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  5. "学校ジャージ"を支える企業の新たな挑戦

2020/09/03

"学校ジャージ"を支える企業の新たな挑戦

株式会社カネマス 顧客と従業員に寄り添いながら、コロナ禍を切り抜ける

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2020年3月に行われた全国小中高校の一斉休校は、生徒や職員などの学校関係者だけでなく、給食を提供する企業や花き関連企業など多数の業界に影響を及ぼしました。

江戸時代末期以降、衣料縫製を中心とした「衣料のまち」として発展を続ける埼玉県羽生市で、学校ジャージなどを生産する株式会社カネマスも、一斉休校の影響で生産していたジャージの売上が約7割減となり、沢山の在庫が残るなどの大きな影響を受けました。学校が再開した後も、体育祭や林間学校の行事の減少で2020年8月時点でも影響は続いています。一方で、従業員の8割以上が女性である同社では、売上への影響だけでなく、従業員に家族を優先してもらうなどのケアを行っていたそうです。

今回は、株式会社カネマス社長の金子隆さんに、女性や若い世代が働きやすい企業づくりへの想いや、技術力を生かした新素材の生産背景、ふるさと納税の効果を聞きました。

扉写真_RS.png誰もが学生時代に着たジャージを作る株式会社カネマス

東日本大震災の"被災地の声"から生まれた新素材「MINO」

株式会社カネマスは学校ジャージなどの製品開発・製造をオリジナルで行っています。幼稚園から高校まで約500校のジャージを生産しており、既成サイズだけではなく、特注サイズなども小ロットから受け付けるきめ細やかな対応が評判です。また、学校以外からも注文を受け付けており、インターネットや電話で受けた注文を顧客の要望に合わせ迅速に生産し、納品するなど、顧客に寄り添った対応を行っていることから、テレビ業界からも数多くの注文を受けており、人気アイドルグループの衣装や、バラエティ番組で出演者が着用するジャージなども手掛けています。

ジャージ製品.jpg株式会社カネマスが作る彩り豊かなジャージ

顧客の要望に沿った迅速な対応を可能としているのは、製品の95%以上を自社工場で生産するというこだわりです。近年、海外で生産された衣類の輸入割合が圧倒的に多い日本の衣料業界で、自社工場での生産にこだわり、デザインから生地選び、納品後のアフターケアに至るまで自社で行うことで、短納期での対応や小ロットの生産などの、顧客の希望に応えています。

作業風景_RS.png

一つひとつの製品を自社で作ることで短納期などの顧客要望に応じることができる

また、同社では日本の衣料業界の技術を受け継ぐだけでなく、新しい技術開発にも積極的に挑戦しています。2016年にはジャージ特有の伸縮性、通気性を維持しつつ高撥水機能やUVカット機能を持つ、新素材「MINO」を開発しました。

「MINO」は平安時代よりも以前から使用されていたとされる雨具"蓑(みの)"をヒントに作られています。開発のきっかけとなったのは2011年3月の東日本大震災。株式会社カネマスは被災者や支援ボランティアの為にジャージを数百着寄付したそうですが、受け取った被災者や支援ボランティアから「服が雨で濡れてしまい、寒い」「服が泥水で汚れてしまい、着替えるために都度支援を打ち切り戻らなければならない」などの声が寄せられたそうです。

災害直後は洗濯などが難しいため、動きやすいだけでなく保温性があり、雨や泥水などの汚れに強い素材が求められていると考えた同社では、課題を解決すべく試作や実験を繰り返しながら、生地を開発し新素材「MINO」が生まれました。

わらを編んで作られることで内部に空洞を持ち、水を浸透しにくくしている蓑にヒントを得た新素材は立体的に生地を編んで2重構造にすることで内部に空気の層を作り、保温性、耐水性を向上させ、さらに、生地表面を凹凸(おうとつ)の形状にすることで、水をよくはじき、汚れなども付着しにくい素材にしています。さらに、従来のジャージと比較しても軽量で、UVカット効果もあります。

撥水効果_RS.png撥水効果のある「MINO」の表面

動きやすいジャージ素材でありながら、汚れや水に強い「MINO」はスポーツウェアだけでなく、農業やアウトドアで使用されたり、ペット用の洋服や赤ちゃん用の衣類、介護送迎用のユニフォームで活用されるなど、様々なシーンで活用されています。

2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界的にマスク不足が話題となる中、「MINO」を使った「MINOマスク」を開発しました。「MINOマスク」の開発背景について金子さんはこう話します。

「マスクが手に入らず、沢山の方々が困っているのをみて何か役立つことができないかと考えました。『MINO』は撥水力があり汚れもつきにくいのでマスクにすることで、医療用ではないですが、水や唾液を強力にはじく効果が期待されます。作ったマスクは、ふるさと納税のお礼品のジャージに期間限定で付けています。布マスクですから洗って何度も使用できます。ジャージと同じく、数種類の色をご用意していますので、ジャージとマスクをお揃いにして、ファッション性も楽しんでいただけるのではと考えています」

マスク製造手元写真.png一つ一つ手作りで作られている「MINOマスク」

ふるさと納税が新たな顧客層との出会いに

株式会社カネマスは、ふるさと納税のお礼品としてジャージなどを提供しています。お礼品を『さとふる』などに掲載することで、同社の製品アピールや本来受注の入りにくい時期に注文が入ったりする効果が出ているそうです。

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『さとふる』に掲載している「MINOウェア」

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「MINO」を使ったレディースハットのお礼品も提供している
UVカット効果もあり、しわにならないので様々なシーンで活用できる

「ふるさと納税の寄付者の方々はお礼品ページで詳細を見て比較したりされているので、『MINO』のような高機能製品のPRの場としても活用できますし、テストマーケティングのように、お礼品を出してみて寄付者の方々の反応を見る意味でも活用しています。学校用ジャージは春に一番需要が高まり、夏は製品があまり売れないのですが、ふるさと納税を通じて注文があったりするのでありがたいですね。また、同じ方が3回もリピートしてくださったりと思わぬ反応があって嬉しく思っています」(金子さん)

前述の「MINOマスク」は、「マスクだけの申し込みをしたい」という声から、当初の予定を変え、マスクのみのセットのお礼品を準備したほど好評だそう。ふるさと納税をきっかけに、従来の顧客層以外からも注目されています。マスク_RS.png

寄付者の希望により生まれた「超撥水する洗える新MINOマスク5枚セット」

長い期間、活き活きと働きつづけてもらうために

冒頭で紹介したように、新型コロナウイルス感染拡大に伴う一斉休校によって、同社も売り上げが約7割減るなどの影響が出ました。そのような状況の中でも、従業員の感染を防止し、従業員家族のケアを優先してもらうよう努めていたといいます。

積みあがる在庫_RS.png

新型コロナウイルスの影響で積みあがる在庫(2020年6月時点)
例年は、春には在庫がなくなっている

「我が社では、高校を卒業したばかりの若い世代からベテラン層まで、幅広い年代の女性が働いています。縫製は長く携わるほど技術が身につきますので、子育て期には家族を優先してもらうような働き方など、長く働きながら従業員のライフステージに合わせた働き方を提案するように心がけています」(金子さん)

新型コロナウイルスの影響で一斉休校になったときにも、それぞれの家族を優先してもらうよう呼びかけたほか、作業場が密にならないよう、交代で出勤してもらうなど工夫していました。4月に緊急事態宣言が発出され、外出自粛が要請された際にも休業中の給料を保障し、休みやすい環境を整えていたそうです。

また、職人の高齢化が進むといわれる業界の中で若い世代にもやりがいをもって働いてもらうことができるよう、新たな機械の導入や挑戦も積極的に行っています。

「最新の裁断機械や、工業用の刺しゅうミシンを導入したり、『MINO』のような新しい技術の開発を行ったりと日々、新しい挑戦を続けています。従業員の提案から始まった挑戦もあります。例えば2019年には『MINO』素材を使ったペット用ウェアの認知度向上や販売を目的に、従業員からの提案でペット業界の展示会に参加しました。正直なところ、10着売れればよいかなと思っていたのですが、2日で70着を販売することができ、好評でした。なによりも従業員が自発的に活き活きと取り組んでいたのが嬉しかったですね」(金子さん)

ペット展_RS (1).pngデザイン性だけでなく、機能性も優れたペット用ウェアは訪れる人からも好評だった

取材時も、作業場には様々な年代の女性の笑い声と活気にあふれていました。顧客や従業員に寄り添う株式会社カネマスの、今後の発展から目が離せません。