愛知県尾張旭市 密な連携でお礼品を増やし魅力を高め、寄付が伸長
名古屋市に隣接する愛知県尾張旭市は、交通アクセスに優れたベッドタウンでありながら、市域の約6分の1を森林公園が占める自然豊かなまちです。また、日本紅茶協会から人口一人当たりのおいしい紅茶を飲める店舗数日本一に認定され、15年連続で「おいしい紅茶日本一のまち」の称号を維持しています。
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こうした地域の魅力を全国へ発信する手段の一つとして力を入れているのが、ふるさと納税です。
今回は、尾張旭市産業課の斉場さん、小山さんに地域ならではのお礼品づくりや、事業者とともに進めるふるさと納税の取り組みについて話を伺いました。
「大量生産ではない価値」を届ける。尾張旭市らしさを活かしたお礼品づくり
尾張旭市では、産業課が窓口となり、ふるさと納税を活用し、地域経済の活性化につなげる取り組みを進めています。
「本市は住宅都市ですので、大規模工場や一次産業の品はそれほど多くありません。一方で、個人経営の魅力あるお店がたくさんあります。そうした個店の品にスポットライトを当て、事業者さんの温もりを感じていただけるようなお礼品を届けたいと考えています」(小山さん)
実際に、尾張旭市のお礼品は、手作業で仕上げる装飾品や、丁寧に調合された紅茶やハーブティー、受注後に製作するものなど、大量生産では表現できない魅力が詰まっています。
2008年にスタートしたふるさと納税制度。当初はお礼品がなく、尾張旭市では財政部門が担当していました。2016年からお礼品の提供が始まり、2023年度から産業課が担当することになりました。産業課ならではの市内の商工事業者とのネットワークを生かしたお礼品開拓が進み、寄付件数は2022年度と比べ約5倍に伸びています。
現在の人気お礼品は、クッキー缶、二郎系ラーメンセット、リードディフューザー。さらに、尾張旭市で製造されているファミリアの食器セットや、紅茶専門店「TEAS Liyn-an」のアフタヌーンティーセット、「うなぎ家」や「うどんいなや」の食事券など、地域を訪れるきっかけになる体験型のお礼品も人気を集めています。なかでも、「うなぎ家」のお食事券は3,000円分から12,000円分まで幅広い価格帯を設定しており、選びやすさも支持されています。
斉場さんは「地域の特色を活かしたお礼品を通じて、寄付者の皆さんに尾張旭市を知っていただき、実際に足を運んでいただける機会につなげたい」と話します。
紅茶専門店「TEAS Liyn-an」では本格的なアフタヌーンティーが楽しめる
事業者とともに育てたお礼品。その背景には、さとふるも
尾張旭市とさとふるは、定期的なオンラインミーティングを通じて、お礼品開拓や制度改正への対応、ポータルサイト運営などについて継続的に相談を重ねてきました。その中で実施されたのが、事業者向け勉強会とお礼品撮影会です。
ふるさと納税勉強会の様子
2026年7月に開催した勉強会は、さとふる営業担当が提案し、実現しました。定期的に実施されるふるさと納税の制度改正について理解を深め、不安を取り除くことで、尾張旭市とさとふる、そして事業者とのより良い関係づくりにつながっています。
勉強会では制度説明だけでなく、寄付を伸ばすための考え方や最新トレンドも共有。事業者に主体的にふるさと納税に取り組んでもらうことを目的としました。既存事業者だけでなく、新たにお礼品登録を検討する事業者も参加できる内容とし、その後は市への相談件数が増え、「もっと頑張ろう」という機運が高まったといいます。
また、2025年3月に実施した撮影会は、事業者によってお礼品画像の品質にばらつきがあることに課題を抱えていたものの、尾張旭市では支援するまでのノウハウがないとさとふるの営業担当に相談をしたことがきっかけでした。
撮影会をきっかけにお礼品画像の重要性が浸透し、課題となっていた事業者間のクオリティ格差が小さくなったそうです。
「サムネイルを加工したお礼品は、それまで寄付がゼロだったものにも年間10~20件ほど寄付が入るようになりました。それ以上に、事業者さん自身が『写真は大事なんだ』と気づき、自分たちで工夫するようになったことが一番の成果でした」(小山さん)
現在では、easeアロマショップやファミリアのお礼品など、主力お礼品の画像にも文字入れなどの改善を行い、検索連動型広告も活用しながら、より多くの人に魅力が伝わる工夫を続けています。さとふるでは100品以上画像加工を実施し、お礼品画像改善により、尾張旭市全体の寄付伸長に寄与しました。
ここで一つ印象的なのが、クッキー缶のお礼品です。
「お肉や海鮮のような大きな市場で勝負するのではなく、小規模でも特色あるお礼品を育てよう」という考えのもと、市内工房の焼き菓子に着目。さとふるの営業担当に相談し、寄付額設定や画像改善、口コミ施策などのアドバイスを受けながらお礼品化しました。
その結果、数か月で人気お礼品へと成長し、全国からファンを獲得。現在では事業者自ら画像づくりにも取り組み、お礼品を磨き続けています。
尾張旭市の2025年度のふるさと納税で1番人気「tsumugidoko」のクッキー缶
尾張旭市はこのほかにも、新時代の供養の形クリスタルメモリー心晶、柄が立体的に見える不思議なお皿など、ユニークなお礼品もラインアップ。前述の「うどんいなや」は、尾張旭市にしかないリピーターが多い人気店のため、当初はふるさと納税まで手が回らないのではという話もありましたが、斉場さん、小山さんらが事業者に「お食事券」として普段のオペレーションに影響が出にくいお礼品を提案したものです。
寄付受付開始の翌日には寄付が入り、現在ではふるさと納税の効果を実感したことで、冷凍うどんのお礼品など、お食事券以外の展開も検討しているそう。産業課ならではの活動が成果にあらわれています。
尾張旭市の人気店「うどんいなや」のお食事券はレビュー評価★5
新たな魅力を発掘し、「応援したいまち」を目指して
尾張旭市では、まだお礼品になっていない地域資源の発掘を今後の大きなテーマに掲げています。
小山さんは、「地場産品基準を満たしていても、自社の商品がお礼品になることをご存じない事業者さんもまだ多くいます。事業者さんとのコミュニケーションを大切にしながら、新たな魅力を発掘していきたい」と話します。
2025年度は約4,000万円規模の寄付額を、2027年度には約6,000万円へ伸ばすことを目標に掲げ、事業者訪問や新たな人気お礼品の開拓も進めています。さとふるとも連携しながら、地域ならではの魅力発信をさらに強化していく考えです。
尾張旭市にある展望台「スカイワードあさひ」
最後に、寄付を検討している方へのメッセージを伺いました。
「ふるさと納税は、尾張旭市を応援したいという皆さまの思いを寄付という形で実現できる制度です。いただいた寄付金は、市のさまざまな取り組みに大切に活用しています。市内事業者の皆さまと連携しながらお礼品を充実させ、本市ならではの特産品やサービスを通じて尾張旭市を身近に感じていただき、『応援してよかった』と思っていただけるまちづくりを続けていきます。皆さまからの応援を心よりお待ちしております」(斉場さん)
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