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2026/03/11

ふるさと納税で伝統産業を未来へ

山梨県西桂町 富士桜工房 「魂を示すネクタイ」を通じて人と地域を元気に

富士山の北麓に位置する山梨県西桂町は、信仰の山・三ツ峠を望む自然豊かな町です。古くから絹織物の産地として栄え、400年以上の歴史を持つ郡内織物は、江戸時代には高級裏地「甲斐絹」として重宝されてきました。

海外製品との価格競争という課題に直面する中、自社ブランド「富士桜工房」を立ち上げ、和の文様や伝統色に込められた物語を通じて郡内織物の価値を届けようとしているのが、富士桜工房です。

ふるさと納税をどのように活用し、どんな想いを込めているのか。富士桜工房を展開する山崎織物株式会社 取締役であり、富士桜工房 代表を務める山崎さんに伺いました。

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震災から生まれた「魂」の発想

1916年創業の山崎織物株式会社は郡内織物の技術を受け継ぐ一社です。4代目の山崎さんは当初、家業を継ぐつもりはなかったといいます。都内で会社員として働き、まったく異なる仕事に就いていました。

転機となったのが、2011年の東日本大震災です。助け合う人々の姿を目にし、「日本って何だろう」「自分の生き方って何だろう」と自問するようになります。また、海外メディアが日本人の秩序や助け合いを称賛する姿も印象に残ったそうです。

その中で芽生えたのが、「自分の縁を生かすことが大切なのではないか」という思いでした。地元へ戻り、家業と向き合うことを決意します。

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工房で丁寧に織り込まれていく郡内織物

帰郷後に目にしたのは、受け継がれてきた高い技術と、価格競争の中で揺れる産地の現実でした。「日本製にこだわる価値、日本の心や文化にこそ価値があるはずだ」と考え、2011年に立ち上げたのが、オリジナルブランド「富士桜工房」でした。

掲げたテーマは「心に花を咲かせる」。その中で生まれたのが、「魂を示すネクタイ」という考え方でした。ネクタイは所属や立場を示す装身具。ならば、そこに自分の生き方や理念を込めることもできるのではないか。そうした発想が、少しずつ形になっていきました。

03_富士桜工房外観_028-2.png富士桜工房

顧客の生きざまに寄り添う一本

山崎さんは、日々の接客において、「ヒアリングした内容からお客さまの心や魂の在り方、望むものを想像し、寄り添う形で提案することを心がけています」といいます。

富士桜工房の「魂を示すネクタイ」という考えが具体化したきっかけのひとつが、「ダンボールに不可能はない」を掲げる個性派社長との出会いでした。

山崎さんがこの社長と対話する中で、「それならば自分の魂はダンボールにある。それを表すネクタイを特注したい」と依頼されました。完成したダンボール構造を模したストライプ柄のネクタイを受け取った社長は「まさに私の不動の魂を示すネクタイだ」と満足し、同じネクタイを毎日ローテーションで使い続けているそうです。

04_ダンボール会社社長_荻原.pngダンボール製造会社 ㈱ユーシン 荻原社長

04_ネクタイデザイン_ダンボール柄.png

ダンボール柄ネクタイのデザイン

また、防災士の方に松竹梅柄を提案したこともありました。

松竹梅というと、縁起物の代表格の印象がありますが、松竹梅には厳しい冬を耐え抜く「苦難を乗り越える強さ」があり、天災に対する防災意識につながるそうです。

「私自身も東日本大震災をきっかけに日本の心とは何かを模索し始めたからこそ、『自然災害を乗り越えるため、人の絆を大切にして、強く生きる』が日本精神の根幹だと確信しています。たとえ無自覚でも防災を仕事に選んだあなたは日本精神の根幹に関わる素晴らしい選択をしているのではないだろうか。その誇りと自覚を松竹梅の柄のネクタイで示してはどうだろうか?」

と提案し、大いに喜ばれたといいます。

05_松竹梅柄ネクタイ_image13.png富士桜工房の松竹梅柄ネクタイ

山崎さんは、「思いや物語が、その人の活力につながればうれしい」と語ります。こうした出会いが、「魂を示すネクタイ」という考えをより確かなものにしてきました。

ふるさと納税は"物語を届ける窓口"

富士桜工房がふるさと納税に参加したのは2021年。西桂町や富士河口湖町、山梨県庁でお礼品を展開しています。山崎さんは、ふるさと納税を「思いやストーリーを届ける手段のひとつ」と位置づけています。

一般の流通では、思いをそのまま届けるのはなかなか難しく、バイヤーや売り場担当を経由する中で、背景にある物語まで伝えきれないことがあるそうです。その点、ふるさと納税は寄付者へ直接届けることができる仕組みです。

転機となったのが、さとふるの営業担当との出会いでした。店舗を訪れたさとふるの営業担当との対話の中では、「魂を示すネクタイ」という表現に最初は戸惑いも感じたそうですが、対話を重ねる中で、どうすればストーリーが伝わるのかを共に考え、完全オーダーで自分だけのオリジナルネクタイを製作できる、さとふる限定の「パーソナルオーダーネクタイお仕立券」が生まれました。はぎれを活用したお礼品も、郡内織物に触れてもらう入口として展開しています。

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「パーソナルオーダーネクタイお仕立券」のお礼品ページ

西桂町から全国へ

「今後はYouTubeチャンネルの開設も構想しています。伝統色や文様の意味、『和』とは何か、日本文化の背景などを楽しく、面白く、親しみやすく発信したい」と語る山崎さん。

郡内織物や和文化の物語を全国へ届けること。そして、西桂町という地域を知ってもらうきっかけにすること。山崎さんが取り組むふるさと納税には郡内織物と地域への想いが込められています。

「富士桜工房のネクタイを締めると、活力が湧いてくる」

そんな声が届くことが何よりうれしい、と山崎さんは話します。

西桂町から全国へ。富士桜工房の挑戦にこれからも注目しています。

07_①三ツ峠からの富士山 ※使用注意※自治体許諾後に掲載.png三ツ峠から望む富士山。山崎さんがおすすめする西桂町の魅力の一つ

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