづくり
愛知県豊田市 トヨタ自動車株式会社 ふるさと納税で広がるTOYOTA UPCYCLEプロジェクト
愛知県のほぼ中央に位置し、県土の17.8%という広大な面積を誇る豊田市。世界をリードする自動車産業の中枢として知られる一方、市域の約7割が森林という豊かな自然にも恵まれた「産業と自然の二面性」を持つまちです。名古屋市から車・電車で約1時間という立地も暮らしやすさの理由の一つ。市内には、刃物の鍛冶屋や竹細工の工房、古い町並みをそのまま残す足助地区など、多様な地域文化が息づいています。
豊田市が今回新たに提供を開始するのは、トヨタ自動車「TOYOTA UPCYCLEプロジェクト」のお礼品です。今回は、愛知県豊田市シティプロモーション戦略課 河村さんと、トヨタ自動車株式会社アップサイクルプロジェクトオーナー中村さんにお話を伺いました。

"技術のまち"の新しい魅力 ― アップサイクル製品がふるさと納税に
TOYOTA UPCYCLEプロジェクトは2021年に本格始動しました。アップサイクルとは、捨てられるはずだった素材に新たな価値を与え、より良いものへと生まれ変わらせる取り組みのこと。リサイクルとは異なり、廃材を粉砕・溶解するのではなく、そのままの特徴を活かしながら新たな価値を与えます。
トヨタ自動車では、「廃棄するしかない素材はなるべく使用しない」「リサイクルしやすい部材設計を行う」「どうしても出てしまう廃棄物はリユース・リサイクルを徹底」といった考えのもと、車を製造しています。それでも自動車の製造過程では端材が出てしまうのです。それは夏には80度にもなる車内環境に耐える耐熱性・毎日の乗り降りに耐える強度を持つ耐久性の高いシートレザーを筆頭に、どれをとっても"高機能素材"です。にもかかわらず、そうした素材の一部がどうしても"廃棄物"になってしまっていました。
「10年以上使える高機能素材が、焼却処分されるという現実を目の当たりにしました。これは"モッタイナイ"、この思いがすべての出発点でした」(中村さん)
TOYOTA UPCYCLE製品に使用される端材
こうして誕生したアイテムは、一般的な革や布にはない魅力を持ちます。丈夫で軽く、長く使える。しかも、一点一点端材の表情が異なり、端材の個性を生かしたものづくりが成されています。
また、デザインには外部のプロフェッショナルが参加し、端材の傷や色、形のばらつきを美しく整える工夫が加えられています。アップサイクル製品でありながら、それを感じさせないデザインで、これまでに数々のファッションブランドとのコラボレーションなどを実現してきました。
「企画の際はまずトヨタ側でレザーやシートベルト、樹脂素材など活用したい素材をリストアップします。そこからデザイナーと進めるのですが、端材起点(プロダクトアウト)と、市場ニーズ起点(マーケットイン)の両方をにらみながら、バランスをとって商品化しています。また、端材を"おしゃれ""かわいい"と思える商品に昇華するのは非常に難しいですが、端材の個性をあえて生かすようにしています。効率は悪くても、あきらめず、廃棄素材に新しい価値を与えて循環させ続けることが、未来に繋がる価値だと思っています」(中村さん)
こうした取り組みが、豊田市のふるさと納税で"地域の技術を知るきっかけ"となることが期待されています。

TOYOTA UPCYCLE製品の製造の様子
技術と自然が生んだ豊田市ならではのお礼品ラインアップ
そんな豊田市では以前からふるさと納税制度を活用していましたが、2025年度よりプロモーション視点を取り入れ、お礼品を通じた市の魅力発信を強化中です。ふるさと納税を「地域魅力の発信ツール」として位置づけ、第9次総合計画とも連動させています。市民が自分のまちの魅力を再認識する"シビックプライドの向上"も重視しており、お礼品のラインアップにもこだわっているそうです。
「自動車製造を支える高い加工技術や塗装技術は、実は多くの市内事業者様に息づいています。大豊精機株式会社様の映えるペグ #BuBuStake 4本セットは車の形を模したキャンプ用ペグです。塗装には車の足回りと同じ技術が用いられており、耐久性は抜群です。また、アイシン高丘株式会社様のオーディオアクセサリー「TAOCシリーズ」は、精密加工による音質向上が特徴で、自動車産業が盛んな豊田市ならではの技術力が詰まったお礼品です。そのほか、珍しい体験型お礼品もあります。市内の花火業者 豊田煙火様が提供する花火関連のお礼品は、希望の日時に豊田市内の希望の場所で花火を打ち上げてくれるプライベート花火大会や、花火玉のレプリカなど多種多様です」(河村さん)
花火以外にも、豊田市は広大な土地があることから市内にゴルフ場が多く、市内16のゴルフ場で利用できる豊田市ゴルフ場利用券を提供しており、このお礼品から豊田市にはさまざまなゴルフ場があることを知っていただき、多くの方に訪れてもらうきっかけになることを期待しています。
豊田市には、ふるさと納税のお礼品としてまだ全国に届けられていない魅力的な商品が数多くあります。今後はさとふるとも連携し、新規事業者の開拓や既存事業者とのお礼品開発をさらに進め、お礼品の幅を広げていく方針です。
大豊精機株式会社が提供する自動車部品の生産ラインでつくったキャンプのペグ
三者連携で広がる、新しい価値循環
豊田市では2024年6月より「さとふる」でのお礼品掲載を開始しました。そんな中、トヨタ自動車のアップサイクル製品をお礼品として登録する過程では、さとふるの提案と調整が大きな後押しとなりました。
「『TOYOTA UPCYCLE プロジェクト』の製品について、本市のふるさと納税へ参画いただきたいと思いつつ、市だけでは進めるのが難しい部分もありました。さとふるの担当者の方に提案や調整でサポートいただき、前に進めることができました。」(河村さん)
総務省の制度変更が続いている中で、変化に対応しながらも協議を重ね、三者でふるさと納税やアップサイクルプロジェクトで実現したい想いをすり合わせることができました。
「まずは、豊田市の特徴・良さを全国に発信し、地域貢献につなげること。次にアップサイクルという手法・考え方を、より多くの人に知ってもらうことが、ふるさと納税参入の目的です。アップサイクル製品を豊田市のお礼品として手に取っていただき、エシカルな行動変容のきっかけになることを期待しています」(中村さん)
環境への取り組みは一人ひとりの心掛けが大切ですが、「アップサイクルされたものを選んでみる」「身近なものを長く大切に使う」など、小さな行動変容につながることを中村さんは期待しているとのことでした。
豊田市のお礼品として提供するTOYOTA UPCYCLE IDカードホルダー(赤)
企業と市民とともに進める、豊田市の持続可能な挑戦
こうした環境やSDGsへの取り組みについて、豊田市では産業と自然の二面を持つ都市特性を背景に、2018年には内閣府から 「SDGs未来都市」 に選定。SDGs目標達成に向けた取り組みを先導的に進めるなか、2025年にはSDGs先進度1位を獲得※しました。トヨタ自動車も加盟する、企業と地域を結ぶ「とよたSDGsパートナー制度」をはじめ、SDGsを意識した経営に取り組む企業を認証する「豊田市SDGs認証制度」、市民の学びを広げる「とよたSDGsマスター」や「とよたSDGsミライ大学」など、SDGsの実践を生み出すしくみづくりに力を入れています。
トヨタ自動車ともこれまでさまざまな「TOYOTA UPCYCLE プロジェクト」との連携事業が実施されています。初めての取り組みは、2023年3月に開催された端材の活用アイデアを募るコンテスト「TOYOTA Good Piece Contest」でした。2025年4月の「マイナビ TGC in ⼤阪・関⻄万博 2025」では、行政からサステナブルな取り組みを発信する「Sustainable Action STAGE」にて、「TOYOTA UPCYCLE プロジェクト」の取り組みを共同でPRしました。また、2025年10月に豊田市で開催された国際会議「2025国際首長フォーラム」においても、世界38か国から本市に来訪した参加者に「TOYOTA UPCYCLE プロジェクト」の製品が記念品のひとつとして贈呈されました。
※ 日本経済新聞社「全国市区第4回SDGs先進度調査」、対象:全国815市区

「TOYOTA Good Piece Contest」における端材を活用した数々の製品案
最後に、寄付者へのメッセージを伺いました。
「これまで豊田市にご寄付をいただいた皆さまには心から感謝申し上げます。豊田市は自然も文化も技術も、多様な魅力にあふれたまちです。お礼品をきっかけに、私たちのまちを知っていただき、応援していただけたら、とてもうれしいです。」(河村さん)
「廃材が"もっといい"へと生まれ変わる驚きやストーリーを楽しみ、日常の小さな行動変容につなげていただけたらうれしいです。アップサイクルの魅力を周囲にも広める仲間になっていただき、ぜひ豊田市も応援してください」(中村さん)
産業の力と自然の豊かさ、そして挑戦し続ける姿勢を持つ豊田市。ふるさと納税を通じて、その魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
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