地域の垣根を超えて「大分県」の魅力を発信 JA全農おおいた
九州地方の東部に位置する大分県は、別府温泉や由布院温泉を代表するように県内に多くの名湯を有し、また、ブランド魚として名高い「関あじ」や「関さば」をはじめとする多種多様な魚介類、地域特産の「豊後牛」や「おおいた和牛」、全国トップクラスの生産量を誇る干しシイタケやかぼすなど、水産や畜産、農業においても県内各地に多彩な特産品が揃っています。
JA全農おおいた外観
そんな県内の豊富な農産物を全国の消費者に届けるという役割を担っているJA全農おおいたは、ふるさと納税の分野においても、複数地域にまたがる「共通返礼品」の提供を通し、県自慢の特産品を全国の寄付者のもとへ届けています。
その取り組みについて、JA全農おおいた 直販開発課 河野(カワノ)さんにお話を聞きました。
JA全農おおいたの役割
そもそもJAとは、「農業協同組合」の英語表記(Japan Agricultural Cooperatives)の頭文字をとったもので、相互扶助の精神のもと、農家(組合員)の営農と生活を守り高め、豊かな社会を築くことを目的に構築された協同組合組織です。その中で全農は、農畜産物の販売や生産資材の供給といった経済事業を担っています。
―河野さんのお仕事内容について教えてください。
河野さん:大分県産の農産物や加工品の調達・販売を行っています。農家の方が育てた農作物はJAを通して市場へ出荷されるのですが、「規格外」となって市場へ出荷できないものも出てきます。それらを有効活用し、農家所得の向上に繋げるため、規格外品を販売したり、ジュースなどの加工品の原料として活用しています。また、全農が運営している「JAタウン」というECサイトにも掲載し販売しています。年々会員数も増えてきており、中でも関東圏のお客様が6割を占めています。新鮮な大分県産の農産物をお客様にお届けすることができ、大変ご好評いただいております。
全国トップ※の生産量を誇る「かぼす」
※農林水産省「大分県の農林水産業の概要」の「農畜産物の生産状況」より
県産和牛ブランド「おおいた和牛」
経営理念と合致したふるさと納税
―ふるさと納税に参加して感じた点や変化はありますか?
河野さん:全農の経営理念は「生産者と消費者を安心で結ぶ懸け橋になる」。
農家の方が一生懸命育てられた農産物や畜産物、またそれらを活用した加工品を全国の寄付者様に届けることができるふるさと納税は、我々の企業理念に沿った取り組みだと考えています。さらに、制度の見直しとともに寄付者様の選択基準もより品質のよいもの、付加価値が高いものが求められるようになっていると感じます。そういったニーズにきちんとお応えできるように、また、まだ知られていない大分県内の素晴らしい特産品を伝え、その魅力をお届けできるようにしていかなければならないと改めて実感しています。
―寄付者からはどんな反応がありますか?
河野さん:純粋に喜んでいただいたり、リピーターになったというレビューを拝見したりすると、本当にふるさと納税に参入して良かったなと感じます。また、お叱りのコメントをいただいた場合は、原因を追究して次回への改善につなげています。例えば、梱包に問題があった場合は、梱包方法の見直しを行ったり緩衝材の量を増やしたりするなどしています。他には、青果の傷みが見られた場合、配送時の車内空調や積み方などを配送業者と交渉するなど、随時改善しています。
生産者と寄付者の間にJA全農が介在することで、高い水準でのお礼品提供が可能になると言います。野菜や果物といった青果のお礼品提供の際は必ず青果の担当者と品質レベルをチェックしグレードも担保しているそうです。それでも不具合があることも・・・。そういった寄付者からのお声を一つひとつ真摯に受け止める姿勢からは、常に良いものを提供したいという想いが伝わってきます。
また、サイト掲載のお礼品画像の重要性についても実感したのだそうです。
―さとふる主催の撮影会に参加されて変化はありましたか?
河野さん:以前実施したさとふる主催の撮影会では、お礼品をプロの方に撮影していただきました。お礼品ページの画像はこれまで事業者様や我々が撮影していましたが、新たな視点で撮影いただいた画像に変更したところクオリティの高さは一目瞭然でした。例えばかぼすのお礼品などはこれまで外箱や瓶の写真を掲載していましたが、果汁やフレッシュ感を感じさせるような画像へ変更したところ、2023年度には前年比155%の寄付が集まりました。
変更後の「かぼす果汁」お礼品画像
自治体の垣根を超えた「共通返礼品」
▽共通返礼品とは
総務省は地場産品基準に該当する共通返礼品について、以下のように定めています。
「市区町村が近隣の他の市区町村と共同でこれらの市区町村の区域内において前各号のいずれかに該当するものを共通の返礼品等とするもの」
つまり、近隣の自治体が連携して、各地域の地場産品基準を充たした特産品を集結したものを、地域共通の返礼品として取り扱うことができます。
広域地域とのつながりがあるJA全農おおいたはその特性を活かしこの「共通返礼品」を提供しています。
―提供する「共通返礼品」とその開発経緯について教えてください。
河野さん:農作物の特性上、産地が複数の自治体にまたがるケースがよくあるんです。またそれぞれの地域に特産品があったりするので、そういった点を活かして複数の地域で共通のものが出せないか、と。それで生まれたのが、さとふるさんにも掲載いただいている、食肉製造卸業を営む株式会社ミートクレスト様と協力して開発した「大分の恵みハンバーグ」です。どの自治体がどのアイテムを担当するかというところからスタートし、食材調達から製造まで各自治体との度重なる調整は大変でしたが、結果的に8自治体での共通返礼品は全国でも初として話題を集めました。これはそれぞれの自治体様が力を貸してくださり実現したこと、やはり我々だけでは出来ませんし、大変有難かったです。
8自治体での共通返礼品「おおいたの恵みハンバーグ」
現在さらなるバージョンアップを目指し、「大分の恵みハンバーグ」のリニューアルを検討中とのこと。また、次なる共通返礼品の提供にもつながっているそうです。今では自治体からの打診もあり、ほかにも新しいものができないか試行錯誤の毎日だそうです。
現在5自治体から提供されている野菜ジュース
そんな中、新たに商品化された「トリニータ丼」がお礼品にもなりました。
―「トリニータ丼」の開発経緯について教えてください。
河野さん:もとは地元の鶏とニラを使用した地元の子どもたちにも大人気の給食メニューです。大分県には「おおいた冠地どり」というブランド鶏があります。この鶏を使用しこのトリニータ丼を大分の郷土料理のようなものに昇華できたら、と株式会社学食様よりJAグループへ協力依頼をいただいたのがきっかけで商品化を検討することになりました。さらに大分には「大分トリニータ」という大分県をホームタウンとするプロサッカーのクラブチームがあります。JAおおいた様がスポンサーということもあり、地元サッカーチームを盛り上げると同時に、原材料のニラを栽培されている農家の皆さまを盛り上げることもできますし、製品製造も県内企業ということで、「オール大分」で盛り上げようというコンセプトで商品化いただきました。
こうした商品を幅広く知っていただくにはやはりふるさと納税の活用は外せません。これを機に多くの方に知っていただけると嬉しいです。
トリニータ丼
新たな名物を生み出したいという想い×学校給食の人気メニュー×地元の農産物(ブランド鶏、野菜)×地元で活躍するクラブチーム。まさに複合的な要素が組み合わさって完成した、地域一丸となった商品です。こちらは現在国東市のお礼品として提供していますが、今後は提供地域も拡大予定だそう。新しい「共通返礼品」として提供開始される日も近いかもしれません。
自治体との相互連携により、ふるさと納税を活用した更なる魅力発信を
ふるさと納税を積極的に活用し地元大分の魅力を伝え続けている河野さんに今後の展望を伺いました。
―さとふるへの想いをお聞かせください。
河野さん:制度改正についての説明や、その時期に見合った需要があるお礼品の提案など細かいところまで相談に乗っていただいています。コロナ禍に、飲食店の営業停止などの影響で余剰在庫になってしまった農産物や加工品を、ふるさと納税のお礼品として活用する提案にご協力いただいた時は、結果的に多くの生産者を助けることにつながり感謝しています。ほかにも、生産者や自治体との調整業務などもサポートいただき、コミュニケーションもとりやすいので感謝しています。
―今後の展望について教えてください。
河野さん:今特に人気があるのは、大分の特産品である「かぼす」を使った飲料です。他にも、恵みハンバーグの更なるリニューアルや豊後牛、おおいた和牛のお礼品についても検討中です。自治体との横連携の強さを活かした「共通返礼品」のさらなる拡大も模索中です。農業団体である我々では気付かない視点で、自治体様に補っていただきながらこの良好な関係性を活かしてさらに連携を強めていきたいと思います。企業理念である「生産者と消費者を安心で結ぶ懸け橋になる」ということを忘れずに、自治体様と協力して地元大分のいいものを全国の皆さんにお届けしていきたいと思っています。
豊富な特産品を活かし、更なる飛躍を目指すJA全農おおいた。今後どんなお礼品が登場するのかにも注目です。
▽お礼品の詳細はこちら
JA全農おおいたのお礼品一覧