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2018/10/29

人への投資で生み出す「あったかい街づくり」

山形県尾花沢市 「雪とスイカと花笠のまち」

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山形県尾花沢市 菅根光雄市長

豪雪地帯にあり、尾花沢すいかや銀山温泉、花笠音頭で知られる山形県尾花沢市。

銀山温泉や、平成30年度「日本遺産」に認定された花笠まつりや尾花沢雅楽などの他、気候を活かした、すいかや米の名産地でもありますが、過疎化が進んでいます。尾花沢市の菅根光雄市長に、まちづくりやふるさと納税の活用内容について聞きました。

「あったかい子育て」の応援で住みよいまちづくりを

山形県尾花沢市は日本有数の豪雪地帯にあり、雪がもたらす豊かな水や、朝夕の寒暖差が大きい気候が、米やスイカ、蕎麦など農産物の栽培に適しています。中でも、生産量日本一の夏スイカは、「尾花沢すいか」のブランドで知られています。近年は畜産も伸びており、黒毛和牛の肥育頭数は8,000頭を超えます。

また、全国的に有名な「花笠音頭」の発祥地であるほか、大正ロマンを感じるまち並みの「銀山温泉」もあり、国内外から多数の観光客が訪れます。このほか、「奥の細道」で知られる松尾芭蕉が友人の鈴木清風を訪ね、10泊11日と最も長く滞在したまちであることから、市内には「芭蕉・清風歴史資料館」もあります。

このように、観光資源や農地に恵まれた尾花沢市ですが、過疎化が進んでおり、現在の人口は約16,000人に減少しています。人口減少に伴い、近年は地方交付税も減少しており、市の財政に占める地方交付税の割合は現在、35%程度です。

「地方交付税の減少は、市民サービスや行政に大きく影響します。このような中、ふるさと納税によって多くのご寄付をいただけるのは、非常にありがたいことです」(菅根光雄市長)

市では現在、市民が主役となる協働のまちづくりを進めていて、地域や家庭にある優しさによって温かさを生み出し、さらに「地域力」を強めていこうと「人」に対する投資を重視しています。ふるさと納税の寄付を活用している「あたたかい子育て応援事業」もその取り組みの一つで、子供たちへの食育を目的とした教室の開催や、男性の育児参加を促進するイベントなども開催しています。

★②子育て支援写真.jpg

「あたたかい子育て応援事業」では男性の育児を
促進するイベントなども行われている。

「子どもの数が減少する中で、子どもを産み育てやすいまちをつくろうとしています。『子育て支援が良さ』で、尾花沢を選び、定住してくれる人を増やしたいと考えています」(菅根光雄市長)

周辺地域への観光PR強化、地域産品のブランド化目指す

山形県と宮城県を結ぶ国道347号は、県境の鍋越峠が狭隘かつ屈曲で、豪雪地帯でもあるため、冬期は、峠を挟む地域が通行止めになっていました。しかし、東日本大震災の発生を機に復興支援の道路として整備が進められ、2016年には通年通行化が実現しました。

これに伴い、尾花沢市では宮城県側との産業でのつながり強化や、観光での交流人口拡大に期待しています。仙台市内では尾花沢をPRするため、特産のスイカ模様のラッピングバスを走らせています。また、国道沿いには市の魅力をアピールする看板も設置しています。これらにも、ふるさと納税による寄付が活用されています。

今年5月には、花笠まつりや芭蕉・清風歴史資料館、尾花沢雅楽、まつりばやしなどが、日本遺産「山寺が支えた紅花文化」に認定されました。来年は、松尾芭蕉が尾花沢を訪れてから330年にあたることから、市では市内外の人たちに向けて、PRしていく方針です。また、観光ボランティアの養成を計画しており、市が持つ観光資源にこれまで以上に観光客が訪れ、地元の商店街活性化にもつながることを期待しています。

「ふるさと納税のお礼品としては、尾花沢すいかのほか、雪降り和牛や蕎麦、米など、地元の様々な特産品を寄付者に送っています。最近はお礼品のアスパラガスも高い評価を得ており、今後さらに注文が増えることを期待しています。寒暖の差が大きい尾花沢で育つアスパラガスは、スイカと同様に甘みや旨味が濃いのが特長です。」(菅根市長)

首都圏の寄付者からは特に、全国的に有名なブランドとなっている「尾花沢すいか」の注文が多く寄せられます。市ではふるさと納税を通じて、ブランド化の重要性を再認識したといいます。「地域の中で美味しいと認識しているものでも、知名度が低いと寄付者の目に止まらず、選択される返礼品は、ブランド認知されているものがほとんどです。現在あまり注目されていない品もブランド化し発信をすることで、選ばれるようにしていきます。」

市では名産であるスイカの6次産業化にも挑戦しています。スイカサイダーやスイカカレーの開発など名産品の新たな切り口での商品開発を行うことにより、地域の魅力を伝えるとともに、通年提供できる商品を増やしていくことを目指しています。

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名産「尾花沢すいか」を使ったサイダーやカレーなど
地域の魅力を発信する新たな商品開発にも積極的に取り組んでいる

まちなかカフェの設置も計画、地域住民のつながり強化を目指す

今後の展望についてお伺いしたところ、市では現在、高校3年生までの子どもの医療費を無料化し、更には小中学生の給食費の2分の1を助成するなど子育て支援を充実していますが、「今後はシニア層の方々の支援にも力を入れたい」と語っています。今年は敬老会に対する市の助成を、従来よりも50%増やしたとのこと。この助成にもふるさと納税を活用していく方針だそうです。

また、花笠おどりや尾花沢雅楽など伝統文化の継承を目的とした楽器購入などにもふるさと納税を活用していることから、これからも積極的に事業を行って行きたいと話してくれました。

住民同士の地域住民が集まって過ごせる、「まちなかカフェ」も検討しており、「市内の空き家を貸与していただき、維持管理は行政で行います。住民が一緒にお茶やコーヒーを飲んだり、持ち寄ったものを食べたりして交流できる場にしたいです。移住してくる方々もいますから、『尾花沢へ来て良かった』と言っていただけるまちにしていきたいです」と、力を込めていました。

東日本大震災では地域の消防団の人たちが、一人暮らしの高齢者世帯を回って、けが人がいないか確認するなど、大きな力を発揮してくれました。これも尾花沢の「地域力」のひとつで、住民の協働が生み出す力です。市では今後もこの「地域力」を高め、首都圏の人たちにも「地方の住みやすさ」を発信していく方針です。