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2018/08/13

「横手の森林を守りたい」人々の想いをカタチにする

地域の森林を市民と守る 横手市・森林組合森林吸収共同プロジェクト推進協議会

★①_鍛冶台いこいの森_ナラ林.png

横手市にある「鍛冶台いこいの森」

奥羽山脈と出羽丘陵に囲まれる秋田県横手市は、市内の実に5割を超える面積を森林が占める自然豊かな土地柄です。市民にとって馴染み深い森林を次代に向けて維持するため、横手市は「横手J-クレジット」の販売に取り組んでいます。人々の自然貢献への想いをカタチにする新たな取組みについて、横手市農林部農林整備課の矢野主任にお話を伺いました。

大切な自然環境に誰でも気軽に貢献できる「J-クレジット制度」とは?

「横手に暮らす人にとって、森林は美味しい果樹や野菜などの恩恵を与えてくれる大切なものですが、整備を怠ると、荒廃して大雨などの災害の際に、被害を拡大するといった問題につながりかねません。そこで、私たちが森林整備の資金を確保するために取り組んでいるのが、横手J-クレジットの販売です。」(矢野さん)

横手J-クレジットとは、省エネの取組みによるCO2などの排出削減量や吸収量を国が認証する「J-クレジット制度」を、横手市が認証を受けたもの。ここで認証を受けたクレジットを販売することで、横手市の森林整備などに使う資金の確保が期待できます。同様の取組みは米国や欧州など先進国では積極的に行われており、国内でも今後注目が集まることが予想されます。

それでは、横手J-クレジットを購入する人や企業にとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか? 矢野主任は、横手市内に拠点を置く総合物流サービス企業であるヨコウン株式会社の取組みを例に挙げ説明してくれました。

「ヨコウン様は、最新式の低公害車の導入などによって自社で運用するトラックの排ガス対策をされていますが、それでも排ガスをゼロにすることはできません。そこで、削減しきれなかった分を埋め合わせ(カーボン・オフセット)するため、毎年横手J-クレジットを購入してくださっています。こうした取組みは、ドライバーさんなど社員の方々の環境意識の向上にも貢献しているとのことでした。」(矢野さん)

 

 

ふるさと納税を通して企業・団体だけでなく個人のニーズに気付き

2016年1月、横手市は横手市森林組合とともに、「横手市・森林組合森林吸収共同プロジェクト推進協議会」を設立し、横手J-クレジットの販売促進活動や、市民へのPR活動をさらに積極化しています。こうした活動の一環として、横手市のふるさと納税のお礼品として横手J-クレジットを提供することになりました。たとえば1万円の寄付に対しては、400kg相当のCO2削減に貢献したことを示す証明書と、香りのよい秋田県産杉の赤身を使用した記念品を提供しています。

★②_お礼品と盾rs.png

証明書と、香りのよい秋田県産杉の赤身を使用した記念品

「食品や日用品などと違い、横手J-クレジットは目に見えるものではないため、申し込みが本当にあるのか正直不安でした。ところが実際お礼品として掲載してみると、想定していた件数を遥かに超えるお申込みを全国からいただいたんです。横手の自然に思いを馳せてくださっている方がこんなにいらっしゃることを実感し、嬉しく感じましたね。

個人の方に横手J-クレジットを提供するのは、ふるさと納税に出品するまでは例がなく、それまでは企業や団体向けに販売活動をしていました。でも考えてみると、個人でも生活をする上でCO2は必ず排出していますよね。それを自ら減らすことはなかなか難しいと思いますし、環境貢献をしたくとも何から手を付けたらいいのか分からない。そんなときに横手J-クレジットを購入していただければ、より気軽にカーボン・オフセットを通じた環境貢献ができると思います。」(矢野さん)

横手J-クレジットを起点として、環境への思いやりが広がっていく

★③話す矢野さん.png

横手市農林部農林整備課 主任 矢野悠紀さん

ふるさと納税の返礼品となったことをきっかけに、新たに個人に向けて販売の道が開かれた横手J-クレジット。市民を中心とした人々の自然環境に対する想いが、横手J-クレジットを通じてつながり、広がっている様子が感じられました。最後に、矢野主任に今後力を入れたい活動についてお聞きしました。

「今はまだ、横手J-クレジットの認知は市内においても十分ではありません。ですから、これからはさらに市民の方々へのPR活動を強化したいと思います。たとえば、横手J-クレジットの販売で集めた資金を、どのように森林保全に利用しているかをホームページなどでしっかりフィードバックしていきたいと思いますし、市内のイベントなどでもPR活動を続けます。また、横手J-クレジットを通じて、市内の企業様にご協力をいただく機会も増えてきました。たとえば北都銀行様は、通帳を1冊発行するたびにロゴシールを1枚貼っていただいており、このシールの購入費1円が横手市の森林整備の資金に還元されます。ちなみに、シールのロゴは市内の小中学生から募集したものです。このような取組みを通じて、より多くの方に、私たちの活動を知っていただけたらありがたいですね。いずれは、横手に暮らす方々や企業が横手J-クレジットでカーボン・オフセットをしていただく流れが広がり、環境貢献の"地産地消"が起こることを期待しています。」(矢野さん)