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2026/10/07

「応援したい」を、まちの力に。鶴岡市がふるさと納税でつなぐ地域の未来

山形県鶴岡市 地域の魅力発信から産業振興、課題解決、災害支援まで。寄付を地域の未来につなげる取り組み

山形県鶴岡市は日本海に面し、日本有数の穀倉地帯である庄内平野を有する、豊かな食と自然に恵まれた地域です。約60種類の在来作物や地域の食文化が受け継がれ、日本で初めて「ユネスコ食文化創造都市」に認定されました。また、「出羽三山」「サムライシルク」「北前船」にまつわる3つのストーリーが日本遺産に認定されるなど、歴史・文化も大切に継承されています。

鶴岡市では、ふるさと納税を通じて、地域の豊かな食や歴史、文化などの魅力を全国へ発信しています。
鶴岡市のふるさと納税の取り組みについて、総務部総務課の前田さんに話を伺いました。 

魅力を届けるだけでなく、地域の課題にも向き合う

鶴岡市では、ふるさと納税を地域の魅力を全国に伝え、地域産業を後押しする仕組みとして捉えています。
「単に寄付を集めましょうということではなくて、本市の魅力を全国に向けて発信して、認知の拡大を図っていくという考えです。ふるさと納税は地場産業の活性化を目標にしているため、販路拡大や事業者のブランド力向上につながっていると思っています」

実際に、参画後に「申し込みがだいぶ増えた」という声を寄せる事業者もいるそうです。事業者数も右肩上がりに増えており、ふるさと納税を「販路の一つ」として活用してもらうことを大切にしています。

そのために鶴岡市が重視してきたのが、事業者の負担軽減です。「できる限り負担の軽減を図りたい」との想いから、数年かけて発注から配送までの流れを整備。地域の事業者がふるさと納税を「新しい仕事」として負担に感じるのではなく、自分たちの販路の一つとして活用できる環境を整えてきました。

そして、鶴岡市のふるさと納税で特徴的なのは、地域の魅力を届けるお礼品だけでなく、地域が抱える課題への支援にもつながっていることです。
その一つが、近年深刻化しているクマ被害です。
2025年秋ごろから、鶴岡市では住宅地や市街地でクマの目撃情報が相次ぎました。市役所のすぐ隣の公園で目撃されることもあり、農産物への被害も発生。市民にとっても身近な問題となっていました。

こうした状況を受け、さとふるからの声かけをきっかけにクマ対策への寄付を募り、想定していた以上の寄付が集まりました。
「全国各地でクマの被害などが報道されるなかで、身近な問題として捉えておられる方が多いと感じています」

当初は2,000円一口の寄付コースでしたが、20口、30口と大口で申し込む寄付者も目立ったといいます。なかには2,000円の寄付を10万円分申し込まれた方もいたそうです。
何度も申込み手続きをすることは、寄付者にとって負担になります。そこで鶴岡市では、さとふると連携し、受付開始から数日後には5,000円から10万円の寄付コースを複数追加しました。寄付の状況に合わせて迅速に対応することで、寄付者の「地域を応援したい」という思いを、より受け止めやすい環境を整えました。

集まった寄付は、猟友会による巡視や捕獲活動、電気柵の設置などに活用。さらに、クマを人里に近づけないための「放任果樹の伐採」にも充てています。
お礼品を受け取るためではなく、「地域の課題解決を応援したい」という思いから寄せられる寄付。その広がりは、地域にとって大きな支えになっています。

寄付金を活用して設置した電気柵

「環境にやさしい」を、お礼品にも

鶴岡市が力を入れているのが、SDGsの視点を取り入れた地域づくりです。
2020年7月17日に「SDGs未来都市」に選定された鶴岡市では、市内でSDGsに取り組む企業や団体を「つるおかSDGs推進パートナー」として登録し、市と民間がともに取り組みを進めています。
その一例が、株式会社チャンピオンと進めるお礼品です。

企画のコンセプトは、「地域で育まれた恵みと、生産者の想い、そして未来への責任を一つにした鶴岡発のサステナブルなお礼品」。
高品質な米を届けるだけでなく、米袋には「ライスレジン」を使用しています。ライスレジンは非食用米などを原料にした素材で、石油由来プラスチックの使用量を抑えられる点が特徴です。

さらに、梱包にはオリジナル箱である「サスカム」を採用。箱の噛み合わせだけで組み立てられるため、粘着テープを必要としません。
このサスカムは、地域の事業者が何度も試作を重ねて開発したもの。噛み合わせの不具合などを一つずつ改善しながら、数年かけて形にしたといいます。
「何回も試作して、もう試作第何号だか分からないぐらいです」

地域の事業者が持つ技術や工夫を生かしながら、環境にも配慮した新たなお礼品を生み出しています。
鶴岡市では今後、こうした環境配慮型のお礼品を他の生産者・事業者にも広げたいと考えています。リサイクル素材や廃材などを活用したお礼品についても、取り扱う機会を増やしていきたいとしています。

さらに鶴岡市では、個々のお礼品だけでなく、梱包資材の見直しを市内の事業者へ広げる取り組みも進めています。
「数年前から梱包資材にも注目し、事業者向けの勉強会を開催しています。お礼品の大きさに合った箱を使えているか、配送費を最適化できるかなどを見直すきっかけになればと考えています」

ライスレジンを使った米袋とサスカム ※2026年10月時点では寄付受付停止中

災害時にも、「応援したい」を届ける

鶴岡市にとって、ふるさと納税は地域の平時の魅力発信だけでなく、災害など非常時の支えにもなっています。

2024年7月に発生した大雨被害では、記録的な大雨により川が氾濫し、土砂災害も発生。農地だけでなく、農道や道路も浸水被害を受けました。
このとき、さとふるからの声かけにより迅速な支援ページの立ち上げにつながり、地域が支援を必要としているタイミングで寄付を呼びかけることができました。
寄せられた寄付は、被災者への見舞金や、被災した住宅の修繕工事などに活用されています。

前田さんが強く感じたのは、寄付そのものが現場の励みになったことでした。
「やはり、全国の多くの方から応援いただけたことは非常にありがたいと思います」

被災直後から寄付が次々と寄せられる状況は、復旧や支援にあたる市職員にとっても大きな励みになりました。寄付の状況は災害対策本部の会議でも随時共有され、庁内で「これだけの支援が届いている」と確認していたといいます。

被災時の様子

ふるさと納税を「政策推進のツール」に

鶴岡市では、今後のお礼品構成についても検討を進めています。

現在、全体の約8割を米などの一次産品が占めています。豊かな農産物は鶴岡市の大きな強みである一方、一次産品は天候や価格変動の影響を受けやすいという側面もあります。
そのため、今後は一次産品の魅力を生かしながら、加工品や体験型のお礼品も充実させていく方針です。農政部門や商工部門とも連携し、地域の産業基盤を強化する取り組みを検討しています。
「単なる財源でなくて、ふるさと納税制度を、使い道という部分とも連携しながら、政策推進のツールとして活用していけたらなというところで考えています」

寄付を集める。その先にあるのは、地域の産業を支え、課題の解決につなげ、未来の担い手を育てること。
鶴岡市では、ふるさと納税を地域の魅力を伝えるだけでなく、地域そのものの未来を考える仕組みとして活用しようとしています。

鶴岡市のお礼品一例

「鶴岡に行ってみたい」を、次の一歩に

お礼品を通して鶴岡を知り、地域の課題への寄付を通してまちを応援する。そして、その先に実際の訪問や交流が生まれる。
前田さんが寄付者に一番伝えたいのは、そんな地域とのつながりです。

「特産品だけでなく、観光にも力を入れているので、一度行ってみたいなと思っていただけるとうれしいです。暖かいご支援をお待ちしています」
食、文化、自然、歴史、そして地域で挑戦する人たち。ふるさと納税をきっかけに鶴岡市を知ることが、地域を応援する一歩になるのかもしれません。

お礼品を楽しむだけでは終わらない。知ること、支えること、そしていつか訪れること。そんなつながりを育みながら、鶴岡市はこれからも地域の魅力と未来を全国へ届けていきます。

▼お礼品の詳細はこちら
山形県鶴岡市のお礼品一覧