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寄付者の想いを使い道に反映して、感謝を伝えたい

北海道鶴居村 寄付者の7割が希望するふるさと納税の使い道とは

北海道鶴居村は、北海道の東部である釧路管内のほぼ中央部に位置する人口約2,500人の村です。

釧路空港から車で約40分のアクセスのよい場所にありながら、希少な動植物を育む日本最大の湿地「釧路湿原国立公園」などの自然に恵まれている鶴居村では、ふるさと納税の寄付の使い道として、「特別天然記念物『タンチョウ』の愛護に関する事業」や、「釧路湿原を含めた自然環境の保全等に関する事業」といった特徴的な使途が設定されています。

今回はそんな北海道鶴居村の和田さんと米川さんに、ふるさと納税の活用や今注目のお礼品について、お話を伺いました。

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ふるさと納税を通じて、鶴居村のブランド化を

北海道鶴居村へのふるさと納税寄付額は、2018年に前年比約4倍に急増し、その後も毎年全国から多くの寄付が集まっています。寄付急増の背景にはお礼品を増やすと同時に、魅力を伝えるための努力があったといいます。

―2018年頃、急激に寄付が増えた背景は?

和田さん「村内のお礼品事業者は非常に限られているので、お礼品を提供できそうな事業者を回って当時一部でしか扱っていなかったチーズや鹿肉など、お礼品ラインアップを増やすための取り組みを行いました。
また、お礼品の魅せ方にもこだわっていて、プロのカメラマンの方にご協力をいただき、お礼品の撮影をしなおしてサムネイルを整えたり、バナーのブラッシュアップを行ったりするなどの取り組みを行いました。
ほかにも、鶴居村ではポータルサイトなどに掲載するだけでなく、村独自のふるさと納税のサイトを持っています。こちらでは、お礼品の紹介のほか、ふるさと納税の使い道なども紹介しているのですが、このサイトも見やすいように工夫をしています」

鶴居村の美しい風景なども楽しめる、このふるさと納税の特設サイトには、村のプロモーション方針も反映されているそうです。

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鶴居村の特設サイトには美しい画像がたくさん使用されている

―思わず魅入ってしまうような写真がたくさん使われた特設サイトですが、どのようなこだわりがありますか?

和田さん「鶴居村は『日本で最も美しい村連合』に加盟していて、各発信にも「日本で最も美しい村」のキャッチコピーを使用しているので、ふるさと納税でもその村づくりとずれないように発信を心がけています。
また、鶴居村のお礼品は非常に高品質なものが多いので、サイトやお礼品紹介の場面でも、その高品質さが伝わるように心がけていて、ふるさと納税を通じた鶴居村のブランド化を図りたいと考えています」

「寄付をした人の想いに応える使い方」を意識して

鶴居村への寄付のおよそ7割は使い道を指定した寄付が行われており、指定先として一番多いのが「釧路湿原を含めた自然環境の保全等に関する事業」、次いで「天然記念物『タンチョウ』の愛護に関する事業」への指定が多いそうです。

中でも特徴的な「天然記念物『タンチョウ』の愛護に関する事業」についてお話を聞きました。

―鶴居村とタンチョウとの関わりについて教えてください

和田さん「鶴居村の由来は『鶴の居る村』で、国の特別天然記念物のタンチョウ(鶴)が生息していることから名前が付きました。

タンチョウは大正時代には絶滅したと考えられていましたが、およそ100年前の1924年頃に釧路湿原のキラコタン岬で数十羽が再発見されました。
そこから村をあげてタンチョウの保護活動が始まり、今では道内だけで1,000羽を超えるタンチョウが生息しています。そのうち700から800羽は鶴居村にいるといわれており、村にとってタンチョウは切っても切れない関係です」

※北海道「タンチョウ越冬分布調査」より(2023年12月時点)

―ふるさと納税の使い道「天然記念物『タンチョウ』の愛護に関する事業」では具体的にどんなことに寄付が使われていますか?

和田さん「具体的にはタンチョウの給餌にかかる費用のほか、今後もタンチョウとの共生を続けていくための費用などに寄付を活用しています。特徴的なところでは、鶴居村では唯一『タンチョウ専門員』という選任の職員を採用していて、その活動費用にも寄付を活用しています。
『タンチョウ専門員』はタンチョウの生息状況調査のほか、タンチョウが車と接触して倒れているといった通報に対応したり、タンチョウの主な生息地である釧路湿原の保全について環境省とやり取りを行ったりと、タンチョウに関わる幅広い業務に対応しています。自然保護のために選任の職員を採用しているのは全国でも珍しく、タンチョウとの共生を大切にしている鶴居村ならではの取り組みだと思います」

タンチョウは冬になると釧路湿原などの決まったエリアだけでなく、村民が生活するエリアにも姿を現し、トウモロコシを収穫した後の狩り残しを餌にするなど村内の至るところで見かけられるそうで、農業被害や観光被害を最小限に抑えながら、タンチョウの保護を続けられるよう、タンチョウ専門員の存在は重要だといいます。
そのほかにも、冬季の餌がなくなる時期に行われる給餌活動では、給餌場に多くの観光客が集まるそうですが、設置されている木柵の新調にもふるさと納税の活用が予定されているとのことです。

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たくさんの観光客が訪れる給餌場の木柵はふるさと納税を財源に新調が予定されている
(写真は2024年9月時)

―ふるさと納税制度による寄付がなかった場合、タンチョウの保護活動にどのような影響が出ていたと推測されますか?

和田さん「非常に限られた財源の中で活動をせざるを得ない状況で、やれることに今よりも制限が出ていたのではと思います。タンチョウの給餌活動も、国からも予算は出ていますが、以前は、金額の一部を村が単独で負担をしていました。

今はふるさと納税の寄付により給餌費用も賄えています。ふるさと納税は一般財源化できるため、自治体ごとの判断で課題対策のために活用できるというのが自治体からしても非常に魅力的だと感じています。

ほかの自治体のお話などを聞いていると、ふるさと納税の寄付について、使い道を指定せずに寄付がある場合も多いと聞きますが、鶴居村への寄付は約7割が使い道を指定して寄付があるので、寄付者の方も想いをもって寄付してくださっていると考えています。

寄付者の方々のその想いをきちんと受け取って活用できるようにするというのは強く意識をしていて、寄付の使い道を検討するときには、財政部局だけでなく、寄付を受け付けた我々の部署も一緒に検討を行って、村長との話し合いの際にも同席して『こういう寄付の傾向があるから、こういう風に使うべきなのでは?』と積極的に意見を出すようにしています。
ほかにも、村のSNSなどで寄付の使い道について報告したり、寄付を使って作ったものにも『寄付のおかげで作れました』と看板を設置したりと、広く寄付の使い道を見えるようにしています」

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鶴居村のSNSでは、ふるさと納税の使い道などについても紹介されている

和田さんのお話を伺って、寄付を集めた後にも寄付者の想いを汲み取りながら活用方法を決めて、使い道を報告する。そんな鶴居村の姿勢・想いが継続して応援する人や寄付をする人を増やしている決め手なのだと感じました。

村の特徴を活かした、魅力的なお礼品

鶴居村では特徴的な寄付の使い道を設定しているだけでなく、鹿肉やチーズなどの特産品や「夜の星空カヌー体験」「釧路湿原特別保護区トレッキング体験」といった体験型のお礼品など、さまざまなふるさと納税のお礼品が掲載されています。

多種多様なお礼品の中から、鶴居村ならではの特徴的なお礼品を教えてもらいました。

・北海道内でも珍しい行政主導のチーズ工房で作られた「ナチュラルチーズ鶴居」

鶴居村では2007年に村が主導するチーズ工房があり、そこで作られたチーズは一般社団法人中央酪農会議が開催する「ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト」で複数回賞を受賞するなど高い評価を受けています。

「さとふる」にもチーズのセットだけではなく、鶴居村で採れたはちみつとチーズがセットになったお礼品や、飲むヨーグルトとセットになったものなど、さまざまな楽しみ方ができるお礼品が掲載されています。

米川さん「鶴居村の基幹産業である酪農を村全体で盛り上げたいという想いで、村主導のチーズ工房が出来ました。もともと村には観光客もあまり訪れず、特産品なども全然なかったのですが、20年前位から、釧路湿原などを目的に村に観光客の方々が訪れるようになって、何か村ならではの特産品を作らなければ...という機運が高まって、酪農のまちとして、村自慢の牛乳を使った特産品ということでチーズが作られるようになりました。

いいチーズを作るためには、温度、湿度の管理を毎日丁寧に行う必要があり、村内の雇用にもつながっています。日々手間をかけて作られたチーズは今でも村一番の自慢の特産品です」

3.png毎日丁寧に温度、湿度管理を行うことでおいしいチーズが作られている

ナチュラルチーズ 鶴居4個セット
https://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1044238

ナチュラルチーズ鶴居 4個セット + 飲むヨーグルト 6本セット
https://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1146429

・北海道でも一部でしか手に入れられないクラフトビール「DOTO」

鶴居村のお礼品である「Brasserie Knot(ブラッスリーノット)」は、廃校となった小学校の体育館を2年前に改装し活用したブルワリーで作られるクラフトビールです。季節や食事、さまざまなシチュエーションに合わせて楽しめるラインナップの中でも黒を使用としたパッケージデザインが特徴の「DOTO」はふるさと納税以外ではECなどの取り扱いはなく、北海道内でも道東エリアでしか手に入れることができない希少なビールです。

米川さん「EC販売もなく、北海道でも道東に来ないと味わえないクラフトビールが、ふるさと納税限定でご自宅に届きます。ブルワリーでは醸造所の見学もできますので、味わって気に入ったらぜひ鶴居村の醸造所に足を運んで、出来立てを味わっていただければと思います」

名称未設定のデザイン (1).png「さとふる」のDOTOお礼品ページ(2024年9月時点)

4.png5.png

廃校となった小学校を活用した「Brasserie Knot(ブラッスリーノット)」の施設内では、
今でも学校だった頃の息遣いが感じられる(写真は2024年9月時)

クラフトビール Brasserie Knot 道東限定ビール「DOTO」4本セットhttps://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1424588

クラフトビール Brasserie Knot 定番4種各2本 + 道東ビール4本セットhttps://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1350452

・国立公園を馬に乗って探索する希少な体験ができる「鶴居どさんこ牧場ホーストレッキングコース」

貴重な野生動物や植物の生息地である釧路湿原国立公園を、日本の在来馬である「北海道和種」(通称「どさんこ」)に載って探索できる体験型のお礼品です。

米川さん「国立公園を馬に乗ってトレッキングできるというツアーは全国の中でもあまりなく、非常に珍しいものと考えています。『どさんこ』は温厚な性格で初心者の方でも安心して乗っていただくことができますが、強い足腰と持久力があるので、国立公園の湿原の秘境地まで連れて行ってくれます。かなり根強いファンの方々がいらっしゃるツアーなので、ぜひたくさんの方に知っていただければと思います」

名称未設定のデザイン (2).png貴重な体験ができるトレッキングツアーも近日受付を再開する予定(2024年9月末時点)

鶴居どさんこ牧場ホーストレッキング半日コース(1名様)
https://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1146426

鶴居どさんこ牧場ホーストレッキング1日コース昼食付(1名様)
https://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1146425

ふるさと納税の寄付者とともに、今後も鶴居村の豊かな自然を守りたい

最後に今後のふるさと納税寄付の活用方針や、読者の方々へのメッセージを聞きました。

―今後はどのように寄付を活用される予定ですか?

和田さん「鶴居村の寄付の使い道指定で最も多い『釧路湿原を含めた自然環境の保全等に関する事業』は林業予算等に割り当てて活用させていただいていますが、この事業も村にとって重要で、今後も継続的に活動を広げていければと考えています。

鶴居村は釧路湿原の上流域に位置しています。仮に釧路湿原周辺も含めて保全活動を行わなかった場合、大雨が降った際には土砂が釧路湿原に流れ込み、下流にも大きいな影響を及ぼします。そのため、湿原だけを守るのではなく、周辺環境も含めた保全が重要で、そのためにはたくさんの費用が掛かるのですが、以前は村の財源のみで行っていたため、財政的に苦しい状況で予算も減っていました。
今はふるさと納税を財源とすることができているため、非常に助かっています。

湿原にはタンチョウだけではなく、絶滅危惧種の淡水魚など、希少な動植物がたくさん生息しています。今後もこの自然環境を守っていくことが村の役割のひとつだと考えており、継続して支援をいただきたいと考えています」

―「ふるさとこづち」読者の方々へのメッセージをお願いします

和田さん「鶴居村の一部である釧路湿原は水の大地と言われており、湿原から流れ出る豊かな水資源の恵みを受けて、酪農が営まれたり、ご紹介したビールができたりと鶴居村の特産品を支えていて、最後は湿原に戻り、さらに豊かな自然形成につながって...と循環しています。その水資源を守るためにも引き続き、釧路湿原や周辺環境を守っていく必要がありますので、ふるさと納税などを通じて応援していただければと思っています。

また、ぜひ豊かな自然や村の人々の想いが詰まった特産品を楽しみに、鶴居村に足を運んでいただければ嬉しいです」

寄付者の想いを汲みながら、豊かな自然環境を守り続ける鶴居村。冬にはタンチョウをいろいろなところで見かけられるなど豊かな自然を楽しめる一方で、ワーケーションの受け入れや、ガストロノミーツーリズムを楽しめるなどさまざまな形で村を楽しむことができます。ぜひ、ふるさと納税を活用して鶴居村の取り組みを応援して下さい。

※ガストロノミーツーリズムとは:欧米を中心に世界各国で取り組まれているその土地の"食文化"に触れることを目的とした旅