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2019/08/16

ハチミツを通じて五霞町の四季を全国へ

田舎はちみつあかぼっけ 季節を味わう7色のハチミツ

茨城県南西部に位置し、四方を利根川などの河川で囲まれた肥沃な土地が広がる五霞町。代々農業を営む家に生まれ自身も農業に携わる松沼孝行さんは、自宅の庭木に巣別れしてきたミツバチを育て始めたことから養蜂の道へ。現在は農業と並行してハチミツを自家採蜜し、「田舎はちみつあかぼっけ」を全国へ届けます。

ミツバチとの偶然の出会い

自宅の庭木にミツバチが新しい巣を作ったことをきっかけに松沼さんの養蜂が始まります。

「子どものころに、カブトムシやクワガタを虫かごに入れて育てた感覚と同じです。自作した巣箱にミツバチが居ついてくれて、立派な蜂群が出来ました。花蜜や花粉を集めてくるミツバチが可愛くて軽い気持ちから始めたんです。特におしりのフリフリ感に癒されます」

自分で採ったハチミツを初めて食べたとき、そのおいしさに魅了されたという松沼さん。濃厚で風味があり、スッキリした味わいに驚いたそうです。知人や友人にも食べてほしいと配ったところ「美味しい!」と評判になり、さらに多くの人に届けたいと思うようになりました。趣味を突き詰めることで自然と仕事になり、今では農家と養蜂家の二つの顔を持っています。

田舎はちみつあかぼっけ 松沼孝行さん

一般的に養蜂家になるためには、養蜂場に就職するか養蜂家に弟子入りして学ぶそうですが、松沼さんはインターネットで調べ、実践で分からないことは養蜂の専門家にアドバイスを請うなどして、独学で身につけました。

「養蜂を始めてから安定的に採れるようになるまでの約5年間は失敗の連続。大変だったのは冬を越すこと。採蜜中は薬を使いたくないけれど、ダニの駆除をちゃんとしないと冬を越せない。獣医師で養蜂家の方を探して、オーガニックのダニ除去剤を処方していただき防除しています。採蜜とダニ対策の両立が一番難しく、今もその難しさは続いています」

ダニは蜂の生育に影響を著しく及ぼし感染症を媒介するので、天敵ともいえます。天候や自然にも四苦八苦しながら蜂を徐々に増やし、14年目の現在では30箱ほどの巣箱の中で60万匹以上の蜂が蜜集めに忙しく動き回っています。

松沼さんが育てる蜂の巣箱の一部

巣箱に蜜がたまると一箱あたり20~30㎏にもなり、養蜂はかなりの重労働。特に作業が大変なのは夏。蜂除けネットを頭に被って作業する松沼さんからは滝のように汗が吹き出します。瓶詰めやラベル貼りなどの作業はご両親や奥様、そしてお子さんと3世代でおこない全国へ届けられます。

あかぼっけの名は松沼さんが住む集落の名前「赤法花(あかぼっけ)」に由来しているそうです。現在の五霞町の住所には「赤法花」は使われていませんが、屋号にすることで地名を残すことにつながりました。ミツバチたちは五霞町周辺の花から花粉・花蜜を集めており、松沼さんが養蜂を始めてからは近隣農家が育てる果物や野菜の実付きがよくなる効果もありました。

花の風味で日本の四季の移ろいを感じられるハチミツ

あかぼっけのパンフレットには7色のハチミツが並びます。春の訪れとともに採蜜が始まり、4月から10月まで月ごとに蜜を集めることで、色彩や風味が移ろうハチミツを楽しめます。

あかぼっけのハチミツは月ごとに採蜜され、7色に輝く

「様々な花の蜜から集めた"百花蜜"や、アカシア、レンゲなどの"単花蜜"が主流ですが、季節ごとに味の変化を楽しめるのは珍しいと思います。一般的に採蜜するのは春。夏以降は蜂を育てる期間に充てます。あかぼっけではミツバチの管理を工夫することで、夏から秋までのハチミツも月ごとに採蜜できるようにしました。蜜巣のみを搾るため"隔王板"という仕切り板を挟み、雑味の元となる卵や幼虫のいない、完熟したピュアなハチミツに仕上げます。採蜜量は減りますが、だからこそ美味しいハチミツができるのです」

ミツバチや蜜巣の様子を確認する松沼さん

あかぼっけのハチミツは4月は菜の花や桜、5月は柑橘類など、春から秋にかけて、すっきりした味わいから徐々に濃厚な蜜に変化していきます。4月から10月までの7種類のハチミツには麗花(うらら:4月)、耀(ひかり:5月)など、それぞれ季節や味覚をイメージした名前がつきます。「自分の子どもの名前を考えるくらい大変だった」と松沼さんはしみじみ語っていました。

無添加、非加熱の搾りたてそのままのハチミツは五霞町の人気商品となり、茨城県のアンテナショップでも販売されるようになりました。

ふるさと納税の宣伝効果を実感

ふるさと納税に参加するまでは、人気の道の駅「ごか」などを中心に販売されていたあかぼっけのハチミツ。ふるさと納税に参加してから配送先は北海道から九州まで広がり、ECサイトの売り上げも増えました。

「地方のマルシェで出張販売したときに『あ、ふるさと納税のハチミツだ!』って声をかけられたんです。ふるさと納税にお礼品を出したことが宣伝になったのだと実感しました。あかぼっけのコンセプトをより多くの方へ届けるにはどんなパッケージが良いか、収益が上がったことで、パッケージデザイン改良に取りかかることも出来ました」

その他には、寄付申し込みにより収益が増えたことで、昨年店舗兼作業場を新設。看板を出していないにも関わらず、評判を聞いて時折訪れる方がいるそうです。

あかぼっけの作業場兼店舗

自慢のハチミツを加工品に

2015年にはあかぼっけで採れた「巣蜜※1」を活かしたスキンケアブランド「Su*Mi*Tsu*」を立ち上げ、石けんや化粧水、美容クリームの3種類が生まれました。

「Su*Mi*Tsu*」の石けん、化粧水、美容クリーム

「ハチミツ自体が身体に良いものとされ、さらに殺菌作用がありニキビ対策にも有効といわれています。妻が敏感肌なこともあり、乾燥肌やデリケート肌の人が使いやすいものを作りたかったので、原材料にもこだわりました。『もちぷるになる!』とリピーターになってくださる方もいます」

巣蜜のほか、ミツバチ由来成分のローヤルゼリー、プロポリスを配合※2するなど、養蜂家自らが運営するブランドだからこそ、ハチミツを贅沢に、植物由来の成分を取り入れた製品が生まれました。

※1 ミツバチが巣に貯めたままの天然のハチミツ
※2 製品により配合成分は異なります

五霞町の四季を感じられるハチミツを全国へ

「五霞町は自然が多く野菜が美味しい。都内へ行くときは始発の電車で行けるし、圏央道のインターが近く交通の便がとても良いんです。都心から近い田舎です。そんな五霞町の花の蜜からできたハチミツで、全国の方に五霞町の四季を感じていただけたら嬉しいです」

ミツバチにも人にも厳しい環境の中、日々の重労働があっても「ハチミツづくりは面白いし楽しい」と話す松沼さん。あかぼっけのハチミツを通じて届けられた五霞町の四季を、今度は現地で体感する方が増えることが望まれます。五霞町を愛し、ミツバチに魅了される松沼さんの想いが詰まったハチミツが全国の方へ届くように、これからも応援しています。