さとふるTOPページへ

フレ!フレ!みんなのふるさと納税!
さとふるがお届けする地域情報サイト

  1. 「ふるさと納税」ホーム  > 
  2. ふるさとこづちTOP  > 
  3. エリアから探す 記事分類から探す
  4.  >  九州 自治体|寄付の使い道・まちづくり
  5.  > 
  6. ふるさと納税を活用して伝える、宮崎の世界的イラストレーターの作品とその功績

ふるさと納税を活用して伝える、宮崎の世界的イラストレーターの作品とその功績

生賴範義記念みやざき文化推進協会 イラスト作品等の保全活動

スター・ウォーズなど名だたる作品のイラストを手がけた世界的なイラストレーター生賴範義(おおらいのりよし)氏。2015年の没後、展覧会や、活動拠点だった宮崎市でふるさと納税のお礼品に取り上げられ再び注目が集まっています。作品の評価を高め、後世に伝える取り組みを伺いました。

生頼範義複製画 『

遺された作品は2600点超

「生賴先生のことを初めて知ったときは、『宮崎にこんなにすごい人がいるんだ』と驚きました」と話すのは、生賴範義記念みやざき文化推進協会(以下「みやざき文化推進協会」)の理事を務める石田さん。生賴氏の作品を後世に伝え、その評価を高めるための活動をされています。

IMG_1752_RS.png生賴範義記念みやざき文化推進協会 理事 石田 達也さん

「生賴先生は1960年代から2000年代頃までの商業美術を第一線で支えてこられました。インターネットもない時代に、宮崎からハリウッドなど世界を相手に手描きのイラスト作品等を制作されており、ほぼ生涯現役を貫かれた方です。

私は高校生のときに生賴先生のことを新聞で知りましたが、宮崎では生賴先生のお名前は一般にそれほど知られていないのが現状です。ただ、絵を見ていただければ、『あの作品を描いていた人なのか』と気づいてもらえる。そこで、もっと宮崎の人たちに先生のことを知ってもらいたいと思い、先生が亡くなる前年の2014年に宮崎で展覧会を企画しました。

この展覧会がきっかけとなり作品の整理をはじめたのですが、あらためて知ったのは生賴先生の圧倒的な仕事量です。遺されているイラストは2600点を超えており、油彩画も430点ほど残されていました。多いときは1年間に130冊以上というハイペースで本の表紙を描かれていたようで、それがこれだけのクオリティの高さですから、信じられない思いでしたね」(石田さん)

生頼範義複製画『平井和正の幻魔宇宙』_RS.png

ふるさと納税のお礼品に提供している、
生頼範義複製画 『平井和正の幻魔宇宙』

作品を保存し価値を高めるには資金が必要

2016年12月に、生賴氏の作品の管理や保存等を目的とするみやざき文化推進協会を設立した石田さん。組織として、さらに積極的に作品の保存などを推進します。

「生賴先生の作品は、1枚1枚きちんと保存されていたわけではないため、まずはこれを整理して保存する必要があると考えました。これは作品の評価を高めるためにも必要なことです。葛飾北斎やアルフォンス・ミュシャなど、生前に商業画家として活躍していた人の作品が、現在はアート作品として認められているケースがありますが、これは、きちんと作品が保存されていたおかげですからね。

ただ、保存をするにも、情報をアーカイブするにもお金が必要です。絵のクリーニングや、害虫除去、デジタル化のための撮影に加え、作品の成り立ちを調べるための費用や人件費もかかります。最終的には展覧会に使うための額装も必要になるため、とにかくコストがかかる。そこで私が考えたのが、ふるさと納税を利用して、より多くの人に作品に触れてもらうことでした。実際に、ふるさと納税はこうした活動の大切な資金源となっています」(石田さん)

IMG_1741_RS.pngまだ複製画になっていない作品のひとつを紹介してくれた

石田さんのはたらきかけによって、宮崎市では現在、『さとふる』で生賴氏のイラスト作品の複製画をふるさと納税のお礼品として提供しています。たとえば1970年に刊行された吉川英治氏の小説『宮本武蔵 第1巻』の装幀画などが、ジグレーという最先端の版画技術により再現されており、ファンを中心に注目を集めました。

地域を巻き込んで後世に価値を伝えていく

「私たちは東京の上野の森美術館などで展覧会を開催しています。この一部にはふるさと納税による収益を充てました。予想したよりも反響が大きく、日本中にファンがいることを実感しましたね。ふるさと納税のパンフレットも置いていたのですが、1日でなくなってしまいました。もっと用意しておけばよかったですね(笑)。

私は、生賴先生の作品は、"クラシック"として確固たる評価を得るべきものだと考えていますが、これまでは作品が市場で出回っておらず、評価も定まっていない状況でした。これから作品の評価を高めていくためにも、ふるさと納税などを通じて先生の名前を世に広めたいと思っていますし、いずれは常設展の開催や、生賴先生の名前を冠したイラストの賞もやってみたいと考えています」(石田さん)

遠い未来に向けた展望も描いている石田さんは、さらに行政との連携にも力を入れたいと話しました。

「もちろん、私や協会のメンバーがいる間にできることはやりますが、それだけでは限界があります。きちんと後世までつなげていくには、やはり行政の力も必要で、ゆくゆくは市で作品を保存し、活用をしてもらえる環境を整えたい。そのためにはやはり市民の方の理解が必要ですから、ふるさと納税などを通じて、宮崎への寄付額や知名度アップの実績をつくるとともに、作品自体の価値も高めていきたいですね。このように、あらゆる手を尽くしながら、宮崎に生きる者として、生賴先生の作品を残していきたいと思います」(石田さん)

石田さんは、ふるさと納税の寄付金を活用し、ゆくゆくは若手イラストレーターを評価するような"生賴賞"の設立をしたいと夢を語ってくれました。大きな目標に向けて活動するみやざき文化推進協会の、これからの飛躍が楽しみです。