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寄付者からの応援が励みに

夢民舎 震災を乗り越えチーズの増産へ挑戦

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北海道安平町(あびらちょう)の早来(はやきた)地区は、国内で初めて本格的なチーズ生産が行われた地域です。「夢民舎(むーみんしゃ)」は、一度はなくなったチーズ工場をまちに取り戻し、チーズ作りでまちを活性化しようとしています。

まちに戻った"チーズの灯"

北海道安平町の早来地区(旧早来町)では1933年、「北海道製酪組合連合会(後の雪印乳業)」によって国内初のチーズ専門工場が造られました。戦後は食生活の欧風化に伴い、その生産量は増加しましたが、工場は1985年に十勝管内の大樹町へ移転しました。
しかし、「まちにもう一度、"チーズの灯"をともしたい」という宮本正典さん(現・有限会社プロセスグループ夢民舎代表取締役)の呼びかけで、町内の若手酪農家や畑作農家、かつてのチーズ工場の技術者らが結集。1990年には夢民舎が設立され、新たなチーズ工場が産声をあげました。

mu_02_RS.png有限会社 プロセスグループ 夢民舎 取締役副社長 吉川 絵理子さん

代表取締役社長である宮本正典さんの長女で夢民舎取締役副社長 吉川さんにお話を伺いました。
「地元にはチーズが好きな人が多く、酪農家の方々も頑張っています。ですから、父にはこれらの人たちと共にまちの名物を作り、まちを盛り上げていきたいという気持ちがありました」(吉川さん)

地元の人たちに愛され、他の地域の人たちにもまちを知ってもらえるよう、商品には旧町名の「はやきた」という名前を使っています。
夢民舎では、地元・北海道東胆振地区の牧場で育てられたホルスタインの生乳を使い、日本人の口に合う良質のチーズ作りを目指しています。代表商品の「カマンベールはやきた」では、ふっくらと炊けたご飯のような硬さ、もっちりした食感を出せるよう工夫しています。カマンベールに使う白カビは、創業時から自社で培養し続けており、これによってマイルドで食べやすい味に仕上がります。
「ナチュラルチーズは健康に良いことから、夢民舎のチーズは高齢の人たちにも人気があります。塩分を気にする高齢の人たちにも安心して食べてもらえるよう、チーズの塩分は控えめにして優しい味を目指しています。」(吉川さん)

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「さとふる」で人気のお礼品「【夢民舎ブランド】はやきたチーズ色々詰合せ」

オリジナルの商品開発にも、積極的に取り組んでいます。「スモークカマンベールはやきたチーズ」はカマンベールチーズの燻製で、世界に先駆けて開発したものです。また、「よもぎモッツアレラ」は、国産よもぎを使用した和テイストのオリジナル商品です。これらは、宮本さんのアイデアによって生まれました。
他にも「クリームチーズ」と「ブルーチーズ」を使った「はやきたダブルチーズ」や、代表商品であるカマンベールチーズを、ソフトクリームに練りこんだ「カマンベールはやきたソフト」などのアイディア商品を次々と生み出してきました。

ふるさと納税は道外の人たちに知ってもらえる機会

夢民舎のチーズは、安平町にふるさと納税をした寄付者へのお礼品にもなっています。
「ふるさと納税は、北海道以外の方々にも夢民舎のチーズを知っていただく良い機会になっています。道内では以前から大手量販店などに置いていただき、認知の高さは実感していましたが、道外では知られていませんでした。チーズを通じ、道外の方々に安平町のことも知っていただけると思います」(吉川さん)

寄付者の大部分は道外の居住者で、中には「ふるさと納税で注文しておいしかったので、また購入したい」という電話がかかることも多くあります。今年11月中旬には、東京・有楽町で試食販売を行ったところ、「ふるさと納税で注文している」という人も訪れ、認知度が向上していると実感したそうです。
「『さとふる』を通して『ふるさと納税で注目されているお礼品』とメディアでの紹介もありました。ふるさと納税はそういったPR効果も高いですね。」(吉川さん)

リピーターも多く、ふるさと納税を通じた注文は年々増加しており、『さとふる』での取り扱い開始前の2013年から比べると、2017年の売上は1.8倍に伸びています。離れたところに住む家族や知人にも送りたい、と度々注文してくれる寄付者もいます。
「『さとふる』のレビューを見ると、何度も、あるいは毎年注文しているという方々もいらっしゃいます。繰り返し注文してくださるのは『おいしかった』ということで、私たちの励みになっています。レビューを参考に、商品の改善にも取り組んでいます」(吉川さん)
寄付者の間で人気が高いセットの「はやきたチーズ色々詰合せ」には、カマンベールチーズのほか、さけるチーズやカチョカバロなど、食べやすく家族で楽しんでもらえる様々な種類のチーズが入っています。
また、直営店で人気の豚肉「夢民豚(むーみんとん)」のハンバーグや餃子のセットも、新たなお礼品として加わりました。夢民豚はチーズを作る際に出るホエー(乳清)を100%飲ませて飼育しており、臭みが無くて脂身が甘い、こだわりの豚肉です。

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新しく受付けを開始した「夢民豚(むーみんとん)ハンバーグ」

震災を乗り越え、新たな工場で増産体制に

今年9月に発生した北海道胆振東部地震では、停電や断水によってチーズの製造ができなくなり、多くのチーズを廃棄せざるをえなくなりました。「地震発生を知ったふるさと納税の寄付者からは、たくさんの応援メッセージが寄せられました。とても励みになり、皆で『これを見て頑張ろう』と話しました」(吉川さん)

夢民舎では地震発生から約2週間後に製造を再開しましたが、製造が注文に追い付かず、週末もずっと工場を稼働させる状態が続いています。特にカマンベールチーズは熟成に1ヵ月半ほどかかるため、生産の遅れを取り戻すのに時間がかかっています。震災後は応援のメッセージと共に、例年より多くの、ふるさと納税を通じた注文が寄せられています。

ふるさと納税によって年々、注文が増える中、ふるさと納税による利益と農林水産省の補助金を活用し、2つ目の工場を建設することになりました。すでに工場の建設は進んでおり、年内の稼働を目標にしています。
工場の新設は、生産量を増やすことはもちろん、もう一つ大きな意味を持っています。
「安価な外国産チーズの参入を危惧して、まちの名産を守りたいという気持ちもあり新設をしています。北海道のチーズ・酪農を守るという意味を持った国の補助金だと思っています。」

mu_15_RS.png建設途中の新工場

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稼働前の工場内にて。新設に合わせて新しい機械も導入した

吉川さんは、「寄付者の方々が応援してくださっているからこそ、新しい工場ができたと思っています」と感謝しています。
「来年は生産量を増やし、よりたくさんの人にふるさと納税を通して地域と夢民舎を応援してくれる人を増やしたいです。そうして私たちは、全国の応援してくれる寄付者の皆さんへ安平町の名産であるチーズを届け、また安平町のチーズを守っていきたいですね。」(吉川さん)

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国産チーズ発祥の地で生み出された夢民舎のブランドは、ふるさと納税を通じ、全国の人たちに知られるようになっています。夢民舎では新たな工場の稼働開始で増産体制を整え、より多くの寄付者にお礼品を届けていこうとしています。