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2021/06/30

柔軟に変化し地元の酪農を守る

山田乳業株式会社  バラエティーに富んだ乳製品を扱う地元中小乳業メーカー

宮城蔵王の玄関口、宮城県白石市。伊達家の重臣片倉小十郎が築いた城下町で、小原・鎌先温泉、みやぎ蔵王白石スキー場、宮城蔵王キツネ村など観光資源が豊富なまちです。蔵王高原で生産される新鮮な生乳を使用したアイスクリームなどの乳製品や、地元で作られているこだわりの食品を届ける山田乳業の山田 泰代表取締役社長、佐藤 正之販売課長のお二人に話を伺いました。farm_RS.png

牛乳販売から加工製品販売へ進化

牛乳やヨーグルトから、アイスクリームやケーキなど幅広い製品を取り扱う「山田乳業株式会社」は、1884年に「山田養生舎」として創業しました。1996年に3代目社長に就任した山田 泰さんは、現在の事業についてこう話します。

yamada_RS.png山田乳業株式会社 山田 泰代表取締役社長

「創業当時は牛乳搾取販売業を行っていて、僕が小学生の頃までは、牛と一緒に寝起きしていました。1960年台に、宮城県内に大手乳業メーカーが参入し、牛乳販売が主体となる販売形態では厳しい状況となり、そこから、ヨーグルトやアイスクリーム、そのほかのデザートなどの加工製品を作り始めました。
15年程前からはネット販売に取り組んでいます。当時は乳業メーカーでネット販売に力を入れているところは多くありませんでしたね」(山田社長)

一口に「アイスクリーム」「ケーキ」といっても、かなりのバリエーションを揃える山田乳業。生き残りをかけた取り組みをきっかけに様々な製品が誕生し、今でも多くの名品が生まれ、全国へ届けています。

フロム蔵王の誕生

「さとふる」でもアイスクリームやケーキなどたくさんのお礼品を提供していますが、人気が高いのは、山田乳業がオリジナルブランドとして力を入れている「フロム蔵王」の製品です。アイスクリームやチーズケーキ、ヨーグルトやチーズなどを展開しています。

「1986年頃、県外に進出しよう、というタイミングで『山田乳業』では認知されにくいと考えたとき、蔵王高原に牧場を構えていたことから、『フロム蔵王』というブランド名にたどり着きました」(山田社長)

全体の7割の売上を占める「フロム蔵王」の製品は、蔵王高原の牧場で搾乳した新鮮な生乳を48時間以内に加工し、作られています。また、「仙台いちごアイスクリーム」は地元宮城県産のいちごを、「ブルーベリーアイスクリーム」は岩手県産のブルーベリーを、というように地域の素材を使用し、地元企業として地域にも貢献しています。

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地元産の原材料を選ぶことのほかにも、「着色料・添加物をできる限り使わない」ということがフロム蔵王の製品づくりのモットーだそうです。
山田社長が、添加物を限りなく少なくするという製品へのこだわりが感じられるエピソードを教えてくれました。

「フルーツヨーグルトの販売を開始した20年前の話です。当時はヨーグルトを固めるための安定剤(増粘多糖類)を使用することが普通とされていましたが、添加物に頼らないと決めていた我々はトロっとした食感のヨーグルトを開発しました。当時のフルーツヨーグルトは固めのタイプが主流だったため、納品した大手スーパーのバイヤーさまから『ヨーグルトが固まっていない!』とクレームが入り、結局すべて返品されたんです。その後試作を繰り返し、発酵状態を調整して固めの食感にしました」(山田社長)

試行錯誤の上生まれたハイブリッドタイプアイスクリーム

フロム蔵王のアイスクリームは、溶けにくい「ハイブリッドタイプアイスクリーム」です。そのまま食べるのはもちろん、溶かしてムースとしてもおいしく食べることができる珍しいつくり。これはかねてよりネット販売に力を入れていたからこそ生まれた製法だそう。

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「宮城県内の学校給食用牛乳に大手乳業メーカーが参入し、牛乳の売上が年間数千万円単位で落ちてしまったとき、この損失を挽回できるのはアイスクリームしかないと思いました。ですが、アイスクリームのネット販売では、24個入りの商品が送料込みで3,000円程度。ここ10年で配送運賃を3、4回値上げしました。送料が上がれば販売価格も上げざるをえません。
しかし、値上げすればお客さんは離れていってしまいます。そこで『送料を抑えるために溶けにくいアイスクリームを開発しよう』となりました。通常の梱包資材は、発泡スチロールの箱とドライアイス。これだとサイズも大きくなり、送料が高くなってしまいます。ダンボールで配送しても溶けにくいアイスクリームを開発すれば、梱包資材のサイズを抑えることができることに着目しました」(山田社長)

溶けにくさの秘訣は「ゼラチン」と語る山田社長。本来、アイスクリームの加工工程ではゼラチンを入れることは難しいそうですが、空気を入れながら加工するなどの工夫を凝らしてゼラチンを混ぜ、溶けにくく柔らかいアイスクリームを開発したそう。

オリジナルのお礼品を展開し続ける

「さとふる」のアイスクリーム人気お礼品ランキングで1位にランクインすることが多いフロム蔵王のアイスクリーム。リピーターも多く、400件を超えるレビューの評価は★4.6を獲得しています。 ※2021年6月時点

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「いろいろなフレーバーがありますが、一番人気はやはりバニラです。素材にこだわっているからこそ、ミルク本来の味が楽しめます。生乳を使っているので、牧場で食べるあの味をそのままご自宅で味わうことができます」(佐藤課長)

多様なフレーバーが魅力のフロム蔵王。いろいろなフレーバーを提供してきた経緯を伺いました。

「昔、大手ネット通販サイトに懸賞コーナーがあり、アンケートに答えるとアイスクリームをプレゼントする企画を実施していました。そのときのアンケート結果をヒントに商品開発を進め、ピスタチオ、抹茶黒蜜、ヘーゼルナッツ、マンゴーなど何が人気かデータ収集することができました」(山田社長)

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「さとふる」では、一番人気のバニラやチョコが入った定番セットのほかにも、種類が豊富なことを活かして季節に合わせたフレーバーが入った期間限定セットを毎シーズン提供しています。「さとふる」のスタッフと協力し様々な組み合わせのお礼品を開発してきました。

00_トロピカルマルチ_rs_logo_RS.png【6月限定】で受け付けていたさとふる限定のセット。
「夏はトロピカル!「フロム蔵王」Hybridアイスクリーム24個」

「『さとふる』の営業さんから提案をもらい、我々からサンプルを提供し、どんなフレーバーがあると良いか、どんな組み合わせにしたら良いか、お礼品の説明テキストについて意見をもらいました。そこで発送月を指定したさとふる限定の『紅白セット』『お花見セット』『夏セット』などが生まれました。限定セットでは、定番のフレーバーと、季節を感じられるフレーバーを組み合わせています。
また、2020年にはこれまでなかったハイブリット製法のピスタチオフレーバーもこのサンプル提供がきっかけで誕生しています。想定よりも多く受注が入り増産したときは、従業員のモチベーションアップにもつながりました」(佐藤課長)

佐藤課長からは「さとふるさんと相談する中で、味に対する率直な意見や提案をもらえたり、今後の構想に意見をもらえたりするので、次の展開を考えやすいです。新しいお礼品についても相談しています」との嬉しい声もいただきました。リピーターの多いお礼品だからこそ、いろいろな組み合わせが喜ばれるのかもしれません。

ふるさと納税で売上の平準化

このように、既存の販売チャネルだけでなく、ふるさと納税にも力を入れている山田乳業。そもそもふるさと納税に参加したきっかけは何だったのでしょうか。

「6、7年前くらいに市から誘いをいただいたことがきっかけです。当時は配送業者の関係でアイスクリームを提供できず、ケーキを提供しておりあまり申し込みがなかったのですが、一昨年アイスクリームを扱える『さとふる』さんでの掲載が始まり、状況が一変しました。
アイスクリームは大手通販サイトで1位を獲得したこともあり、自信をもって提供を開始しましたね。今ではネット販売においては、大手通販サイトよりもふるさと納税に力を入れています」(山田社長)

キャプチャ_RS.pngさとふるでは「フロム蔵王」で検索すると230件以上のお礼品が表示される
※2021年6月時点。受付終了お礼品も含む

アイスクリームは牛乳などのほかの商品よりも利益率が高いそう。通常は売上が低迷する冬の時期にふるさと納税の繁忙期を迎えるため、年間の売上変動が小さくなり平準化したそうです。「さとふる」で人気を博したことで、1月から3月も忙しく、安定的な収益につながっています。

「冬にこんなに忙しくなるとは私たちの常識では考えられませんでした。『さとふる』さんに掲載して初めて年末を迎えたときはびっくりしましたね」(佐藤課長)

一昨年の教訓を生かし、2020年末は設備投資し生産ラインを増強。在庫を冷凍庫でストックできるようにしたのだとか。さらに、シルバー人材を採用したりするなど、地域の雇用にも貢献しています。

「農業が盛んな地域なので春は忙しいが冬に余裕があるという方が多くいらっしゃいます。そんな方々にはありがたいといっていただけていますね」(山田社長)

時代の流れを読み変化し続ける

時代の流れを読み、変化を遂げてきた山田乳業。今後の展望について伺いました。

「ふるさと納税では、アイスクリームのほかにも柱となるものを作りたいです。最近はヨーグルトの申し込みも伸びてきました。ヨーグルトのお礼品でいかにリピーターを増やし定着させられるかが今後の大きな目標です。
事業全体でいうと、地元の酪農の維持繁栄を願っています。宮城県内で操業している乳業メーカーは大手3社とうちくらいです。地域企業として、地元の子どもたちに地元のものを食べてほしいと思っています。給食などもそうです。子どもたちに地元の良さを感じてもらい、ゆくゆくは酪農の維持継続につながればという想いもあります。
酪農・乳業からは離れますが、白石市のまちおこし『百白プロジェクト」にも関わっています。地域に根付いた企業として、地元の地域活性化に貢献しつづけていきたいです」(山田社長)

大手乳業メーカーと肩を並べ、地元を想って活動する山田乳業。地元の酪農を守り続ける姿から目が離せません。