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2023/12/14

高齢化が進む農家の課題に向き合い、町と生産者の懸け橋に

ごのへ名物はっしん組合 外から見えた地元の魅力と地場産品PRにかける想い

五戸町(ごのへまち)は、青森県南部に位置し「坂の町」と言われるほど坂が多い町です。北東北に位置しながらも年間を通して寒暖の差が比較的小さく、積雪が少ない穏やかな気候に恵まれています。
特産品のりんごは全国的にも有名ですが、一方でりんご農家の高齢化が加速しているといった側面がありました。
今回は、そんな町の特産品「りんご」をふるさと納税のお礼品とし、地元りんご農家の販路拡大につなげ地域に大きく貢献しているごのへ名物はっしん組合の竹洞好志さんにお話を伺いました。

竹洞様①.jpgごのへ名物はっしん組合 竹洞好志さん

一度離れて再確認した地元の魅力

五戸町.jpg

五戸町

離れてみて、改めて気付く良さというのは多くの方が共感されるのではないでしょうか。
竹洞さんもまた、これまで当たり前に慣れ親しんだ地元「五戸」の良さに改めて気付いたお一人です。

元々音楽関係の仕事をしながら東京と青森の2拠点生活をしていた竹洞さんですが、お子さんがまだ小さかったこともあり、ご実家がある生まれ故郷の五戸町へUターンしたそう。

「特産品のりんごはもちろん、他にも美味しい食材は沢山あります。また南部菱刺しという伝統工芸品もあります。東京に出てみて改めて、地元には良いものが沢山ある。もっと全国の人にも知ってもらえると良いのにな、と思っていました」(竹洞さん)

そんな時、町がふるさと納税を活用しもっと特産品をPRしたい、と考えていることを知りました。町としては主に特産品である「りんご」のPR強化を検討していましたが、そこには課題がありました。
ふるさと納税のお礼品として登録するには、お礼品写真を撮ったり、お礼品紹介文を作成しパソコンを使ってサイトへ登録したり、といった不随作業が必要になりますが、高齢化が進む農家では対応が困難でなかなか踏み出せずにいたのです。

「元々祖父母がりんご農家を営んでいたんです。だから農家の大変さはよく知っている。一方で、地元の特産品を全国のみなさんにもっと知ってもらいたい、という想いもありました。ふるさと納税を活用してみたいけれど、パソコンやネットの知識がなく躊躇している農家さんの現状を知り、りんごの知識とパソコンの知識がある自分だからこそできることがあるのではないか、と思ったことがきっかけです」(竹洞さん)

竹洞様②.jpg農家さんの想いやお礼品の魅力をお礼品ページで紹介

ふるさと納税への参入

こうして竹洞さんは、町と生産者の懸け橋役を担うことになりました。
ふるさと納税参入への課題を知るうちに、生産者さんには、市場への出荷業務で手一杯、ふるさと納税業務まで労力を回せないなどといったパソコンを使った事務作業以外の懸念点があることも分かりました。それならば、自らが購入しお礼品として出荷しよう、と思いついたのだそうです。
こうして立ち上げたのが「ごのへ名物はっしん組合」です。

この土地で代々農家としてやってきた家族のおかげで元々近隣農家との信頼関係があり、比較的スムーズに事業展開ができたと語る竹洞さんですが、「お礼品として地場産品の魅力を広めたい、そのために生産者側の負担を巻き取ってあげることでお互いがWin-Winになるのではないか」との言葉通り、対応業務は多岐にわたります。

さらに農家の大変さを知っているからこその取り組みがあります。
選別です。
りんご農家は非常に体力がいる仕事です。収穫したりんごを運ぶのは重労働。そこから、身の状態に応じた選別作業が発生します。繁忙期にはバイトを雇い総出で作業に追われます。その後発送作業へと移るのです。身がたくさん入った箱は1箱約20kgと非常に重く、体力が奪われるのだそう。
組合ではこういった作業も積極的に行い、出来る限り農家の負担を少なくしています。
実際生産者からは、「お前のところに任せておけばバイト代も無料なようなものだから楽だな(笑)」と声をかけられることも多いそうです。

収穫の様子 (1).jpg収穫した約20kg/箱のりんご×約3,000箱を運ぶ様子

選別の様子 (1).jpg選別の様子

また、農家の収入面でも大切にされていることがあります。

元来農家の出荷先は市場が基本であり、その唯一の販売先である市場では、その年の収穫量や出来により価格が変動するのが常でした。つまり、収穫量が多くても単純に収入増加につながらない場合もあるのです。
組合は、買取価格を一定にし、ここ数年変えていないといいます。

「市場では、その年の天候や収穫高が価格に左右されます。しかし、買取価格を一定にすることで生産量に応じた安定収入が見込めます。事業計画も立てやすい」(竹洞さん)

加えて事業継続のため、これまでの通常収益とふるさと納税の収益を半々にするようなアドバイスも行っています。

「何があるか分からないので、市場への出荷とふるさと納税のどちらか1本に偏らないように、両者のバランスをとるように、とお願いしています」(竹洞さん)

実際に高齢化が進み後継者不足だった農家では離農を考える方も多かったそうですが、新たな販路拡大と安定収入につながったことで事業継続の動きにつながりました。

「農家は大変だし、収入も不安定。だけど、ふるさと納税へ参入するようになって、『子どもたちにも継いでほしい、と思えるようになったよ』と言われた時は嬉しかったですね」(竹洞さん)

りんご.jpg

消費者の声が生産者のモチベーションアップに

お礼品として出荷するようになってから「うちのリンゴ美味しかったって言ってもらえている?」との声をかけられることもあるそうです。

これまで市場に卸していた時より消費者との距離が近くなったことで、反応がより分かるのもふるさと納税の魅力だと思います。「美味しかった」「次は採りたてを食べてみたい」といったお声をいただくことで、事業者のモチベーションアップにもつながっています。

「同じ土地のりんごでも農家さんによって味が全く違うんですよ。今は五戸のりんごとしてご好評いただいてますが、甘み・酸味のバランスの違いなども知っていただき、いずれは生産者さんごとの味の違いを楽しんでもらえるようになればいいなと思っています」(竹洞さん)

サンふじ (1).jpgサンフジ

周囲を巻き込んだ動きは地域おこしへ

また、こうした動きは地域にも影響を及ぼしました。

五戸町の寄付額は年々伸びており、2022年度はごのへ名物はっしん組合で扱っているお礼品経由での寄付が約半分を占めています。もちろんメインは特産品のりんごですが、それ以外のお礼品も増えており、新たに参入する事業者も増えたそうです。

「さとふるはサポートが充実していて距離感が近いと感じます」(竹洞さん)

さとふるには自治体業務のサポートはじめ、事業者向けのPRアドバイスやサポートが充実しています。「このような成功事例を作り上げることができたことで『自分もやってみよう』と思う新規事業者の参入も増え、結果として町の寄付額上昇につながっているのでは」との嬉しいお言葉をいただきました。竹洞さんの行動が、ふるさと納税に興味関心はありつつも躊躇していた方の背中を押し1歩踏み出すきっかけになったのではないかと思います。

チャレンジ精神旺盛な竹洞さんは、ご自身でもYouTubeチャンネルで地元の魅力を発信するなど、さまざまな方法で五戸町の魅力を伝えています。複数のチャネルを用意することで町へ目を向ける方が増え、町への関心が高まることで町の人の意識も変わり、その循環は地域おこしへとつながります。

竹洞様③.jpg

竹洞さんが出演するYouTubeチャンネル「まるごっとチャンネル」

「頼まれたことは何でもやってみたいんです」と笑って話す竹洞さん。

一度故郷を離れたからこそ見えた景色、また、地元に戻ってからも全体を俯瞰して見つつ「りんご農家を守ってそして広げていく」「まだ知られていないまちの魅力を紹介したい」という信念のもと常に挑戦しつづける姿は、周囲にいい影響を及ぼしながら、確実にまちの地域活性化にもつながっているように感じます。

ごのへ名物はっしん組合では、人気のりんご以外にも、ぜひ全国の方にも知ってもらいたいと竹洞さんが厳選したスイーツや伝統工芸品も取り扱っています。さらに、今は町の特産品の一つでもある桃の魅力発信にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。

竹洞様④.jpgご自身の桃畑にて

今後も五戸町の魅力や特産品にぜひご注目ください。

▽ごのへ名物はっしん組合のお礼品はこちら