2018/06/29
安全で美味しい贅沢を届けるために「いちごが喜ぶいちご作り」にこだわる
佐賀県江北町・むらおか農園
むらおか農園 唐島晶悟さん
広大な平地に太陽の光がたっぷりと降り注ぐ自然豊かなまち、佐賀県江北町。ゆっくりとした穏やかな時間が流れるこの江北町で、14年前からいちご栽培をはじめたのが「むらおか農園」の唐島さんです。いちご本来の美味しさを引き出すため、育て方や新たな商品開発にも積極的に取り組む唐島さんに、いちご作りへのこだわりと農園にかける想いについてお話を伺いました。
環境が美味しさの1%に直結する--むらおか農園がこだわる「いちごが喜ぶいちご作り」とは?
唐島さん:「『むらおか農園』では、佐賀県を中心に九州で栽培されている糖分と酸味のバランスに優れた品種『さがほのか』を≪王様のいちご≫として販売しています。農園がある江北町は、平坦な土地で山陰に隠れることがないため、日照時間を確保することができるだけでなく、水や空気にも恵まれている場所です。」
生産者の唐島さんは、生産のこだわりといちご作りにかける想いを話してくれました。
唐島さん:「いちご自体のホルモンのバランスもありますが、気候がいちごの美味しさを左右する1番の要因です。光の1%が、いちごの収量や味の1%に直結してしまいます。ひとつの果実にだけ栄養が行き渡ってしまうと、次の果実が小さくなり、均等に育てるのは難しいです。だからこそ、いちごが喜ぶ環境をしっかりと整えてあげることが大切です。
安心・安全の面では、化学農薬を極力使用せず、殺虫剤の代わりに虫が嫌がる香りを使用し、農薬散布の回数を減らす工夫をしています。
これまで栽培してきた感覚をもとに、酵母菌や納豆菌、麹菌、乳酸菌などの良質な菌をハウス内に散布することで、菌バランスをコントロールしています。化学農薬に頼らずに健康ないちご作りを実現しています。」
ふるさと納税により、寄付者の声が直接届いて「やりがい」に。新しいチャレンジを通して農園のミライを考える
『さとふる』でのお礼品提供をきっかけに、「お客様との距離が近付いた」と話す唐島さんは、今後の農園の展開として、いちごの加工品を製造するための自社工場を建設予定で、生産から加工、販売まで手がけていければと意気込みを語ってくれました。また、『さとふる』をきっかけにチャレンジできることが増えた結果、環境だけでなく地域や業界に対してできることを考えるようになったといいます。
唐島さん:「農家の場合、飲食店などと違いお客様の顔が見えにくく、直接感想をいただく機会もなかなかありません。『さとふる』をきっかけに寄付者の方の声が直接届くようになったことで、お客様との距離がグッと近く感じるようになりました。こだわっているからこそ大変な作業も多いのですが、『本当に美味しかった!』という声が私たち生産者に聞こえてくるのは、やりがいが全然違います。」
「それと、いちごは果樹と違って追熟をしないので、収穫した瞬間から時間が経つほど鮮度は落ちていきます。通常は収穫をした翌日にはパックに詰めて、農協から市場へ運ばれていきますが、私たちの農園では、朝摘みのいちごをその日のうちに出荷をしてお客様のもとへお届けしています。この方法だと人手が必要なので、地元の主婦の方などを採用しました。地域に新しい雇用が生まれたことにも農園の可能性を感じています。
人を雇ったことで私自身が外に出られるようになり商談会に参加し、新たに海外への輸出にもチャレンジすることもできました。」
「ふるさと納税によって、生産量と出荷量が増えたので、今の農園だけでなく観光農園にもチャレンジしていきたいと考えています。さらなる雇用と他県からの集客にも寄与できたらもっと楽しいです。
また、いちごの生産者の平均年齢は65歳を超えていて、佐賀県はいちご産地としての力を失いつつあります。これを機に、来年からは県内の農業大学から研修生を受け入れ、生産だけでなく人材育成の部分でも貢献していければと考えています 」
安全で美味しい贅沢を届けるために。お客さまと地域が喜ぶ「いちご作り」へ
『さとふる』をきっかけに、いちご作りだけでなく、農園のこれからについても挑戦できることが増えたと話す唐島さん。飽くなき探究心と新たな挑戦にワクワクしている様子がインタビューの中でもひしひしと感じられました。最後に、唐島さんが目指す「いちご作り」と「むらおか農園」のこれからについてお聞きしました。
唐島さん:「いちご作りって、突きつめようとするとやっぱり終わりがないです。天候もいつも味方してくれるわけではないですし、思うように成長してくれないことももちろんあります。もっと美味しく育ててあげたい、もっとたくさんの方へ届けたいといつも考えています。本当に果てし無くて、完璧じゃないからこそいちご栽培は楽しいんだと思います。これからも、『もっと』を探求し続け、安全・安心で美味しいという『贅沢』をひとりでも多くの方にお届けしたいです。」
「いちごを喜ばせてあげるのと同じように、私たちが作ったいちごを食べてくれる人にも、農園で一緒に働いてくれる人にも喜んでいただきたい。そうなると私自身も嬉しいですね。さらには、地域も。どうしたら地域のみなさんやまち自体が喜ぶか、なんてことも追求できたら楽しいですね 」