閉じる

フレ!フレ!みんなのふるさと納税!
さとふるがお届けする地域情報サイト

2018/09/13

食と平和のまちづくり ふるさと納税で交流人口が拡大

都会と田舎の両立 "とかいなか"筑前町

IMG_7223_RS .png

2016年の『ど~んとかがし祭』で展示された、わらでできた"シン・ゴジラ"

 

筑前町は、福岡都市圏から車で1時間と立地に恵まれ、のどかな田園風景が両立する都会と田舎の間の町です。
『食と平和のまちづくり』をコンセプトに、食の拠点として『ファーマーズマーケットみなみの里』、平和の情報発信基地として『筑前町立大刀洗平和記念館』を有しています。
ふるさと納税に力を入れ始め、「交流人口が拡大した」という効果を語る筑前町役場の岩下定徳さんと中西弘美さんにお話を伺いました。

IMG1747_RS.png

筑前町役場 企画課 課長 岩下定徳さん

IMG1725_RS3.png

筑前町役場 企画課 企画調整係 中西弘美さん

シン・ゴジラで人口3万人弱の町に11万人の来場者

筑前町では、毎年11月上旬に、旧三輪町の"どんと祭り"と旧夜須町の"かがし祭り"がひとつになった一大イベント、『ど~んとかがし祭』が開催されています。(※2017年は九州北部豪雨により近隣自治体支援の為見送り)
そのお祭りの運営の資金にふるさと納税の寄付金を充てていると伺い、詳しくお話をお聞きしました。

「町の合併10周年記念のお祭り『ど~んとかがし祭』で2015年にわらで作った巨大イノシシが好評で、翌年もやろうという話になった時、その為の予算がなく、活用されたのがふるさと納税の寄付金でした。
2016年には、当時映画が公開され話題となっていた"シン・ゴジラ"を作ろうということになり、制作には子どもからシニア世代まで総勢200人を超えるボランティアに協力いただきました。地元の方からも愛される町ぐるみの事業となりました。」(中西さん)

親子イノシシ(人入り)_RS.png

写真は2015年の『ど~んとかがし祭』で展示された、わらでできた巨大イノシシ。
このイノシシが話題を呼び、"シン・ゴジラ"(記事冒頭の画像)の制作が決まった

祭りはマスコミにも取り上げられ、11万人にもおよぶ来場者が訪れました。会場に設置していたノートには、東京や北海道など遠方からやってきた方からのメッセージが多く寄せられたそうです。

IMG1750_RS.png会場に設置したノートには、筑前町を応援する内容や
イベントの感想など、たくさんのメッセージが寄せられた

「ふるさと納税の寄付金を活用し、町外の人に筑前町へ来てもらえるような事業を起こし、それをきっかけに町を知ってもらい、実際に町に来てもらえて、すごく広く拡散した事業だったのかなと思います。

寄付金を活用する事業に"祭り"を選んだのは、スタッフとして関われなくとも、"ふるさと納税という形で支援したい"という想いを集められるようにといった願いがあったからです。そういう想いを活かせたのかなと思います。」(中西さん)

発信し続けて行きたい 平和へのメッセージ

筑前町には、旧陸軍の東洋一と呼ばれた大刀洗飛行場がありました。その歴史的背景から、町が『筑前町立大刀洗平和記念館』を運営し、平和へのメッセージを発信しています。

大刀洗平和記念館_RS.pngIMG1766_RS.png

『筑前町立大刀洗平和記念館』では、零戦や九七式戦闘機、
特攻隊の隊員が残した家族への手紙などが展示されている

「2009年に開館した『筑前町立大刀洗平和記念館』では、特攻をテーマにした展示など、様々なイベントや企画展示を開催し、マスコミに記事やニュースとして取り上げてもらっています。

2017年に増築した展示スペースの費用などに、ふるさと納税の寄付金を活用しました。また、修学旅行生が年々増加していることから、多目的に使用できる部屋も増設時に合わせてつくり、大人数となる修学旅行生の受入体制も整えています。今ではほぼ全国から年間2万5千人の修学旅行生が訪れるようになりました。」(岩下さん)

『筑前町立大刀洗平和記念館』には、お礼品なしでの寄付も多く、"平和を願う寄付"という純粋な気持ちの受け皿となっています。

新館写真1-1000_RS.png

IMG1756_RS.png

ふるさと納税の寄付金が充てられた、新展示スペースと多目的ホール

地域に役立つ 未来を見据えた寄付金の活用法

町の歴史やイベントなど、町の特徴を活かし未来のためにふるさと納税の寄付金を活用している筑前町。今後寄付金を活用し、力を入れたい事業についてお聞きしました。

「これから寄付金を活用したいと考えている事業は大きく3つあります。
 まず一つめは平和について。『筑前町立大刀洗平和記念館』には、世界で唯一現存する零戦三二型や、九七式戦闘機など貴重な展示があります。引き続きそのことを全国に向けて発信して行きたいと思っています。」(岩下さん)

零戦(零式艦上戦闘機32型)_RS .png

世界で唯一現存する零戦三二型

「二つめは教育の分野です。小学生向けの体験を中心としたアフタースクール、中学生向けには塾に通えない子どもの学力アップの為の公営の塾などの運営をモデル的に始めています。

全国的に子どもの数が減少している中、筑前町の子どもの数は減っていないんです。
地方創生という動きもあり、教育にも力を入れ、できるだけ多くの人に住んでもらえるよう町をあげて取り組んでいます。

三つめは特産品であるいちごの『あまおう』の振興です。ふるさと納税のお礼品では『あまおう』が一番人気なんです。『あまおう』を町の特産品としてもっと盛り上げていきたいと考えています。
県道77号線が全線開通し、太宰府や福岡方面からのアクセスが良くなったことに伴い、直売所の『筑前町ファーマーズマーケットみなみの里』の来場者数や売り上げも増えました。
いちごの観光農園という視点も含めて、『あまおう』の振興にふるさと納税を活用し、いちごをもっと普及していきたいと思っています。実は観光農園となるハウスを建て始めているんですよ。いちごの観光農園はニーズがあるので、まずは誘い水となるようにモデルのような農園を作って成功例を出して、そこから農園を増やしていければ良いと思います。」(岩下さん)

「ふるさと納税効果で新たな販路の拡大が出来ていますし、事業者もこれをきっかけに新たな商品を開発したり、もう一度、自分たちの商品の良さを見直すきっかけになったら良いなと思っています。」(中西さん)

みなみの里(外観)_RS.png

『筑前町ファーマーズマーケットみなみの里』には、
特産物などの直売所・販売所の他、農村レストランなどが設けられている

筑前町では、新たな特産品や、隠れた魅力を発掘できるように、地域に役立てたいという想いでふるさと納税の使い道を考えているそうです。

ふるさと納税を通じて筑前町を知ってもらい、全国からの寄付を財源に新たな特産品や資源を開発し、それをまた手にしてもらう。
未来に続く循環を生み出す仕組み作りに寄付金を活用されているのも筑前町の特徴になっていると感じました。

求めるのは、ふるさと納税を通じた全国との繋がり

お二人は、ふるさと納税で繋がった寄付者との縁を、より深めていきたいとお話してくれました。

IMG1745_RS.png

「ふるさと納税を通じて、筑前町のことを知っていただきたいです。お礼品はどれも自慢の物なので、実際に食べていただいたり、触れていただけたらいいなと思います。」(中西さん)

「ふるさと納税制度があることで、通常では関わりをもつことのない全国の寄付者様と繋がる機会ができ、町のPRにすごく貢献していると思います。
例えば寄付をリピートしていただいたりするのはとても喜ばしいことです。一度きりだけでなく、これからも繋がっていけたらというのが一番ですね。」(岩下さん)
「全国の方と繋がることができるふるさと納税を、町を活性化させるための潤滑油としてひきつづき有効に活用していきたいと思います。」(中西さん)

tokainaka_RS.png

美しくのどかな街並みが広がっている

さとふるより
筑前町は、平成30年7月豪雨により大きな被害を受けました。
さとふるでは、筑前町のほか、多数の被災自治体への災害緊急支援募金(https://www.satofull.jp/static/oenkifu/oenkifu_201807.php)を受け付けています。
引き続き皆さまのご支援をお待ち申し上げております。
※取材は6月に実施いたしました