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ふるさと納税と観光農園でファン獲得を目指す

大谷ファーム 日々技術を磨くいちご農家

九州北部の福岡市から南へ約30キロメートルに位置し、長閑な田園風景が広がる大刀洗町。ここに、2019年から観光農園に力をいれるいちご農家、大谷ファームがあります。大谷ファームの代表、大谷美恵子さんに、人気品種「あまおう」栽培のこだわりや、ふるさと納税などを通して目指すことを伺いました。

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こまめな生産管理で「甘さ」と「艶」にちがい

2012年からいちご農園を営む大谷ファームは、いちご栽培が盛んな福岡県内の中でも、いちごの「甘さ」と「艶」に定評のある農園です。

「いちごってフルーツの中でも食べ慣れている人も多いし、好きな人も多い。皆さんよく見ているし知っているので、満足してもらえるように、有機栽培を目指して水や肥料、それらの散布の仕方にこだわっています。そうすることで、甘さや艶に違いが出るんですよね。『いちごがキレイ』といってもらえることが多いです」そう語るのは大谷ファームの代表、大谷美恵子さん。

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大谷ファームは、近くに流れる一級河川「筑後川」の恵みを受け、いちごの生産管理を行っています。きれいな水と土壌中からの肥料に加え、天然100%のアミノ酸を葉に散布し、それを小まめに行うことで、甘みと艶に違いが生まれるそう。
現在はあまおう含め、10品種程栽培しており、観光農園を中心に事業を展開しています。

ふるさと納税や観光農園をメインに

もとは市場への出荷がメインだった大谷ファームが、ふるさと納税に参加したのは2018年。さらに翌年の2019年から観光農園を開業し、事業のメインを市場への出荷以外にシフトしています。

「ふるさと納税が話題になって興味を持ちました。役場の人に聞いたら『ぜひやりましょう』といってくれて。私がわからないことを代わりにやってくれたり、他の自治体の事例を調べて提案してくれたり、とても親身に対応してくれています。
ふるさと納税は卸値ではなく売値で町が購入してくれるので、農家にとって利益率も良いし、経由地を挟まずに産地から直送できるので新鮮ないちごを届けることができます。良いことが多いなと思いました」

DSCF2016_r.png大谷ファーム 代表 大谷 美恵子さん

また、事業の見直しをするタイミングで、将来を考えて観光農園をメインにすると決めたそう。

「従来の床に苗を植える土耕栽培から、腰の高さに苗を植える高設栽培に切り替えたことで、日々の手入れや収穫時の負担を軽減し、さらに手作業で行っていた水やりなども機械化しました。
高設栽培にすると、いちご狩りにも向いているんです。また、観光農園にすると収穫作業やその後の梱包から出荷までを行わないので、同じ生産量でも作業が違ってきます。結局栽培面積が広いので収穫作業もあり、決して楽になったとは思いませんが、これからも続けていくと思うと、切り替えてよかったと思います」

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2018年に新設したハウスは高設栽培を行っている
靴が汚れないようにシートを敷き、ベンチやテーブルを用意するなど
園内のつくりにもこだわり、来園者から「ここの農園はきれい」と評判だそう

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来園者に楽しんでもらえるよう、SNS映えアイテムを用意
SNSの運用にも力を入れ、消費者とのコミュニケーションを図っている

観光農園には、いろんな地域からお客さんが来ることを教えてくれました。

「大分から何度も来ていただいたり、大阪から来ていただいたり、わざわざ大刀洗町にいちご狩りのために来てもらえるのはうれしいです。『このあと観光に行くのでオススメを教えてください』と言われることも多くて、町に人が来るきっかけになれていると実感します。
あとは何よりもお客さんの声を実際に聞けるようになったのは本当に大きいですね」

寄付者の声が一番のモチベーション

大谷さんは、ふるさと納税は観光農園と同様に、消費者の声を聴くことができることが魅力といいます。
2018年にふるさと納税のお礼品提供を始めた際は、予想以上の申し込みに戸惑い、出荷を遅らせてしまうこともあったそうです。

「そうすると率直に『遅かった』と『さとふる』のレビューに意見をくれるんです。それを見て確かにな、と反省しました。2019年からは、出荷量よりも満足度を上げたいと、お待たせしないように受付期間を区切って良いものをお届けしています。
青果なので天候などの影響で出来も変わってくるし、このいちごはこの日じゃないと出せない、ということもある。とはいえ個人農家なのでほかの農園から変わりに出荷してもらう事もできないので、皆さんからのダイレクトな意見は重視しています」

ふるさと納税に参加し、収益が増加したことはもちろん、こうした声を聴くことができるのが一番良かったという大谷さん。市場に卸すと、「大谷ファームのいちご」としての評価ではなくなってしまいますが、ふるさと納税では「大谷ファームのいちごがおいしかった」と直接評価されたことを実感できます。

「やっぱり直接おいしいといってもらえることが一番うれしいし、がんばろう、となります。シビアな意見も含めて、直接反応を見ることができるのは大切です。『良いいちごをつくらんと』となります」

こうした声のほかにも、ふるさと納税の寄付者が直接購入に訪れたり、いちご狩りのお客さんがふるさと納税用の栽培エリアを見てふるさと納税を申し込んだりする姿を見ることもモチベーションにつながっているそうです。

DSCF2086_r.pngふるさと納税用の栽培エリア

「福岡のいちご」ではなく「大谷ファームのいちご」として

こうしたダイレクトな意見を大切にする大谷さんは、「福岡のいちご」ではなく「大谷ファームのいちご」として評価されるべく、技術向上に尽力し、大谷ファームのファンを増やしていきたいと教えてくれました。

「いちごは病気にかかると、とたんにダメになってしまいますし、毎年同じ環境で栽培できるわけではありません。病気にならないように、またその年の環境にあった手入れで毎年安定したおいしさのいちごを作りたい、ただそれだけです。それは生産者がきちんと管理するしかないんですよね。そのために技術を常に向上させる必要があります。
観光農園なら『いつ来てもおいしい』、ふるさと納税なら『いつ寄付してもおいしい』と思ってもらえるように。そうすることで、ついてきてくれる人たちがいるはずです。
農園の規模を拡大したいとかはなく、ファンを増やしていきたいです。全国にたくさんのいちご農園があるなかで、一農園のファンになってもらえるのが理想的です」

DSCF2103_r.png直接おいしいといわれることがモチベーションにつながっている大谷ファームならではの展望。今ではふるさと納税以外のネット販売で、「知人にプレゼントしたいので、いつになってもいいから送ってほしい」というファンの方もいるそう。これから全国に「大谷ファームファン」の輪が広がっていくことに期待しています。