アリタ商店 地域密着型の酒屋経営とふるさと納税の二本柱で挑む地元貢献
かつて、城下町として栄えた大分県日出町。北に連なる鹿鳴越連山と、南に広がる別府湾に囲まれた自然豊かなこの町で、酒屋「アリタ商店」を営む有田 浩一さんに話を聞きました。
経塚山からの景色
専門店ならではの品揃えとギフト対応への心遣い
1974年からこの地で酒屋を営む有田さん。一時はコンビニエンスストアとして経営していた時期もあるそうですが、2012年日本名門酒会に加盟。以降酒類専門店として、地元大分を代表する麦焼酎「二階堂」をはじめ、人気の高い地元酒蔵の銘酒やワインまで、店主こだわりの厳選したお酒を幅広く取り扱っています。
アリタ商店
「専門店になったのは遅かったのですが、地域の方に喜んでもらえるような商品、専門店ならではの希少性の高い商品などに力を入れています。蔵元と直接取引しており、一般的な小売店にはなかなか置いていないような銘柄、酒屋ならではの銘柄をいろいろと取り揃えています」
もう一つ力を入れているのがギフト対応です。
店舗販売時のほか、オンラインストアでも購入の際にギフト包装を選ぶことができ、本数に応じた梱包やプレゼントシーンに応じた細やかなラッピングにも対応しています。
ハレの日に、気分を盛り上げてくれるお酒は欠かせない、という方も多いのではないでしょうか。ソムリエ資格を持ち、豊富な知識のもといろいろなお酒のシーンを提案してくれる有田さん。大切な人への贈り物として、また自分へのご褒美としても、シーンやその時の気分にピッタリのお酒は、その場に花を添えてくれる嬉しいものですね。
イベントに応じた華やかなラッピングで贈られたら嬉しさも倍増しそうです。
バレンタインデー用のラッピング
ふるさと納税参入のきっかけとお礼品人気上昇の訳とは
大分県を代表する焼酎の一つに「大分むぎ焼酎 二階堂」があります。二階堂酒造はこの日出町に工場を構え、長きに渡って地元に愛されている酒造会社です。
二階堂酒造は、自社での小売販売を行っていません。地元の酒屋さんとのお付き合いを大事にする、という想いもあり契約している酒屋さんなどの小売店でしか購入が出来ないのです。
日出町を代表するこの「二階堂」をふるさと納税のお礼品として広く知ってもらいたい、そう考えた自治体から、二階堂の地元の販売店であるアリタ商店へ声がかかります。これがアリタ商店がふるさと納税へ参入するきっかけでした。
ふるさと納税参入にあたっては、お礼品のバリエーションについても検討したそうです。
二階堂酒造には、もう一つ高い人気を誇る「吉四六」という焼酎があります。もっとも、吉四六は年間を通して生産量が多くなく、ふるさと納税のお礼品として数を確保できるのかという懸念があった、と有田さんは言います。
「当時の社長(現会長)へ取り扱いのお願いにいったんですよ。断られるかもしれない、という心配をよそに『地元に貢献できるのならば』と快諾していただきました。それならば、とふるさと納税への参入を決めました」
吉四六
いざサイト掲載を始めると、吉四六人気はもちろんですが、当初想定より普通の二階堂の一升瓶や五合瓶サイズへの人気が高く驚いたそうです。掲載開始後に、一気に感染が拡大したコロナウイルスによる巣ごもり需要の高まりもあり、自宅で楽しむための焼酎に人気が集まる、という傾向も拍車をかけたのかもしれません。
ふるさと納税での寄付額が大きく伸びた背景にはさとふるの影響も大きい、と言います。
「複数のふるさと納税ポータルサイトへ掲載をしているため、さとふるのサービスを利用する前は各サイトごとに対応が必要で、それぞれの仕様に合わせたお礼品登録や寄付確認、発送と、それはもう大変でした。特に寄付が集中する年末などは、通常の店舗運営に加え対応量が増加し業務も煩雑になります。間違いが起こる可能性も増えるので気を使います。
今はさとふるサイトで一元化されたのとで、さとふるのサイトのみ対応すればよいため、本当に助かっています。ありがたいですよ」
また、ふるさと納税サイトで使用する画像やお礼品紹介文についても以前とは明らかな違いが出たと言います。
寄付者の目に留まる写真や、お礼品を魅力的に伝える紹介文の作成、また、制度改正のタイミングでの文言確認など、さとふるが随時対応してくれるのはありがたい、とのお言葉をいただきました。実際に、このSEO対策実施前後を比較すると、月に数件だった寄付が今では毎月100件を超えるようになったと言います。2023年からは定期便を開始し幅を広げるなど、より寄付者の要望に応えるべく奮闘されています。
「ちょっと気恥ずかしくはありますが」と笑う有田さんですが、ご夫妻のお写真や店舗の写真もとても素敵ですね。
有田 浩一さん(右)と奥様
「二階堂」人気がメーカーや地元へもたらした影響とは?
「麦焼酎」ブームの火付け役である二階堂酒造はこの日出町に本社工場を構えています。
前述の通り、二階堂酒造は一般消費者向けの小売販売を行っていません。工場見学やツアーなども一切行っておらず、本社工場に併設する立派な美術館も鑑賞のみという徹底ぶり。そのため、来訪者が二階堂を求める場合は取り扱いのある小売店で購入するしかありません。
「幸い工場から近くに店舗があるため、美術館にいらっしゃった方や工場を見にいらっしゃった方が立ち寄ってくださることも多いんですよ。地元の酒屋に還元、というメーカーさんのスタンスもあって、地域内で循環するいい流れができています」
大分むぎ焼酎 二階堂
日出町のお礼品の中でもトップクラスに人気が高いお礼品となったことでメーカーとの関係性もさらに良好になったそうです。
「二階堂さんは製造から出荷までのオペレーションがきっちり決まっているんですが、ふるさと納税を通して地元に貢献したい、との考えをお持ちのため、ふるさと納税業務を対応する弊社には、日頃から何かと融通を利かせてくれたり配慮いただいております。他の卸売業者から驚かれたり、羨ましがられることもしばしばです(笑)」
二階堂の認知拡大、売上拡大に大いに寄与しているアリタ商店は、自治体の願いをまさに体現したことで当然自治体や地域との関りにもよい影響が生まれています。
「先日、自治体主催で町民向けに日出町のお礼品を紹介するイベントがあったんです。ふるさと納税のお礼品を受け取るには居住地外のものが対象なので、皆さん意外と自分の町の何がお礼品になっているのか知らないケースが多く、改めて自分の町の特産品を知るいい機会になったと思います。やはり慣れ親しんだもの、地元の特産品が他の地域の皆さんに喜んでもらっている、人気がある、というのは嬉しいですから」
日出城下町
日出町は、町をあげてふるさと納税に力を入れており、地元住民、事業者のほか、町長自ら出演するPR動画をはじめ、肝いりの政策となっています。有田さん自身も、日出町の寄付額推移をチェックするようになったと言います。
日出町を代表する二階堂をもっと広めたい、と始まったふるさと納税への参入でしたが、今では日出町のお礼品としてトップクラスの人気を集めることに。
「ありがたいことに多くの寄付をいただき、その数は年々伸びています。町の地域活性にもつながっていますし、そういった取り組みに携わっている、町に貢献できている、と感じられることは大変嬉しいです」
現在は2Lのパーティーボトルをお礼品にできないか検討を進めている、という有田さん。高い人気を維持するため、日々新たな挑戦に挑んでいます。
最後に寄付者の方へコメントをいただきました。
「全国の皆さんにもっと二階堂の美味しさを知っていただきたいと思っています。ソーダで割って爽やかに楽しめる『ニカソー』もおススメです。ぜひ一度味わってみてください!」
▽アリタ商店のお礼品はこちら