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風土に根付いた焼酎を造り続ける老舗酒造の新たなチャレンジ 

豊永酒造 球磨の焼酎をもっと広めたい

熊本県の南東部、四方を山に囲まれ寒暖差が大きい球磨(くま)盆地は、土壌が肥沃で米作りに適した土地です。この球磨盆地に位置する湯前町(ゆのまえまち)で、今注目を集める新しい焼酎造りに取り組んでいる老舗酒造があります。地元の特産品「球磨の米」を原料とした焼酎を造り続けて129年の老舗酒蔵、豊永酒造の豊永遼さんに話を伺いました。

1.豊永酒造.jpg

豊永酒造

球磨の土地に根付いた有機米焼酎造り

「球磨の土地と風土を焼酎で表現したい」

そう語るのは、豊永酒造の豊永さんです。
創業1894年の豊永酒造は、今年で創業129年を迎える老舗の酒蔵です。「球磨の米・球磨の水・球磨の人」による地元風土に根づいた焼酎造りを大切にしており、原料の米から自社で製造し焼酎を仕込んでいます。
1990年頃からは、有機米にこだわり、契約農家や自社田で出来た有機米を使用した有機米焼酎造りをスタートさせました。

2.豊永酒造.jpg

豊永酒造

皆さん、有機米の定義をご存じですか?
農薬や食品添加物に影響される食への安全性や、地球環境への関心の高まりから近年一層注目されるようになった有機(=オーガニック)食品。
中でも有機米は、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず、自然の力で栽培されたお米のことを指し、厳格な検査の上で農林水産省が認定したJASマーク商品です。

さらに2022年10月から、これまで対象外だった酒類にも有機JASマーク認定がつくようになりました。有機米の製造から自社で管理し、その米を原料に有機米焼酎をつくっている豊永酒造は、酒類第一号として有機JASマークの認定を受けている酒造です。

3.自社田.jpg

自社田

4.田植えの様子.jpg田植えの様子

「カルダモン焼酎」ヒットへの道のり

球磨の風土に根づいた伝統的な米焼酎を作り続けてきた豊永酒造ですが、今「カルダモン焼酎」という変わり種焼酎に注目が集まっています。このヒット商品が生まれたきっかけは何だったのでしょうか。

「伝統を重んじ大切に守りながらも、新しいことへもチャレンジしています。そんな中で、スパイスカレー店を経営している取引先から『カレーに合うお酒はないか?』との相談をもちかけられたのがきっかけです」(豊永さん)

そこから豊永酒造の新しい挑戦が始まりました。
さまざまなスパイスを取り寄せて、いざ試作づくりがスタート。
当初、ジンのように蒸留し蒸留器の中に香りをつけるという手法が試されました。しかしこの試みはなかなかうまくいかず、スパイスを直接焼酎に漬け込むことに。そうして納得できる香りと味の抽出までに試行錯誤すること7回。
こうして2019年に誕生したのが、その名も「カルダモン TAKE7 WHITE SNAKE」です。因みにWHITE SNAKEの由来は、完成前夜にタンクの横に白く輝く蛇が現れたことだそう。

「この地方では昔から蛇は身近な存在です。試行錯誤の末、完成間近で現れた白蛇を見て『良いものが出来るぞ』と確信しました」
まさに運命的なタイミングだったのですね。

5.カルダモン焼酎.jpgカルダモン焼酎

こうして誕生した「カルダモン焼酎」ですが、主力商品となるまでには時間がかかりました。

「当初取引先は、飲食店へ酒類を卸す酒屋さんがメインでした。飲食店には既に定番商品があるので(カルダモン焼酎は)レギュラー商品にはなりにくく、限定メニューとしての取り扱いがほとんどでしたね」(豊永さん)

そんな折、急速な新型コロナウィルスの感染拡大が追い打ちをかけます。人々は密を避ける行動が求められ、飲食店の営業時間自粛やアルコール提供の自粛により、酒類業界もまた大きなダメージを受けました。
そんな中、家飲みを楽しもうとする人々がインターネットを活用し、酒屋さんや酒蔵から直接商品を購入することも増えてきました。

「酒造としては珍しく十数年前から自社ECサイトを運営していたんです。コロナ過で外での飲酒が制限され、自宅用にと検索する中で自社のサイトを見つけていただくことが一気に増えました」(豊永さん)

そういった中で、珍しいカルダモン焼酎に目が留まり注目されるようになったのではないでしょうか。また、自宅で果実酒を作る方に特に人気の有機玄米焼酎は、豊永酒造のみが製造している焼酎であるそうです。

6.有機玄米完がこい.jpg

有機玄米完がこい

ふるさと納税を通して認知拡大へ

このカルダモン焼酎や有機玄米焼酎はふるさと納税のお礼品にもなっています。

「そもそも湯前町は自治体がふるさと納税に積極的に取り組んでいます。弊社としても、自社商品をもっと知ってもらい全国の皆さんにアピール出来るきっかけになるのではないか、と考え参加しました。実際、ふるさと納税のお礼品になって商品も売れ始めました。ふるさと納税を通して認知が広がったという実感はありますね」(豊永さん)

現在さとふるでは豊永酒造の焼酎を数多く掲載していますが、今ではカルダモン焼酎と有機玄米焼酎への注文が大半を占めています。

ふるさと納税を通して知名度が向上したことで一般市場へも広く流通するようになり、取り扱う小売店や飲食店が増えるなど、新しい間口開拓にもつながったそうです。

「ふるさと納税のお礼品として選ばれていることはお客さまの信頼につながると思っています。実際、カルダモン焼酎はその珍しさから、カレー専門店やカレー好きの間で広まっています。有機玄米焼酎に関しては、自然食品を取り扱う店舗や、果実酒を製造している農園が自社製品に使用するなど、これまでとは違ったジャンルからもお問い合わせもいただいており、売り上げも伸びています」と笑顔で教えてくれました。

さとふるに掲載することで発見できたこともあるそうです。

「当初は高級な古酒やセットものの方が人気になるのかと思っていたのですが、実際は単品への寄付が多かったことから単品のラインナップを増やしました。それに伴って売り上げも伸びています」(豊永さん)

さらに、掲載ページについても
「さとふるの商品紹介ページでは、商品にかける生産者の想いなども掲載できるので寄付者の方がそういった点を見て選んでくれているのだと思うととても嬉しくなります。写真や情報発信の重要さにも気付きました。実際に自社のSNSでも田んぼの様子や球磨の風景などを発信するようになりました」と教えてくれました。
どういうところで作られているのかを見ることで消費者も安心でき、実際に生産者の方や製造の様子が分かることで親近感にも繋がります。

また、以前から取り組んできた有機栽培が、コロナ禍で高まった健康志向も相まってさらに注目を集める結果となりました。

7.仕込みの様子.jpg

仕込みの様子

8.石室の様子.jpg引き込み

国内のみならず海外へも焼酎を広めたい

球磨の土地で風土に根付いた伝統的な焼酎作りを続けながら、新しい焼酎作りにも邁進している豊永酒造。国内での普及のみならず海外の酒類イベントにも積極的に参加しており、今後は世界にも目を向けていきたいといいます。

「韓国では若い人が好んで焼酎を飲むので人気が高いです。他にもアメリカやインドネシア、フィリピン、シンガポールともお取引があります。皆さん日本のコンテンツには大変興味を示して下さるので、これからもさらに焼酎を広めていきたいですね」(豊永さん)

球磨焼酎を広め、世界中の人に知ってもらいたい、との展望はますます広がっています。

9.常務写真.jpg

豊永酒造 豊永遼さん

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