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御食国若狭の味を伝え広める

小浜海産物 さまざまな海産物を加工・販売

①北前鮨.png

小浜海産物が提供している若狭北前鮨のお礼品

古代には、海産物や塩などの豊富な食材を都へ送り、朝廷の食を支える「御食国(みけつくに)」の1つとして栄えた若狭小浜。福井県小浜市の小浜海産物は、若狭小浜の豊かな食材や、それらを活かした加工品を全国の食卓に届けています。

明治時代の味を受け継ぐ「小鯛ささ漬」を製造・販売

若狭小浜は日本列島の日本海側中央に位置し、古くから大陸や朝鮮半島、京の都とのつながりが深い地域です。古代には、海産物や塩など豊富な食材を都へ送り、朝廷の食を支えた「御食国」の1つとしても知られます。2015年には福井県小浜市と若狭町の2市町が、文化庁によって日本遺産第1号(海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖街道~)に認定されました。

小浜市の小浜海産物株式会社は、地元の新鮮な海産物や「小鯛ささ漬」など自社製品の販売を行っています。1948年に「小浜海産物加工協同組合」として創立され、1950年に現在の会社が設立されました。「若狭小浜 丸海」という店名で、地元・福井県を拠点に都内の百貨店やネット通販などを通じ、全国に販売網を広げています。また、中国に子会社を持ち、海外事業も早くから展開しています。

②小鯛ささ漬.png

小鯛ささ漬

「創立当時、この地域ではサバの豊漁が続いていました。そこで、終戦と共に小浜に帰ってきた初代社長の上野清は、サバなどの海産物を扱う会社を立ち上げました。そして出征の際に全国にできた人脈を通じ、販売網を広げていきました」

小浜海産物 製品事業本部・直販課 主任の藪本大介さんは創業時の状況について、こう説明します。看板商品となっている自社製品の「小鯛ささ漬」は、明治時代後期に池田喜助によって考案された、ささ漬の作り方をそのまま受け継いだものです。

③インタビュー.png小浜海産物 製品事業本部・直販課 主任 藪本大介さん

池田喜助は当時、大量に獲れるものの水分が多くて傷みやすく、価値が低かったレンコダイを使って何かできないかと考えていました。そして京都の乾物問屋と共に、その旨みを活かし、日持ちする商品を考案しました。この商品は昭和初期には、小鯛ささ漬と呼ばれるようになりました。 

小浜海産物の創業時には、池田喜助の子孫である池田喜代二が創業メンバーに加わり、その作り方を伝承しました。小鯛ささ漬は、若狭湾で獲れたレンコダイを3枚に卸し、塩、米酢のみで調味して作られます。現在も保存料や化学調味料などは一切使わず、自然の味を活かしています。

また、人気商品の1つとなっている「雲丹ひしお」は、生ウニを使用して作られる贅沢な調味料です。その熟成・発酵では温度管理や時間管理が重要となるほか、毎日、丁寧に混ぜ続ける必要があります。発酵状態を確認しながら、かき混ぜることによって深いコクが生まれていきます。

ふるさと納税お礼品への採用でカニの販売が本格化

小浜海産物の商品では、元は地元の土産物店に向けた販売が主だったそうですが、現在は関東への販売が全体の約6割を占めています。また、2015年からは、小浜市にふるさと納税を行う寄付者へのお礼品に採用されています。

小浜海産物のお礼品は、贈答用として注文されることも多いそうです。さらに、ふるさと納税のお礼品に採用されたことで、従来は高額なために販売しにくかったカニの取扱量が増えました。

「小浜は海産物が豊かですが、これまでカニのイメージはありませんでした。それは、小浜市が福井県の中でも南に位置している一方で、カニが獲れる場所として知られているのは北部であるためです。また、カニは高価なので、仕入れても売れなければ損失が大きく、その結果これまではあまり思い切った仕入れができませんでした。しかし、ふるさと納税のお礼品として注文が増え、従来は都内の百貨店にしか出せなかったようなものも売れるようになりました」

④セイコガニ.png

小浜海産物が提供しているセイコガニのお礼品

福井県で水揚げされるズワイガニは、オスは「越前ガニ」、メスは「セイコガニ」と呼ばれています。これらのカニが獲れるのは冬場で、毎年11月6日が漁の解禁日となっています。このうちセイコガニは、大きさはオスの5分の1程度ですが、お腹にある「内子」や「外子」、「カニ味噌」がおいしいことから、地元では大きなオスよりも人気があると言います。

カニの取扱量が増加し、安定してきたことで、地元業者との付き合いが深くなり、カニの入荷もしやすくなったそうです。以前は、小浜市とカニのイメージがつながらず、1年に1回から2回ほどの漁に出るのみでした。それがふるさと納税によって、近年では安定した需要が見込まれ、年に7回から8回ほどの漁に出られるようになったそうです。またカニの取扱量が増加したことで、社員が目利きする力も向上しました。小浜海産物ではカニのシーズン中は、(11月~2月頃まで)、従来よりも多くのカニを入荷して水槽で飼い、年間を通して安定供給できるようにしています。

食品産業を通じて地域や社会に貢献

小浜海産物の企業理念は、「食品産業を通じて社会に貢献する」というものです。若狭の食文化を守り、伝え広めていくだけでなく、次代を担う食文化も創造しようとしています。中でも地域経済への貢献は重要なことですが、人口減少時代を迎える中で業績を向上させていくのは容易ではありません。  

「ふるさと納税に関しては賛否両論があるようですが、地方自治体や事業者が寄付者に応援していただき、寄付者にもお礼品を送って喜んでいただけるのは良いことだと思います。ですから、今後もこの制度を継続していただきたいと考えています」

⑤お店の前で.png

元は協同組合として創立された小浜海産物は、70年間にわたって若狭小浜の味を全国に伝え、海外事業にも取り組んできました。今後はふるさと納税のお礼品を通じて、自治体のほか、肉や野菜など他の地元産品を扱う業者との連携も強め、地域への貢献を続けていこうとしています。