宮城県村田町 杜の都のお肉屋さん「むらかみ商店」 地域の背景まで届けるお礼品づくり
宮城県内陸部に位置する村田町は、蔵王連峰を望む自然と、江戸時代から続く歴史ある町並みが調和するまちです。紅花交易で栄えた蔵の町並みが今も残り、その風景は「みちのく宮城の小京都」とも呼ばれています。2014年には国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、その文化的価値は今も大切に守り継がれています。

清らかな水と豊かな土壌に恵まれ、「ひとめぼれ」をはじめとする米やそら豆、とうもろこしなどの農産物、味噌や納豆といった発酵食品づくりも盛んです。中でも近年、地域を代表する特産品として存在感を高めているのが「仙台牛」です。
そんな村田町では、ふるさと納税を通じて特産品の魅力とともに町のことを知ってもらう取り組みが進められています。
今回は、村田町のふるさと納税事業に取り組む村田町財政課の日下さんと、"村田町の仙台牛"を全国に届けるために事業を立ち上げ、お礼品の企画・販売を手がける、杜の都のお肉屋さん「むらかみ商店」代表・村上さんに話を伺いました。
村田町財政課の日下さん(写真左)と「むらかみ商店」代表・村上さん(写真右)
村田町のふるさと納税の歩み
村田町がふるさと納税のお礼品提供に取り組み始めたのは、2015年度からです。2020年8月に「さとふる」に参入し、寄付管理の効率化や運用体制の整備を進めてきました。お礼品では特に「仙台牛」が人気を集めているほか、お米・お酒・納豆など、日常の食卓で楽しめる品も多くの寄付者に選ばれています。
お礼品のバリエーションが増える中で、価格競争や差別化の難しさが課題となっています。
そうした中で村田町が大切にしてきたことが、"地域ならではの魅力"をどう伝えるかという視点です。
「むらかみ商店」を営む村上さんは、もともと村田町の職員としてまちづくりの分野に多く携わり、財政課に所属していた際にふるさと納税運用体制の構築に関わっていたそうです。
「仙台牛を含め、新たなお礼品開発を進める中で、一番に考えたのはお礼品提供事業者が取り組みやすい環境を整えることでした。『さとふる』への参入によって、寄付管理や発送・入金方法などの運用面が整理され、事業者にも理解を得やすくなりました」(村上さん)

「むらかみ商店」代表・村上さん
体制整備が進んだことで、それまで取り扱いが難しかった「仙台牛」のお礼品化にも取り組めるようになっていきました。
町内には高品質な仙台牛が育つ環境がありながら、その魅力は町内でも十分に知られている状況ではありませんでした。また、仙台牛をお礼品として展開するには、産地を特定できる流通体制の構築も必要で、簡単な道のりではなかったといいます。
本来は民間が担う商品開発を、役場職員として関わり、村上さん自身も仙台牛や加工・流通について学びながら準備を進めていきました。
特に大きかったのが、肥育農家や卸加工業者の協力です。原料の安定供給や加工体制の構築など、多くの課題がある中で、地域と一体となって体制づくりを進めていきました。
また、受付開始当初はすぐに寄付が集まる状況ではありませんでしたが、他自治体の事例を研究しながら、お礼品の見せ方や写真撮影、画像編集などにも自ら取り組みました。そうした工夫を重ねる中で、徐々に全国の寄付者にも注目されるようになっていきました。
村上さん自身が撮影したお礼品写真
「村田町の仙台牛」 を全国へ届けるために
お礼品の整備が進み、寄付も伸びていく中で、村上さんは地域の仙台牛により深く関わっていきたいと考えるようになったといいます。
「地域には、仙台牛の魅力をもっと発信したいと考える肥育農家や卸加工業者がいる一方で、実際には『やりたくてもできない』課題も多くありました。そうした中で、本格的に仙台牛に携わることが、村田町や地域の魅力向上につながるのではないかと考え、独立を決意しました。そうして立ち上げたのが、杜の都のお肉屋さん『むらかみ商店』です」(村上さん)

仙台牛銘柄推進協議会 取扱指定店認定を受けた「むらかみ商店」
そういった経緯を経て加工業者と連携して生まれたのが、仙台牛を使ったハンバーグでした。町を代表するお礼品にしたいという想いから、原料の確保や寄付者の手元に届く梱包方法まで、構想や企画に多くの時間をかけたといいます。
「一般的なハンバーグは、端材を使って価格を抑えることも多いのですが、コストよりも"村田町のお礼品として魅力をどう伝えるか"を大切にしたかったんです。村田町産仙台牛100%だからこそ意味があると思い、開発を進めました」(村上さん)
一方で、おいしさの追及や製造ロット、流通工程など、開発には多くの課題もありました。試行錯誤を重ねる中で、現在のハンバーグ製造業者との出会いにもつながっていきました。
仙台牛100%「プレミアムハンバーグ」は、無添加・粗挽きで肉の食感を活かした、いわばステーキのような味わいが特長です。味の良いネックやブリスケット(肩バラ肉)などの部位を組み合わせることで、仙台牛ならではの旨みを引き出しています。

「プレミアムハンバーグ」のお礼品ページ
地域とのつながりを生むお礼品へ
ふるさと納税のお礼品として展開したことをきっかけに、「村田町の仙台牛」は少しずつ地域内外での認知を広げています。
町内の道の駅や酒屋では「村田町の仙台牛」や「仙台牛ハンバーグ」が取り扱われるようになり、肥育農家が中心となった仙台牛イベントを毎年道の駅で開催するなど、地域の中でも身近な存在になっていきました。
「"村田町の仙台牛"が町内の方々に広く認知されたのは大きかったですね。肥育農家さんが最高の仙台牛を育ててくれているからこそ、地域での流通にもつながっていると思います」(村上さん)
現在、むらかみ商店の「仙台牛ハンバーグ」は、町内のスポーツランドSUGO内にある「SUGO CAFÉ」でもメニューとして提供されており、村田町の仙台牛が地元でも味わえる環境になっています。

SUGO CAFÉで提供される「仙台牛ハンバーグ」
村上さんが大切にしているのは、寄付額だけを追うのではなく、地域の魅力や想いも含めて届けることです。
「寄付額の比較だけでなく、その背景にある生産者や地域の想いも見える形で届けていくことが大切だと思っています」(村上さん)
その先に見据えているのは、ふるさと納税を通じて地域への関心やつながりを広げていくことです。
「最終的には、地域活性化に貢献できればと思っています。お礼品をきっかけに地域に興味を持っていただき、実際に訪れてもらえる流れが生まれれば嬉しいですね。地域の事業者や生産者、地域全体が誇りを持てるような町づくりにも、微力ながら関わっていきたいと思っています」(村上さん)
地域の想いを届ける、さとふるとの連携
村田町とむらかみ商店の取り組みを支えているのが「さとふる」との連携です。
むらかみ商店では、「さとふる」の担当者からの提案で、グループ会社「オッズパーク」のキャンペーン賞品として仙台牛が採用されました。仙台牛を多くの方に届ける機会へとつながり、全国的に新たな認知のきっかけにもなりました。
また村田町にとっても、「さとふる」を通じた情報発信は大きな後押しになっています。町の特産品はまだ広く知られているとは言えない中で、サイト内の特集ページなどに取り上げられることで、村田町を知ってもらう場にもなっています。
実際に、「東日本大震災から15年特集」では、震災で被害を受けた蔵の復興について紹介され、町の背景や取り組みを伝えるきっかけとなりました。また「令和4年 福島県沖地震」の際には災害支援の寄付を募るなど、地域を支える役割も担っています。

「東日本大震災から15年特集」で紹介された、村田町の復興の歩み
ふるさと納税を通じて、特産品の魅力だけでなく地域の歩みや想いを伝えていく。さとふるとの連携は、そうした地域との新たな関わりにもつながっています。
村田町の未来と文化を支える、ふるさと納税
村田町では、ふるさと納税を通じて地域の特産品や魅力をさらに広く発信していきたいと考えています。仙台牛のお礼品の充実に加え、そら豆、とうもろこしに続く農作物のお礼品発掘にも力を入れています。
「若年層の流出や担い手不足といった課題がありますが、ふるさと納税を通じて村田町を知っていただき、訪れてもらうことで、地域との新たな交流につながればと思っています」(日下さん)
また、ふるさと納税の寄付金は、子育て支援や地域産業の振興に加え、歴史ある蔵の保全活動にも活用されています。東日本大震災では町内の蔵も被害を受けましたが、現在も修復や景観保存の取り組みが続けられており、その一部にふるさと納税が役立てられているそう。
歴史ある蔵の町並みの様子
一方、むらかみ商店の村上さんも、ふるさと納税を「地域とのつながりを生む仕組み」として捉えています。
「地域にお金を残し、次の世代に還元していきたい。自慢できるお礼品をつくり続けることが、自分にできる地域への恩返しだと思っています」(村上さん)
寄付をきっかけに村田町を知り、地域に興味を持ち、実際に足を運んでもらうこと。ふるさと納税を通じて、そうした関わりが今後もさらに広がっていくことが期待されています。
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